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1年検診 ~良い話と、良くない話~

この話の続き

というわけで、大腸癌の術後1年の大腸内視鏡検査に挑むために下剤を3時間以上かけて飲みきって、紙おむつ履いて、電車に揺られて病院に向かう運びとなりました。

この紙おむつ履いて電車乗るのがね、なんかドキドキするの。
なんでか分かんないけど。
いけない事してるわけではないけど、なぜだろう。
慣れかな?あんま慣れたくないけど。

特急には乗れない。
ここは各駅停車一択。

「頼む、今、便意こないでくれ。いま来たら終わる」
と念じながら駅間を進む電車。
駅について扉が開く度に
「大丈夫か? 降りなくても大丈夫だな…。よしプッシュだ」
と壮絶な賭けを行う。
もはやアカギ、ないしはカイジ。

結局、道中、無事便意は来ず、病院に到着。
電話で聞いた看護師さんの
「出し切っちゃえば案外大丈夫ですよ」
というアドバイスは本当だったのかもしれない。

受付してしばらく待っていると呼ばれて問診が始まります。
「ご飯最後に食べたのはいつですか?」
「一昨日の夜です」
「えっ?」
「は?」
こちとら、腸内洗浄の気合の入り方がシロートとは違うんだよ、シロートとは。

「今日はなんで来られましたか?」
「大腸内視鏡検査で来ました」
「いや、そうじゃなくて」
「えっ?」
「電車とか、車とか…」

違うんですよ、聞いて。
去年この病院で手術したじゃないですか、4回も。
手術台の上で聞かれるんですよ。
「お名前は?」
「生年月日は?」
「今日はどこの手術をしますか?」
たぶん患者の取り間違え防止でしょうね。
名前、生年月日だけだと、万一のことがあるので、手術する部位も聞かれるんです。

なので、
「今日はなんで来られましたか?」
って聞かれたら、当然そういうことだと思うじゃないですか。
まさかの
「鎮静剤使いますので、検査後、車、自転車などの運転はできません」
ってその確認だったのでした。

なまら恥ずかしかったよ。

そんなこんなをしつつ、検査着と、
「お尻に穴の空いた紙パンツ」
を渡され着替える。
この「お尻に穴のあいた紙パンツ」を履いてるときの、アブノーマル感といか、背徳感というかは、筆舌しがたいものがあって癖になる。

でもって、いよいよ検査室に呼ばれる。
私の横で問診したことを看護師さんがお医者さまに伝えてくれる。
私からも重ねて
「今までに2度、内視鏡の後お腹からガスが抜けなくてぶっ倒れたので、抜けにくい体質って言われたんです」
と、そのへん頼むよとお願いしたのに、
お医者さんは
「倒れたってどういうことですか?救急車で運ばれたのですか?」
とこちらの真意が伝わってるのか不安になるような返事が返ってくる。
大事なのは倒れたのがどういうことかじゃなくて、ガスが抜けねーってことなんだ、察しろ。

そういう受け答えするやつは女にモテないゾ。
女医さんだったけど。

いよいよ鎮静剤が入れられる。
今までは入れられたら即記憶なくなってたけど、今回はぼんやりする程度で終始意識がありました。
前立腺肥大のおそれがあるって言われた、って伝えたら、鎮静剤あまり入れられないとか言ってたからかな。
内視鏡の映像もリアタイで私も見れる。
ガスが入れられたせいなのかお腹が張ってくる。
「なんかお腹が張ってきましふぁ」
「出したかったら出してくださいね」
いや、出せねーよ、そんな簡単に。

カメラを操作しながら、なんか写真をバシャバシャ撮っている。
撮られれば撮られるほど不安になる。
ちょっと待って、なんでそこそんなに撮るの?
なんかあるの?ねぇやめて。

街なかで特になにも特別なことないところを写真撮ってる人がいたら、ソコに何があるのか、つい見ちゃうのなんなんでしょうね。
私は、被写体らしき方を見ちゃうと、「撮影した人は気づいたけど私は気づかなかった人」みたいな負け感が漂うので、気になるけど絶対見ないようにしてるんです。
通り過ぎてからえらく気になる。
悔しい。

検査も終盤
女性医師「ここなんか赤くなってますね。ここって切ってくっつけたところですか?」
男性医師「そんなの本人に聞いてわかるわけないでしょw」
女性医師「あ、そっかw」
鎮静剤でぼんやりしてたせいでツッコめないポイントを的確にツッコんでいただいてありがとうございます、男性医師の方。
いくら自分の身体の中とはいえ、腸内の映像見て
「あー、ここです、ここです」
って分かるわけねぇだろ。

「うーん、なんだろう赤いですね」
ゴンゴンゴン
「痛だだだだだだ!!」
「あー、痛いですか」
ちょっと待って、今なにした!?!?
なんかカメラでゴンゴンしなかった???
それ検査なの?
ねぇ??検査なの?????

「はい終わりでーす」
ってな感じで検査終了。
ふらつくので30分ほど寝て、無事帰宅。
家に帰ったら検査がんばった記念で、嫁さんがお刺身いっぱい買ってきてくれていて美味しかったです。

翌週、CT検査を受けにまた来院し。
そのまた翌週、検査結果を聞きに来院。
月に3回も来るとさすがにめんどくさい。

検査結果ですが

「内視鏡の結果も、CTも、血液検査も、今のところ転移は見られないですよ」

ってことで、こちらの方は一安心。
ただ、再発することもあるので、しばらくは3ヶ月に1度の血液検査、半年に一度のCT、年に一度の大腸内視鏡は続きます。
それに加えて、年に一度の人間ドックと胃カメラも。

こっちが良い話。
でも、悪い話…でもなく、まぁ良くない話というか、まぁそうだろうなぁって話のほうがですね。

前から相談したかったことをお医者さんに相談したんですが。

「先生、1年経つんですが、少しでも食べるとすぐ便意が出てきて、1日に10回くらいトイレに行くこともあるんです。具合の良くない日はトイレに1時間くらい籠もったりしまして…。」

「うーん、それはもう残念ですが、治らないですねぇ」

あ、やっぱし。

どうやら直腸に近い位置を手術するとどうしてもそうなっちゃうことがあるらしい。

これは、私もネットで色々と検索などして、
排泄障害的なものは、術後1年くらいで徐々に回復していって、1年経過したあたりの症状で固まる
みたいな解説を複数目にしたので、まぁそうなんだろうなぁとはなんとなく思っていた。

出来ることは、対処療法というか、うまいこと下痢止めを使ってコントロールしていくしかないということ。

病気する前みたいに、気軽に外食したり、飲みに行ったりすることは、ちょっと難しい身体になってしまったなぁ。
けど、食事以外は全然元気に生活送れているし、家では毎晩お酒飲んでご飯食べてるし、まぁそれほど悪い話ってわけでもないなぁ、と。
なので、「良くない話」っていうか、「まぁそうなるよね」くらいの話なのでそれほど気に病んでないので大丈夫。
むしろこの生活も慣れてきちゃったし。

えらく長い内容になってしまいましたが、1年検診も無事終わり、結果も上々で、うまくこの身体とつきあって行きましょうね、ってなりました。


あと、下痢止めは飲みすぎると腸閉塞起こす恐れがありまして。
私は癌切除の術後、合併症で腸閉塞して2回手術しまして、腸閉塞の恐ろしさは心得ておりますので、ここぞ!という時にだけ飲もうと思います。

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