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けがれた者達の歌 春雷

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春の季節に書いた 春の詩と物語の在り処
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#お題

私から物書き達への永久お題

私から物書き達への永久お題

私の書く物に
不快に思う者達が
居るだろう?

だったら
其の不快感を
吹き飛ばせるだけの物を

書いて
魅せれば良い

表現力を
魅せ付けてみなよ

夕焼けの街歩き

夕焼けの街歩き

夕焼けの街中を
僕は歩く

僕は何時も
素顔を見られたく無いから
被り物で
顔を隠しているんだ

って思われてる…

此れが
僕の素顔なのにね

錆色の空

錆色の空

地上に在る物は全て

暗色の景色

形も表情も

曖昧で

分かりにくいんだ

其の中に 僕も居て

少しずつ

色を変えてく

錆色の空に

記憶が呼び起こされ

思い出す

錆色の空に視える

僕の情景

残花

残花

花の残香に

誘われる様に
指先で触れる

花の淡い色に
見入ってしまうんだ

春風が
残り少ない
花弁を攫って行き

僕の周りに

花弁が舞う

森の大樹

森の大樹

枝先を上げても

あの
高い空迄は
届かないけれど

緑の葉を伸ばすんだ

ザワザワと揺らす
緑の葉に風を感じ

僕は唄うよ

おいでよ此処に
僕の元へ

此の樹洞の中に

木の鼓動を
奏でるから

おいでよ
僕の元へ

濃緑の香る
樹洞の中で

其の骸を守るから

夜の底

夜の底

僕は

地べたに寝転がり

夜空を見上げた

とても

遠い夜空に

手は届かないけれど

欠けた月を

手で触れる真似をして

星は指で

弾く真似をする

夜風が静かに

黒い雲を運んで来て

僕が雲の影に

入ってしまった時

僕は夜の底に

落ちた様な気分で

寝入るんだ

ドクダミ

ドクダミ

影の中に

隠れていても

ジメジメした所に

いたとしても

此の

クセの有る

強い香りを辿り

見つけてみなよ

出社直後の気まずい感じ

出社直後の気まずい感じ

゛トントン〝

゛コッ〝

゛カタン〝

まだ
誰も居ない筈の
静かな職場に
何者かの
気配がする

゛ガタガタ〝


音の鳴った硝子を見ると
何者かと
眼が合って
僕に何かを言ってたんだ

善と悪

善と悪

私は白い

私は高い声で鳴くよ

小気味よい私の声は

人を迷わせる事が有るみたい

僕は黒い

僕は低い声で鳴くんだ

耳障りな僕の声は

人に魔がさす事が有るんだ

春霞

春霞

柔らかな風が
誘う様に
通り過ぎる

まるで
僕の視線を
上げさせる様に誘うんだ

其処に有ったのは

花の香り漂う 春霞だ

柔らかな風に
揺れる枝が

僕に花の香りを落としていくんだ

純文学みたいな雨でした

純文学みたいな雨でした

外に出た途端
私に合わせた様に
雨がポツポツと
降ってくる

傘をさして
テンポの良い
雨音に合わせて歩く

水溜りに波紋

磨りガラスの様な景色

傘から落ちる
雨の雫に触れてみると

指先にから手首にまで
流れていく

一粒の雫が
雨の冷たさを教えてくれる

絶対見つけるよ

絶対見つけるよ

月明かりが照らす

本の世界で

君が居る物語を探すんだ

君に名前がなくても探せるよ

君が此の中の

一つの物語の中にだけしか

居なくても

君を探すんだ

水鏡

水鏡

陽が沈む頃
黒髪の森の精霊が現れる

黒髪の精霊は
落ちた花弁と葉を
幾つか拾い

暗い森の奥へと行くのだ

森の奥に
鏡の様に
綺麗に夜空を写す
池があって

其の池に拾った花弁と葉を
浮かべるのだ

其の水鏡の池で起こる
波紋と
星と月、花弁と葉を
眺め見て
此の世の道筋を知るのだ