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「あなた」は何人? タヒチ語の「You」

ハワイ語の名曲、「アロハ オエ」
アロハは「愛している」「大切に思っている」と言う意味で、「‘oe」は「あなた」を意味している。
人の関係性が複雑な日本では「I」も「You」も豊かな人称代名詞が存在している。「あなた」「きみ」「おまえ」「おたく」「そちら」などなど。

日本語/ハワイ語/タヒチ語
わたし/ au / vau (前の単語がa, o, uで終わる場合) or au (前の単語がe, i で終わる場合)
あなた/ ʻoe / ʻoe
あなたたち(二人)/ ʻolua / ʻōrua  
あなたたち(三人以上)/ ʻoukou / ʻoutou
彼・彼女 / ʻo ia / ʻona
彼ら(二人)/  lāua / rāua 
彼ら(3人以上)/ lākou / rātou

人称代名詞

「あなたたち」「彼ら」は二人か、3人以上で単語が変わる。
二人に限定した複数形を「双数形」という。英語でも「Git(あなたたち二人)」という単語があったが、衰退し使わなくなった。「あなたたち二人」は確かに使い勝手は良くないようで、wikipediaの「双数形」を読むと、多くの言語で使われなくなったと書かれている。(確かに、日本語でも「ご両人」という言葉があるが、使用頻度は低い)

ポリネシア語(ハワイ、タヒチ、サモア、トンガ、マオリ)では代名詞(「you, them」)に限定し、双数形が残っている。

「Aloha ʻoe」はハワイ王国最後の女王、リリウオカラニが作った。ハワイ王国はなくなり、ハワイ王国民はいなくなってしまう。それを惜しんで作られたという説もある。
しかし、文法的にみると、「Aloha ʻoe」は「あなた(ʻoe)」にあてていて「あなたがた二人(ʻolua)」でも「あなたたち(ʻoukou)」 でもないことがわかる。
ハワイ民族にあてた政治的な歌ではなく、純粋に彼女の「アロハ」を特別な人に当てて作ったものだ。

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