厳罰化に関する寓話(あるいは悪についての思考実験)
なくならない犯罪を撲滅するため、世界の法律は厳罰化に次ぐ厳罰化によって、ついにあらゆる罪を犯した人間は、発覚次第「死刑」となった。
そんな世界に、二人の少年がいた。
少年たちはどちらも極度の貧困から飢餓状態にあり、今すぐに食べ物を手に入れなければ、明日にも死んでしまいそうだった。
一方の少年は、生きるために食べ物を盗み、そして死刑になった。
もう一人の少年は、死刑になることを恐れ、そのまま飢えて死んだ。
そして世界は物を盗んだ少年を「悪」と罵り、飢えて死んだ少年を「正義」と奉った。
この世界では、誰も彼らを「救おうとしない」のだ。
(了)
僕が厳罰化の先に見る未来は、例えばこんな風だ。