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金本位制は「貨幣供給量を管理する」優れたシステム ゴールド78

地金委員会はインフレの解決策は、できるだけすみやかに通貨と金の交換性を回復することだと主張した。

その一方、紙幣と金の自由な交換が停止されているにもかかわらず、イングランド銀行は金がいまだに調整役として実際に機能しているかのように行動すべきであると説いた。つまり、イングランド銀行はバーチャルな金本位制の制約の下で業務を管理すべきだと主張したのだ。


さらに、地金委員会は金の価格上昇は金の不足あるいは金への需要超過であるということを明確に否定した。

ギニー金貨が流通しなくなったのは事実である。しかし、それは金地金が不足している証拠とはならない。金地金の価格が上昇したことの証拠ともならない。

実際、対価を支払う気があれば金を欲しいだけ手に入れることは出来たのだ。金の価格が上昇したのは通貨の量が多過ぎるためだった。金の高値は貨幣の供給量が過剰であることの証拠だった。

そして、紙幣がギニー金貨と交換できたなら、外国為替市場でポンドの価値は決して下がらなかったはずだ。

地金委員会とイングランド銀行は会談を行ったが、イングランド銀行は地金委員会のこの主張 -イングランド銀行の実務上の大きな誤り- を認めようとしなかった。


最終的に、地金委員会は最も重要な結論を導いた。

その結論では、もともとデイヴィッド・ヒュームとアダム・スミスによって説かれた金の役割についての原則が繰り返されている。

その結論は、金本位制を「貨幣供給量を管理するすぐれたシステム」として確立するための、最初のおそらくは最も権威ある根拠を示した。

その結論の全体としての要旨は、貨幣が貴金属と交換できず、そうした決定が人間の単純な判断に任されているときに起こることとの鋭い対照を示すことだった。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

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