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ゴールド 金と人間の文明史-9 ゴルディウスの結び目を一刀両断

フィリッポス二世を継いだのは、その息子アレクサンドロス大王だった。

アレクサンドロスは父フィリッポス二世の方針を踏襲し、金貨を第一の基準通貨とし、金と銀の価値を1:10の単純な比率に保ったまま、造幣所をフル稼働させて硬貨を鋳造させた。

貨幣を流通させる

アレクサンドロスは兵士たちがどこへ遠征しても自らが発行した硬貨を使えるようにしたかった。彼は兵士たちに十分な報酬を与えることで略奪させないようにした。

そして、エジプトからインドにかけての広大な地域に70以上のあたらしい都市を建設して、征服した領土の住民を統治したが、ここからも広く流通する貨幣への需要が生まれた。


交易は生活水準を高める

アレクサンドロスの最終的な構想には、東西に跨る帝国の多くの地域で貿易を栄えさせることがあったが、この目標を達成するためにも共通の硬貨が必要だった。

彼は、交易によって、全ての者の生活水準が高まると確信していたのである。


ゴルディウスの結び目を一刀両断

アレクサンドロスは父の蓄えと東方への軍事遠征などでも莫大な財宝を獲得することで、造幣所に送り込む金と銀には不自由しなかった。

かれは、勇猛果敢な指導者としても有名であった。


パクトロス川で身を清めたミダス王を覚えているだろうか?

ミダス王の最後は不幸であった。彼は、王宮の門前で毒をあおることでその生涯を閉じた。しかし、彼が忘れられることはなかった。彼の馬車が300年間ゴルディウムの神殿の杭に複雑な結び目で繋がれたままになっていたからだ。そして、これを解いたものはアジアの王になるとの予言が伝えられていた。これが、かの有名なゴルディウスの結び目である。

このゴルディウスの結び目を一刀両断のもとに断ち切ったのがアレクサンドロスであった。それは、紀元前334年にアレクサンドロスがエジプトからインドの征服に向かう旅の途上のことであった。


ゴールド 金と人間の文明史 ピーター・バーンスタイン

(2020年7月26日更新)

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