差別の海岸線
先日、Twitterを通して親しくしていただいている「なんさん(@nankuru28)」と「桂木さん(@mayakima)」と僕でツイキャスをやらせていただきまして。
まあ言いたい放題しゃべくったのですが、その中で僕が「差別」について、最近どんな風に考えているかを話す機会があったので、せっかくなので文字起こししてみました。
これを読んでくれた皆さんに、僕の差別に対する考え方が少しでも伝われば幸いです。
以下
いさけん→【い】
なんさん→【な】
桂木さん→【か】
【い】最近だと、だから渡辺直美さんことをちらっとツイートしたけど
【な】やってましたね〜笑
【い】あれもやっぱり何かちょいちょい(リプライや引用が)来るんだけど…いやだから「好きにすれば?」としか、こっちは言いようがないようなリプや引用がきたし。
【な】あなたが、その考え方で行くなら行けばいいんじゃないです?関係ないしね〜、みたいな。
【い】そうそう…だから、何だろう…要は、そういう(差別とは何かについての一つひとつ具体的な)線引きって、結局は出来ないじゃない?
で、(線引きができないって)何だろうと思ってたら、よく言われるんだけど「波打ち際」って、どこからが波打ち際なのかって…その「陸と海の境」って曖昧じゃない。
【な】うん
【い】波打ち際って「線」があるわけじゃなくて、波がいったりきたりしながら、そこらへんが何か、海と陸の…どこかからが海で、どこかからが陸なわけじゃない。じゃあ、波の中は「陸なのか海なのか」っていうと、まあ海だって言われれば水だからそれまでなんだけど…でもじゃあ、波って何よみたいなことを考えたときに、結局そのへんの境目ってピッシリ線は引けないよねって思うわけですよ、何となくね。
【な】そうなんですよ、それで20年経つと「砂浜が半分になってた」とかあるわけですよ。
【い】そうそう!まさに本当に俺そうだと思って、地形は変わるから、だから「もうここに砂浜はない」んだよっていうことが分からない人がいるんだなっていうのは、ものすごく感じるのね。
【な】うん
【い】「いや、ここに砂浜はあったんだ」って言われればすごく納得はするんだけど、でも「今はないよね」って…で、その砂浜で俺は未だに俺は遊びたいんだって言われて、まあ遊んでもいいけど「(砂浜は)ないから溺れるぜ?」って思うだけなわけよ。
【な】笑
【い】だから、遊ぶなとは言わないの。溺れるよとは思うけど「俺はここにあった砂浜の、あの思い出が忘れられないから、この場所であの頃のように遊ぶんだ!」って言ってる人に、危ないからやめなとは、俺は思わないわけ。
【な】うん
【い】「まあ、いいんじゃない?その代わり溺れるよ?砂浜ないから」って思うだけで。
【な】うんうん
【い】で、溺れて「う〜ん、苦しい!」とか言って「あの頃の思い出を返せ!」って…いや、だから「ないじゃん!砂浜!」って…何で分からないのって思うわけですよ。
【な】爆笑
【い】いや…分かる?
【か】分かります笑
【い】いや、ないから…そりゃ苦しいんだよって。だってないもん、砂浜。
【な】笑
【い】「いやでも、昔はここに砂浜が…」って、うん分かる分かる、うん。でも「海な、今な、そこな」ってしか思わないわけよ。でも、俺はここで遊びたいって言ってるから、じゃあだから遊べばっつって…ねぇ、知らないじゃんそんなの。
いやでも「ないよね?」って言うしかないじゃん、こっちは。
【な】言ってあげるんだ、親切だね笑
【い】そう、一応「ないっすよね?」って、なくなったから。
【な】「ないですよね?」って言ってあげるだけ親切だと思うわ
【い】笑
【な】私、黙って「あ〜、そういう考えなんですね〜」って言って、心の中で「溺れて◯ね!」って思ってるけど、それは言わな〜いっていうくらいの、私はそれくらいの腹黒さ笑
【い】そうね、なんさんはそっちよね笑
【な】笑
【い】俺はやっぱり…ないと思いますよって「ないものはないんじゃないっすか?」くらいは言う笑
【な】私そこがね…分かんない人たちにどうするかっていうことが一つあるのと、もう一個は今、ちょうどほんとに出てきたんだけど、それこそね「自他境界」も同じことが言えるわけ。
【い】うんうん
【な】「あなたの顔が嫌い」って言われたら、なんでショック受けるの?
【い】…ね笑
【か】あなたの顔が「悪い」って言われたわけじゃないですもんね、まず一つは。
【な】そうなんです、そこなんですよ…「お前の好みにあってない」っていうだけの話で、なんで私は傷付かなきゃいけないのかっていうのがあるわけですよ。
【い・か】うん
【な】なのに何で傷付いちゃうのって…そりゃあ「あんたの顔が嫌い」って、あんまり言わない方がいい言葉じゃないですか、もちろん。
【い】うん、そうね
【な】でも私、百歩譲って、私はそれは言ったりも…そこは、百歩譲って「言ってもいい」ラインなんですよ、私の中では。
【い】うん
【な】なんでかって言うと「自分自身の価値判断である」っていうところがあるから。
【い】あ、分かる
【な】でも「あんたの顔がキモい」って言った瞬間に、価値観が一般化してるみたいな誤魔化し方が「卑怯でたまらなく嫌」ってところが、私の中のラインなんですよ。
【い】うんうん…ああ、分かるなぁ
【な】で、私はだから「あんたの顔が嫌い」っていうのは、ギリセーフなんですよ、私の中では。
【い】うんうん
【な】でも、あんたの顔がウザいだったら…ウザいだったらまた別だし、キモいだったら絶対ダメみたいな、そういう私の中の自他境界的ラインがあるんですよ。
【か】「あなたの顔が気持ち悪いと、みんな言っていますよ」っていうニュアンスが入ってきますもんね。
【い】「キモい」に関してはね
【な】そうなんです、そこが嫌なんです、そこが嫌いなの。だから、(例えば娘が私に「キモい」って言ってきたら)娘に「それはどういう意味なのか私に説明してもらっていい?」ってなるんですよ。
【か】うん
【な】「キモい」って言葉を使うんだったら説明しろよっていうのは、そこのあたりが譲れないラインだったりするんですよね。
【い】だからね、話をさっきの「波打ち際」の話を区切るとね、だから「防波堤は必要でしょ」とは思うの、一応ね。
【な】うん
【い】だからそこを越えてきたら、さすがに津波じゃんみたいな話で…ごめんね、そういう地域に住んでいた人はちょっとだけ嫌な記憶をアレかもしれないけど…みたいな、そういうものはある程度、防波堤は必要かもしれないけど「波打ち際がどこにあるのか」って議論をするのは無意味だなとは思うし、それは「変わっている」ということにどれだけ敏感になってるかっていうのはね
【な】うん
【い】自分の身を守るためにもね…自分が苦しい思いをしないためにも「ああ、ここに砂浜があったのにな」って懐かしむのは構わないけど、そこでずっと遊んでたいっていう気持ちは、何とか自分で処理しろよってしか、例えば「差別」に関しては思わない…思わないっていうか、(自分の考え方は)そういう感じなんだなっていうのを、最近やったツイートに対するリプとかを読みながら、ちょっとまとまったなっていう話をしたかったの。
(了)
もしかしたら、これから世界はもっと差別という「海原」が広がって、安心して暮らせる「陸地」は減っていくのかもしれない。
それでも僕はできるだけ、減っていく陸地を嘆くより、残されたその場所でどれだけ豊かに生きていけるかを考えていければいいなって、最近はそんな風に思っています。