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金本位制に復帰しても世界の相場は上昇しなかった ゴールド105

イギリスは金本位制へ復帰し国際貿易を再開したが、それは失敗に終わった。

探鉱業界では石炭の輸出量が激減しており赤字が垂れ流しの状態だった。そして、輸出市場で競争するにはコストが高すぎたため鉱山労働者の賃金カット、解雇が行われようとした。

ストライキとロックアウト

長期にわたり、炭鉱労働者と経営者側はストライキとロックアウトで相互に威嚇し合った。まさに、目先の問題が発生していた。

1896年の合衆国大統領選の民主党候補者ブライアンが「金の十字架に人類を架けるようなことはさせない」と警告していたことが起こっていたのだ。


世界の相場は上昇していなかった

イギリス首相ボールドウィンは「わが国のすべての労働者は、国家を立ち直らせるために賃金カットを受け入れてもらいたい」と要求した。

探鉱でのストライキとロックアウトは1926年11月まで長引いたが、炭鉱労働者は飢餓の寸前まで追い詰められ、ついに彼らは抵抗を止め、低い賃金を受け入れた。

このように探鉱の状況はひどかったが、さらに深刻な事態が展開されていた。多くの人々の希望と期待を裏切って、世界の相場は上昇していなかった。上昇していないどころか、緩やかに低下していた。


ケインズが抗議の声を上げた

すぐさま、ケインズは先頭に立って抗議の声を上げ、チャーチルに辛辣な言葉を浴びせた。

「チャーチルはわざわざ困難な事態を招いただけだった。どうなるかをまるで考えずに、名目賃金とあらゆる貨幣価値を押し下げてしまったからだ。彼はなぜそんな馬鹿なことをしたのだろうか?おそらく、失敗を避けようとするとっさの判断力に欠けていたのだろう」と。

そして、「チャーチルは従来型の財政政策の声によって耳をふさがれていた。何よりも、彼が専門家のためにひどく誤解させられていたからだ」と専門家 -ノーマンとニューマイヤー- をも批判した。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

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