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ボールペンは自前で買え!【社員の経営者マインドを育てる経営論】

「社内で使うボールペンが慢性的に不足しており、事務経費による購入に対して決裁をいただきたい」

このような稟議書に、企業はどのように対応するのが正解なのか、あなたは考えたことがあるだろうか。

社員想いの経営者なら、労働意欲の向上のためには社内環境の整備は必須だと考え、即座に了承の決裁を下すのだろう。少なくとも理想としては、社員がわざわざ稟議を上げてくるような意見には、例えそれが社内の瑣末な備品についてのことであっても、真摯に対応するべきだというのが世間一般の感覚なのではないだろうか。

しかし、それは誤りである。

正解は「ボールペンは自前で買え!」と突き返すこと。

なんとケチ臭い回答だと感じる人も少なからずいるだろう。しかし、この文章を最後まで読んでいただければ、その理由に誰もが納得していただけると確信している。


それでは、一つずつ順を追って考えてみよう。


まず、想像してみてほしい。その稟議書が経営トップの元に上がってくるまでに、どれだけの社員が関わってきたのだろうか。

稟議が上がるということは、当然その稟議書を作った社員がいる。また、その社員の上司はその稟議書に目を通したはずだ。企業によってはさらに何名かの取締役の決裁が必要かもしれない。場合によっては、ボールペンのために何度も会議が開かれたかもしれない。

では次に、そのために費やされた時間のことを考えてみてほしい。当然のことながら、稟議のために費やされた時間は、企業の規模が大きくなり、関わる人数が多くなるほどに増していくだろう。

こうして先ほどのような稟議書がトップに届くまでに、社員たちが先に記したような様々な過程で膨大な時間を費やしていることが、だんだんと見えてきたのではないだろうか。

では、その時間を少なめに見積もって100時間だと仮定してみよう。そうすることで、費やされたものを「数値化」することが可能になる。

その全てが時給1,000円のアルバイトの時間だと仮定して計算しても、その額は10万円になる。もちろんこれは最低に見積もった数値であり、ほとんどの企業で、実際にはそんなものでは済まないはずだ。稟議に関わった全ての人たちは、それだけの利益を生み出せたはずの時間を、ボールペンという高々数百円のためにドブに捨てたのである。

それでは、ここまで読み進めてくれたあなたに、改めて問うてみよう。


「ボールペンをタダで使うために、あなたは10万円をドブに捨てますか?」と。


もう答えは聞くまでもない。そして、これこそが「経営者マインド」なのである。


「自分がいかに企業の利益に貢献しているか」

難しいことを考える必要は一切ない。経営者の論理とは、実は非常にシンプルなのだ。

経営者とは常に、自分で自分の付加価値を高め、それに見合った「報酬」を得ている。しかしその報酬は、経営する企業からではなく「世間の評価」から得ているのだ。

備品のボールペンを企業側に用意してもらおうという発想は、果たしてあなたの付加価値を高める行為だろうか。もう一度、自分に問うてもらいたい。

ここまで読んでくださった皆さんなら、もうお分かりだろう。私が「ボールペンは自前で買え!」と突き返すことが「正解」だと断言する理由がこれだ。

さらに付け加えるならば、「福利厚生」を企業に求めるのも、同様の理由で謝りだと言っていい。自分の労働単価を時給1,000円で雇われている側に置いているから、それが「権利」だという考え方になるのだ。

しかし、考え方を「経営者」に変えてみると、見える景色は180°変わってくる。自分を「経営」するのは、他の誰でもなく「あなた自身」である。

自分自身をセルフプロデュースし、自分の付加価値を高め、労働単価を時給2,000円にする。さらに時給10,000円の自分になる、時給100,000円の自分になる。

そうしたとき、あなたの福利厚生は「自分の思いのまま」になる。それこそ、社内で使うボールペンのために稟議書を作る暇があるならば、今すぐにでも自分の労働単価を計算し直すべきだし、自分の付加価値を高めることに取り掛かった方がいい。

そうして経営者マインドを持つことができれば、あなたはあなたの時間を、思う存分「あなたのために」使うことができるようになるのだ。

「自己責任」という言葉がある。この言葉を嫌う人もいるようだが、そのような方々にも誤解してほしくない。私がこうしてここに記したことは、そもそも自己責任論ではない。ここに書いたことこそが、正しい「自己実現」の形なのだ。それすら理解できない人たちが、自己実現と自己責任を同一視し、まるで悪であるかのように語るのだ。

今日、このnoteを読んだ人は幸運である。今までの自分の誤りに気づくことができる人は、この世界には一握りしかいない。その幸運を今、あなたはまさに手にしたのだ。

さあ「ボールペンを自前で買う」ことから始めよう。

それこそが、未来のあなたを「自分自身の経営者」にする第一歩なのだから。

…………。

…………。

…と、このようにして、悪徳コンサルタントは、今日もあなたを搾取しようと虎視眈々と狙っているのですよ、というお話でした(笑)