私はどうしたら童貞になれるか
私はどうしたら童貞になれるのだろうか。
唐突に何の悩みだ。
なれるわけなど到底無いのだから悩む必要などない。
そんなことはわかりきっているのだが、でも今はとにかくどうにかして童貞になりたいわけだ。
このところずっと、さよならミオちゃんというバンドをエンドレスで聴いている。
通勤中の車の中でアルバムをランダムリピートさせているわけだ。
そんで、もちろん全曲最高で最強なんだけれども、だから全部好きでどの曲が好きとかそういう次元で選べるものではないんだけれども、今の私の気分にガッチャンコとハマるのが「童貞に戻りたい」というタイトルの曲なわけです。
タイトルの破壊力たるや…とお思いになるかもしれないが、サビでも「童貞に戻りたい」と何度も繰り返す最高にパンチの効いた曲で、これを車内で流しながら職場の駐車場に平然と入っていく私は、万が一音漏れして周囲に聴こえてしまっていた場合はどうしたらいいんでしょうか。考えていませんでした、今その危険性に気付いたぞ…ちょっと血の気が引いてきましたがまあいいだろう。
とにもかくにも、この曲がまた、良いんです。
すっごく好きなわけですよ。
そして、何と無しに感情移入してしまうわけです。
「ああ こんな気持ちになるなら 僕は童貞に戻りたい」
あああああわかる。…と思うのに、かなしいかな、童貞だったことの無い私に分かるはずがないんだ、その気持ちは。
一生分かるわけはないのだ。
なんとかなしいことか。
でも、分かる気がしてしまうのだ。
違うのだとしたら、私のこの気持ちは「童貞に戻りたい」以外の何だというんだ。どう言い表したらいいんだ。
女なんだから『処女に戻りたい』でいいんじゃないの~と言われそうだが、わかってない…わかってないぞ!!
処女と童貞じゃ全然違う。
違い過ぎるんだ、別物だ。
それに私は「童貞に戻りたい」な気持ちではあるが、処女には戻りたくなんかないのだ別に。
そもそも、処女と童貞では、ありとあらゆるものが異なる。
若くて可愛い処女はもてはやされるが、ある程度の年の処女は重いと疎まれたりする。が、童貞は若くてイケメンの童貞でももてはやされることはないし、ある程度の年の童貞でも別に重い、責任取らなきゃ、なんて慎重に扱われるイメージはない。(単に私の偏見だったらものすごくごめんなさい)
とりあえず、処女性とかいう言葉もあって、なんとなく女性は処女であると神聖な印象もあったりと、なかなか厄介な印象が女の私としてはある。
処女ですと言って笑いは絶対に取れないが、童貞ですと言ったら笑いが取れるような感じもするじゃないか。
(あー、昔近所の飲み屋のママさんが「私なんかもう何十年も使ってないからクモの巣張ってて、処女膜のかわりになるから、実質処女みたいなものよ」なんてネタで笑いを取ってたのを思い出したけど、これは別に処女で笑いを取れているわけではないよね)
そして、童貞の何がいいって、一定の年齢に達すると魔法使いになれるという設定がいい。
その点、処女では妖精さんらしいじゃないか。
妖精じゃだめなんだよ…フワッっとしすぎてるじゃないか、ファンタジーではあるけれど、弱い。
私は魔法使いになりたいんだよ。
童貞に戻って、こじらせて、魔法使いになりたいんだ、私は。
しかしながら、私には戻れる童貞がない。
童貞だった時代すらない。
つまるところ、私には童貞に戻りたいと言う資格がないんだ…なんということだ!かなしい!
結局つまるところ、私は真の意味でこの大好きな曲に共感し得ないということじゃないか。
これは、とても、つらい事実だ。
なので、私は悩んでいる。
どうしたら童貞になれるのか。
正しくは、童貞に戻れるのか。
童貞に戻りたいと言えるようになれるのか。
まあ、どう頑張ったところで、私が童貞になれないことはわかりきっているんだけれども、そんなとりとめのないことをずっと考えている。
たまにはそんな無為な時間を楽しむのもいいよなと言い聞かせたりして。
それにしても、もし私が童貞になったとして、絶対と言っていいと思うんだけど、性に対する好奇心を抑えられるはずもなく、たぶん女の子を口説いてうまいことこぎつけてセックスしちゃうと思うから、あっという間に童貞じゃなくなっちゃう予感もする。
とんだクズ野郎だなと思うけど、たぶん私が童貞になったらそうなると思う。
だめだ、魔法使いになるのはなかなか容易ではないぞ…
しかも、童貞というのは一度童貞じゃなくなってしまったらもう二度と童貞には戻れないんだ。
これは難しい。
幼少期を懐かしむのともまた違う。
なぜなら、童貞でいるかどうかというのは、選択の余地があるからだ。
幼少期で居続けるという選択肢は誰にも用意されていなくて、問答無用に私達は幼少期から青年期を経て大人になっていってしまう。次から次へとノンストップでライフステージを進み続けるんだ。
でも、童貞からは自動的に次に進むわけじゃない。
セックスという、いわば儀式的なものを経て、童貞から童貞ではない何か(経験者ってやつ?)に変貌を遂げるのだ。
つまりは、そこで童貞で居続けるという選択をしようと思えば、できる。
自分自身で決定することなのだ。
童貞じゃなくなる選択をした自分にその責任は重くのしかかる。
だからこそ、童貞に戻りたいという言葉が、いかに響くかというところにつながってくるのかもしれない。
お、何かつかめそうな気がしてきたぞ。(たぶん気のせい)
いや、でも、もしかすると、取り返しのつかない自分の選択、その責任の重み、後悔、でも覆せない事実、現実…そういった感情を抱えた今の自分の心境、それが「童貞に戻りたい」なのかもしれない。
うわああああああああああそれなら私がわかる!と童貞であったことなどないし戻れる童貞などないのに共感してしまうこの気持ちに説明がつくではないか!!!
やっぱりどうにも私は童貞にはなれない(戻れもしない)けれど、もしかしたら共感してもセーフですかね?…って思えたから、それでいっか。
まだ聴いてない方は、ぜひ聴いてみてね。
〜追伸〜
さよならミオちゃんの日野ヤヨイさんのnoteに掲載されている曲解説を拝読したら、なんと、
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「童貞」というのは男も女も、全員心に抱えている奴はずっと抱えていて、一生抱えないまま生きている人もいるけど、俺は抱えている人が男女問わず人として大好きだし、この曲がそういう人に響けばいいなと思っている。
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……と仰っていて、どうやら私も心に童貞を抱えている側の人間で、だからこの曲がこんなにも心に響くのだろうと思うので、絶大な共感を持って聴き続けていいみたいです。
教会に懺悔に行ったら神のお告げがあって赦しを得たような心持ちだぜ!!
そういえば、私は以前からよく「心のち○こが一瞬で萎えるわ!」だの「心のち○こがフル勃起」などと内心思っておったので、私の心にはち○こもあるし、童貞も抱えているらしい。
どんどん得体の知れない人間になっていくような気がするけど、まあ、いっか!
★なんとMusic Videoが公開されたので、Music Videoへのリンクを追加しました!オマエらみんなこぞって聴きやがれ〜!
そして叫ぼう!いくぞ!!僕は童貞にーー戻りーたい!!!!!
(2023.2.9)