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龍安寺
金閣寺のお隣。セットで訪問するパターン多いんだろうな。
金閣寺は誰が見たってわかりやすいし、好き嫌いはともかく、誰もがなんらかの印象を抱くだろう。しかるに、龍安寺はどうか。
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なかなか大きなお寺で鏡容池を中心とした境内は落ち着いた趣。春の桜、夏の睡蓮、秋の紅葉の季節は見応えあるだろな。しかしここはなんといっても石庭だろう。恥ずかしながら2年前に来たのが初めてで、しかもなぜか天龍寺と混同していた。で、一目散に石庭目指して実物見たとき。
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「小っさ」と思わず声が出た。写真で思い描いていたイメージとの落差が甚だしい。気を取り直して石庭を眺めるが、ちまちまと石が白砂に埋まってる殺風景ともいえる光景に(わけわからん)と、そそくさと場を後にしたのだった。
とまあこんな経験があったので、ガイドするってもどうすりゃいいんだろうと。そりゃいきなりワンダホー、つう人もいるかもしれないけど少数派なんでは。エリザベス女王がこの庭を賞賛した、つうのもウリの一つではあるが色々調べてると、感想を尋ねられた女王は「わたしにはわからない」と答えたとかいう当時の新聞記事も見つかったり。どっちなんだろ。
でもやもやしてたのだが、後日、龍安寺石庭と並び称される大仙院の枯山水を見学した。こちらはわかりやすかったな。ちゃんと庭にストーリーがあるもん。で、大仙院を具象画とするなら龍安寺は抽象画だなということに思い当たった。
龍安寺石庭の解釈はいろいろあるらしいが、有名どころでは、石の配置が七五三=十五であるが一つはかならず見えない→完璧にはなれない、という教えが分かりやすいし水戸光圀が寄進した蹲もこの説を補強してるようでもあり、昔からある解釈なんだろう。
で「虎の子渡し」の故事に因むものという説。これは中国の古い説話で、子虎を三匹連れた母虎が川を渡ることになった。母虎は渡れても子虎には無理、母虎は一度に一匹を口に咥えて対岸に運べる。しかし言い伝えによると虎の子が三匹産まれたらそのうち一匹は性狂暴(彪というらしい)で他の子供を食べてしまう。なので彪と他の子供を母親がいない状態で一緒にはできない。さて母虎はこの状況をいかに打破するでしょうというお話。
かんたんなパズルなんだけど、口で説明するのは(ましてや外国語で)難しい。
①先に彪だけを対岸に渡し、戻る。
②次に一匹を対岸に渡して彪を連れ戻る。
③彪を置いてもう一匹を対岸に渡したのち、戻る。
④最後に彪を渡して任務完了。
で、石庭の石は川を渡る親子の虎を現してるのだという話なんだけど、子虎も渡れるなら前提が崩れるのでは?という気がしないでもない。
端的に言えば、石庭のデザインが気に入るかどうかの問題に帰着するのだと思うのだけど、それを言っては元も子もないような。困ったちゃんだな~。
境内に湯豆腐を食べさせるお店があり、お酒も飲める。たしか湯豆腐2500円で案外安いなと思ったが、お豆腐一丁でこの値段はと思えばう~んとなる。どうしたもんだか。