欲しかったのは、退かない私
守られることが嫌いだった。
呑まれることをどこかで感じ取っていたのだろう。
呑まれるという同調的な守り方。
合わせる限りにおいては守ってくれるけれど、もしも「私はこう」と一言口にしてしまったら ――
それは支えを持たない混沌とした空間だ。
行動ではなく、私を守ってほしかった。
それはいわゆる無償の愛といったもの。
おだて合って生き延びる世の中で、おだてなくとも続く人間関係といったもの。
けれども、そのような無償の愛を信じられるほどにロマンチックな年頃でもなかっただろう。
守られることが嫌いだった。戦えるようにならなければいけないのだと。
ならば、支えもなしに得られる強さとはなんだ?
私を守られて、確固たる私が在る ―― その支えこそが人を強くするのではないか。
戦うテクニックが欲しいわけじゃない。
戦いの場で、私を退かせない支えが欲しい。
それなら私は、守られることを決意してやる。
こうなったら、無償の愛を己の心へと叫び続けよう。
何ヶ月でも何年経っても ―― 外ではない、内へ向かって叫び続ける。
それが、私のずっとやり続けてきたことだった。
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