ローコンテクスト型コミュニケーション
緊急事態宣言も解除され、明確な理由はわかりませんが、急激に陽性者数も減少したことで、多くの企業が在宅勤務を解除していて、週に数回出社というケースはほとんど無くなり、在宅勤務ありなしの二極化状態になっている感じです。自分は引き続き「あり」の人ですが。
欧米特に国土が広い北米では、かなり前からホームオフィスが一般的になっていましたが、日本においてこのテレワークは受け入れられるものなのでしょうか。このワークスタイルについては、コロナ禍であろうとなかろうと、いつかこうなると予見していたと思いますが、いざ突然登場すると、大きな戸惑いに陥った印象を受けます。
アメリカの人類学者のエドワード・T・ホールが指摘した「ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化」を思い出しました。日本人は、単一民族で言語や価値観が近いために、はっきりと言語化されていない「空気」とか「雰囲気」を察知して、コミュニケーションの際に相手の意図を察し合うことで、何となく通じ合っているといわれています。
これに対して、ローコンテクスト文化は、明文化しなければ相互理解がかなわないことを前提としていますから、コミュニケーションはルールを重んじなければ成立しません。このルールというのは、コミュニケーションだけでなく、そもそもの業務内容についても同様で、自分は何をすべきか、何によって評価されているのかを明確にしておかないと、上手く働けません。
先日、お客様と対面で面談する機会がありました。久しぶりであったので、何となく疲れた印象を受けたのですが、それ以上にハイコンテクストな世界での戸惑いのような状況に陥ったよう思います。画面を通じてのコミュニケーションでは、映っている画像に対してのみ感性を働かせるだけなので、普段あまり使わないハイコンテクスト文化での相手の意図を察し合うことに五感をフル回転したから疲れたのかもしれません。テレワークを続けると、ローコンテクスト型のコミュニケーションが心地よくなるのだろうか。