見出し画像

Science Fictionsあなたが知らない科学の真実


「超能力がある」という論文が有名ジャーナルに掲載され、「いやいや、私たちのチームも実験したけど、効果なかったよ」と、反論を同ジャーナルに送る。

「投稿不可。新規性がないし、効果のない(null)結果は掲載価値がない」と、雑誌社からの回答を受ける。

この経験を通し、著者はこの本を書く。

「科学業界って、おかしくない?」だってさ…

① 心理学の実験で再現性のあるものは39%ていど(science 349. 28 aug 2015)
②名声目当ての詐欺(韓国のスーパースター、ハン・ウソクの事件)
③助成金目当ての詐欺(多発。横のラボの噂も…)
④同調圧力(中国で行うと鍼灸は100%効果的になる)
⑤盛りすぎ(NASAの地球外生命体ネタとか)
⑥バイアス(利益相反あるとね)
⑦過失(コンタミやら、無知やら)
⑧論文数によるインセンティブ(質よりも数優先になり。コマ切れ論文が多くなる)
⑨相関と因果のごちゃごちゃ(n数が増えたら、統計的優位性はなにかしらでる。p値ハッキング)
細かいとこを掘ると、p値のかわりにベイズ推論使うのはいいなぁと思いました。

⑩ハゲタカジャーナルの乱立(すごい数のジャンクメールが「私たちのとこで発表して」ときますよね)

そういうなか、オープンアクセスを使ったエコシステムを作ることで、科学は修正できる。と、提案しています。

コロナ禍以降、プレプリントを目にする機会は増えました。僕は知らなかったのですが、物理、経済学者は数十年前からプレプリントの文化があったそうです。
コロナが残した「負の遺産」は多いですが、生物系の論文に関して言うと、コロナのおかげで、情報は手に入りやすくなりましたね。

プレプリントで情報を開示する。キュレーターのような読者が評価をし、「いいね」を押していく。
出版社は評価の高い論文を、選定しお墨付けを与え、影響を増幅させる。

昨今のアーティストがSNSで作品を披露し、大手プロダクションが発掘していく世界と同じです。
光り輝くひとにぎりの天才アーティストがデビューする一方、平凡な大多数はサーバーの中に埋もれていく。これは論文も同じことが起きるだろう。

この本によると、生物学・医学分野の論文数は前年40万報。科学全体では240万報(2013年のデータなのでいまは倍くらいになってる?)

自然科学、社会科学に限定すると引用されなかった(5年以内)論文は30%もある。このような論文は埋もれていくことになるでしょう(決して価値がないわけでない)。

この本を読んで感じたことは、世界が繋がることで、科学は良い方向に向かうということ。

不正は暴かれるだろうし、たいしたことないものは無視されるし、良いものはより議論される。
科学の民主化が予想できる。逆にいうと、VPNで遮断した世界では、科学の未来はないでしょうね。


いいなと思ったら応援しよう!