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2024.8 八ヶ岳 オーレン小屋 ファミリーキャンプ

2022年の夏、立山・雷鳥沢キャンプ場で山岳ファミリーキャンプを始めました。今回は2回目のチャレンジとして、家族4人(私、妻、子・中学生、子・小学生)、1泊2日で八ヶ岳・オーレン小屋テント場でキャンプした記録です。


北アルプス・涸沢から八ヶ岳へ予定変更

 山岳ファミリーキャンプの2回目のチャレンジは、2泊3日で北アルプスの涸沢を予定していた。台風の影響で天気がまったく読めなくなり、雨の中、長距離を歩くリスクは避けたいので、八ヶ岳で1泊と全く違う内容に変更する。行き先は標高2300メートルにあるオーレン小屋のテント場。登山口(桜平)から90分400メートル登ったところにある山小屋で、そこにテントを張り、さらに90分400メートル登ると八ヶ岳・横岳へと続く稜線を眺めることが可能な硫黄岳のピークへ行くことができる。登山口からオーレン小屋までのルートは整備が行き届いているらしく、もし悪天になったとしても対応可能だと考えて、予定を変更した。

オーレン小屋(テント場)まで

 八ヶ岳は30年近く前に何度か登っているが、このルートは初めて。登山口の桜平までは、茅野市の最奥にあるゴルフ場から約5キロメートルの未舗装路を車で行く。もちろん道幅の狭い道路で登山前からテンションが上がる。途中、下山してくる車と2回すれ違ったが、タイミングが良く長距離バックなどもなく、平日ということもあり登山口に一番近いスペースに停めることができた。荷物のチェックと軽い体操をして出発。天候は薄曇り気温は18℃。(9:30)
 コースタイムは90分。30分で夏沢鉱泉、そこから60分でオーレン小屋。夏沢鉱泉は宿泊が可能な小屋で、ここまでは山小屋の方が車を走らせられるように、登山道というよりは車道(未舗装)が整備されている。いきなり登りが始まるが、テント場まで90分ということ、東京より気温が10℃以上低く、爽やかな風があるということで、とても気持ちがよく、あっという間に夏沢鉱泉小屋に到着。青空も出てきて、家族も気分良さそう。この調子でオーレン小屋までサクッと登りたい。(10:10)

夏沢鉱泉。平日だから小屋もひっそり。

 夏沢鉱泉から先は沢沿いを行く登山道になる。数カ所、がけ崩れが危険な箇所があるが、問題ないレベル。登山道はシラビソなどの木やたくさんの苔に覆われてとても美しい。足元から山へと続く苔の壁は「もののけ姫」の犬神が出てきそうな感じ。30年前に八ヶ岳を歩いていたときは、このような自然を感じながら歩くことができていたのかは、覚えていない。子供たちは2年前に行った立山の印象がとても良かったようで、今のところはご機嫌で歩いていく。(下りのほうが辛いようで、下りはいつもご機嫌ななめ)黙々と歩く、というほどではなく、楽しく歩いていると、ほぼタイムコースどおりでいきなりオーレン小屋が出てきた。(11:10)

オーレン小屋までは急登もなくとても歩きやすい。
青空が見えるだけで、元気がでる。
樹林帯の中に急に出てくるオーレン小屋。タルチョ(5色の旗)がかかる
小屋は日本で初めて見たかも。エベレスト街道を思い出した。

硫黄岳へ

 オーレン小屋名物のボルシチやカレーなどをいただき昼食を済ます。小屋での食事は荷物の軽量化に直結するし、温かく、彩りのある食事で疲れがとれるだけでなく、気分があがる。山小屋の食事は家族のテンション維持のためにも必要だと思う。キャンプの受け付も済まし、さっそくテン場へ。100張ぐらい可能だというテン場はとても広々していて、平日ということで2つのテントがあるだけ。キャンプの雰囲気よりも、一番小屋に近い便利な場所をベースにしようと決める。古く、ところどころ壊れているがテント用のスノコが設置されていて、それを活用し3人用と2人用の2つのテントを張り、寝袋や食事道具をさらっと整理する。時間や体力に余裕があるので、さらに硫黄岳まで登ってみることにする。アタックザックに飲料とレインウエア、行動食を入れ出発。(12:40)
 子供たちは、もう歩かなくてもいいだろという雰囲気だったが、テン場にいても「暇だ」とか言い出すのが目に見えているので、連れ出していく。最初は樹林を歩き夏沢峠・ヒュッテ夏沢へ。(13:00)ヒュッテ夏沢は予約のあるときのみ開けているようで、この日はクローズしていた。夏沢峠あたりから低い木が増え、空が抜けてきたが、雲も増えてきて景色はイマイチ、爆裂火口も見えない。ただ雨が降るわけではないので、上を目指す。硫黄岳へと続く稜線に出るといきなり木々がなくなり、少し急な砂礫の斜面をジグザクに登る。登山口から3時間も歩いていないこと、雲に包まれていることで、ここが標高2500メートル以上の稜線という実感がわかないし、風もなく、特に危険なところもないので、正直、緊張感はあまりない。途中、小休止を挟みながら1時間、硫黄岳の開けた山頂に到着する。硫黄岳の向こう側(東側)はガスが晴れていて、硫黄岳山荘や横岳までの気持ち良い景色が見えた。本来はその先の赤岳や阿弥陀岳も見えるはずだが、ともに山頂は雲の中だった。(14:00)

