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冬の帯広 陸リンクを眺めながら考えたスタジアム・アリーナ 〜ヴァナキュラなスポーツ環境〜
帯広の「陸リンク」
今年はじめに北海道は帯広市に行く機会があり、冬季につくられる「陸リンク」を見られるとの事で行ってきました。
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正直、もっと手づくり感あふれる小規模なアイスリンクをイメージしていましたが、広い!デカい!氷の質がいい!と三拍子そろった見事なリンクです。
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雪を踏み固めて作る「陸リンク」は昔から地域の親御さんの手によってつくられてきており、冬の子どもたちの遊び場として親しまれてきました。
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今でこそ業者に任せる地域も出てきたと言いますが、アイスリンク作りは地域ごとのノウハウがあり、家庭で使っていたカーペットで表面をならすなどの独自のテクが蓄積されているそうです。
明治北海道十勝オーバル
北海道のなかでも帯広は特に冬季オリンピアンを多く輩出している街として有名です。陸リンクで才能を見出された子ども達が、スピードスケートやフィギュアスケート、アイスホッケーなどの各アイススポーツのクラブに分かれていきます。
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明治北海道十勝オーバルはナショナルトレーニングセンターとも連携している競技別強化拠点で、市内にある帯広の森スポーツ公園のスピードスケート場として使用されています。
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興味深いのは、オーバルのような立派な施設があったからスピードスケートが普及したのではない点です。
むしろ「陸リンク」など地元スポーツとしてのスピードスケート振興が公共スポーツ施設としてのアイスリンクをグレードアップさせたとも言えます。
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明治期には既に帯広で「ゲロリ」と呼ばれる手作りの下駄スケートの流行があり、以降スケートはまさに土着のスポーツとして定着してきた歴史があるようです。誰もが当たり前のようにスケートに親しみ、その環境を地域が支える地域におけるスポーツ振興の理想型のひとつが帯広市だと考えます。
土着のスポーツとスタジアム・アリーナ整備
建築の世界では地元の風土や環境に根付いた土着的であることを指して「ヴァナキュラ」と言います。例えば白川郷の合掌造りの建物のような伝統的な建築文化だけでなく、地域ごとに異なる街路の巡らせ方、使う材料の違いなど、同じような流通建材のなかにあってそれでもなお残る土着的な特徴の事を指します。
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スポーツ施設にも土着的発想が必要なのではないかと考えています。推し並べて全国場所を問わずスポーツ振興を広げる考え方もありますが、これはあくまで人口の拡大と都市の発展が一律に行われてきた成長期のモデルのようにも思います。
野球の街、サッカーの街といった土着的にスポーツ文化が根付いた場所にこそスタジアムやアリーナが求められて然るべきで、施設を建てればスポーツ振興が進むわけではなくまずはスポーツ文化そのものを地域文化として定着するのが先でしょう。結果として競技スポーツを捨てる街も出てくる可能性はあると思います。そもそも日本のスポーツ実施の第一位は「ウォーキング」だったりします。専門施設をより計画的に整備する必要があります。
スポーツ振興施策も新たなモデルを見つめ直すべきです。多くのオリンピアンを輩出し地域全体が競技スポーツにコミットする帯広市の例は、近い将来の日本の地域スポーツのモデルとなり得るのではないかと思います。
(了)
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