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漫画もやもや:GUNSLINGER GIRL

2012年の文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞に輝いた作品なのだが、以前読破して思ったのは「日本の漫画界の道徳観・倫理観終わってね?」だった。平成中期までのオタクカルチャー本流ど真ん中と言えばそりゃそうなのだけど、いくらなんでもザーメン臭(概念)がキツくて参ってしまった。
作者の同人作品から始まった本作なので、自費出版ならいくらでも好きにやってどうぞと思うものの、商業連載するにあたって出版社側が諸々修正すべきだったんじゃないの?どうなのKAD●KAWAさん…。

🤔義体に少女しかいない理由に整合性がない
まずそもそもとして、戦闘を伴う諜報員の義体に女児が適任という決定的な理由が見当たらない。人体改造技術でサイボーグ化できるくせに何で生理は止めてないの?非効率的すぎない?肉弾戦ありのハードな現場なら女の子より男の子の方が、子どもより大人の方が向いてるとか、洗脳とか少女兵とか子どもの権利条約的にアウトなんじゃないとか、色々と頭を過るので世界観にも没頭できない。
というか公社・義体・フラテッロみたいなあらゆる舞台設定からザーメン臭(概念)が立ち上ってきて本当に無理。可愛い女の子から人権を奪って戦わせるシチュエーションとピュアな少女たちが傷つきながらも悲運な人生を懸命に生きるところにカタルシス感じちゃうでしょ?みたいな話で金儲けすることを恥じてくれ。

🤔義体の少女に人権がなさすぎる
義体化するにあたって少女側に同意はおろか説明さえしてなさそうなんですけど、この物語のイタリア政府の人権感覚が全体的にやばすぎる。こんな国に美少女として誕生したら最後、いつ勝手にサイボーグ化されるかわかったもんじゃない。女の子に特化して記憶・人格の剥奪、人体改造による人権蹂躙をしてるなんて公社はミソジニストの集団に違いない…。義体たち個人の人権より国家の安寧みたいな大義名分があるのだろうけれど、全体主義に散っていく子どもの存在を美談にするなんて醜悪極まりない娯楽ですよ。

🤔組織、担当官に社会的責任の自覚が乏しすぎる
無理心中メンヘラ男(ジョゼ)、正義ぶった卵子泥棒(ヒルシャー)、無責任ネグレクトハゲ(マルコー)、死に損ないのパワハラ野郎(ジャン)、陰キャナルシスト(アレッサンドロ)と錚々たる顔ぶれ。義体がなぜか美少女しかいないのと同様、ペアを組む担当官がなぜか成人男性しかいない。…のは一旦さておき、公社にいる時点で担当官も全員人権感覚がまともじゃないのは前提である。
気が向いたらちょっとだけ義体との関係について悩んだりしているくらいで、義体の人生がとか子どもの権利がとか組織の構造について考えてるやつ皆無。やばすぎる。それでも(条件付けで)義体にベタ惚れされて全肯定してくれるのでオールオッケーだし、自尊心も保てていい職場。クリスマスには全員4℃でハートモチーフのアクセサリーを義体にプレゼントにしてそう。一人残らずクソみたいな大人しかいない公社。どうにかしろ。

まぁ言うて10年前に完結してる作品だし、今だったらもうちょっとまともな路線にしてくれたかも…と勝手に希望を抱くしかない。個人的にはもう二度と読み返したくない話ということだけは書き残しておく。
子どもの人生とか命を消費して存続する社会なんて美しく描いちゃダメです。

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