硫黄岳山頂。ガスが晴れてラッキー。

キャンプの楽しみ

 山頂ではひらけた視界にテンションがあがり、写真や動画を撮りながら30分ぐらい過ごした。オーレン小屋から歩いてきてすれ違ったのは5パーティぐらい、平日の山は空いていてノーストレスだ。下山は赤岩ノ頭から。ノンストップ45分でオーレン小屋へ。下り歩きが嫌いな子供たちは一言も口を聞かず親から先行し猛烈なスピードで下山していった…。(15:15)
 飲み物やアイスクリームを買って、小屋前のテーブルでのんびり過ごす。この時間を過ごすために、山キャンプをしているのだと思う。登山目的で山を歩いていた若い頃は、山小屋で物を買うお金もあまり無かったし、こういう時間は持てなかった。テントに戻り、さらにコーヒーを淹れたり、インスタントラーメンを食べたり、そして17時になり、オーレン小屋のお風呂へ。そう、なんとオーレン小屋にはお風呂があり、宿泊者はもちろん、混雑状況によってはテント場利用者も利用可能なのだ。石鹸の利用は禁止で沸かした湯につかるだけだが、山上に風呂があるなんてありがたい。この日は利用者が少ないため貸し切りで、窓を全開にして山の空気を深く吸い込みながら檜風呂でさらなる幸せ時間を満喫する。

ほぼ貸し切りのテン場でリラックスタイム。

 風呂からあがり、夜ご飯を開始。ご飯といってもアルファ米とドライフードのお味噌汁。美味しいものではないけど、ワイワイと家族で食べたらそれなりに楽しい。お菓子もいろいろ持ってきたので、とにかく満腹にはなる。雨も降らず硫黄岳にも登れたので、ラッキーな一日だったと思う。陽が完全に落ちて、ふと空を見たらなんと雲が取れ、一面に星が広がっていた。こんなコンディションになるとは予想していなかった。星が多すぎて、どれが星座だか分からないほどの空。写真を撮り、飽きるまで眺め続けた。山のテン場は隣のテントが近かったり、翌朝早朝から山行に出る人が早めに寝てたりと、静かに早めに寝るような感じが多いのだが、この日は隣のテントも遠いので、気を使わず家族でキャンプを楽しむことができた。

テント3張の静かな夜。
30秒で撮影。(iPhoneにて)

下山

 どんよりとした空気で今にも雨が降りそうな朝。昨晩から気温も下がらず、温度計を忘れたが15℃ぐらいだと思う。食欲もなく、誰もアルファ米には手を出さず、下山だけなのでまあいいかと、ドライフードの味噌汁やお汁粉で朝食を済ます。朝露に濡れたテントのフライを乾かして、ゆっくり片付けて撤収したかったが、天気も微妙なのでさっさと片付けて、オーレン小屋でお土産の手ぬぐいをゲットして、下山開始。(9:00)昨日きた道を黙々と下る。天気は回復することはなかった。途中、夏沢鉱泉で軽く休憩し、無事、桜平へ下山した。(10:30)
 約24時間の工程はあっという間に終わってしまった。天候やスケジュールの都合があり、山にこられただけでも良しとしたいが、カラダの中に山が半分ぐらいしか入ってこないような気がする。やはり2泊は山で過ごしたいので、今後の計画に活かしたい。もうひとつ、今回、標高差400メートルの登りでテントを張ったが、涸沢の場合は上高地-涸沢間で標高差800メートルあり、家族で行くには少しハードな工程になりそうだということも認識できた。
 ちなみに桜平からの林道走行はすれ違う車もなく無事クリアし、道路に出て10分ぐらい走ったところにある立ち寄り湯の尖石温泉「縄文の湯」でカラダを流した。

下山後、林道入口にある大山祇神社で手を合わせる。