イギリス人は紙切れ同然となったイングランド銀行券を受け入れた ゴールド74
フランスのフィッシュガードへの小規模な奇襲 -この侵略は失敗に終わった- により、イングランドは銀行で取り付け騒ぎが起こるなどのパニックに陥った。そして、政府による緊急勅令、制限法案で銀行券と金との交換が制限された。つまり、イングランド銀行券は紙切れ同然となったのだ。
しかし、一旦この危機が去ってしまうと、イギリス人のこの問題に対する対処の仕方には驚くべきものがあった。短期間で銀行への取り付け騒ぎが収まり、イギリス国民は正金と交換(兌換)してもらえないイングランド銀行券によって全ての取引をすることを受け入れたのだ。
金が貨幣制度の中心的な基盤であり続けなければならず、正金による兌換はいつか再開されるという原則に異論はなかった。しかしながら、政府による紙幣と金の交換の制限は結局1821年まで24年間も続いた。一方、その間もイギリス国民は、その制限は一時的なもので銀行券は再び金と交換される正常な状態にすぐに回復されるだろうと信じていた。そのために、イングランド銀行券の受け取りはいついかなるところでも問題とならなかった。
銀行券は金準備に何も起こらなかったかのように機能し続けたのだ。
ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?