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思い出の風俗<名古屋編②>

こんにちは、かずさんです。

名古屋編の続きです。


老婆(※いわゆる客引きの女性)に誘われ、やって来た名古屋市内の古宿の一室で、今か今かと女性の到来を待つ私。

畳敷きの居間には、派手な朱色の掛布団が気になる大き目なせんべい布団が敷かれており、いつか見た時代劇を連想させます。お部屋の雰囲気はともかく、やはりこの後にやって来る女性が気になります。逸る気を落ち着かせながら彼女の来訪を待つしかありません。

5分が経過…。

私「どんな子が来るのかな~♪ ギャルなんかが来たらどうしよ~(照」

15分が経過………。

私「まぁまぁ、落ち着け息子よ(笑」

30分が経過………………。

私「………」

って、全然女の子来ないじゃん(泣

冷静に考え直すと、女性を呼んでくると言って部屋から出て行ったあの老婆の連絡先も聞いておらず、これはもしかして騙されたのか?とようやく焦りだします。

とりあえず上衣を握って部屋から出ようとすると、新たに気づくわけです。この部屋にはルームキーが無い。古めかしいドアノブにはプッシュボタンが付いていて、部屋の内側からならロックができますが、鍵を掛けての外出が出来ない仕様なのです。

私の部屋のほかには辺りに全く人の気配もなかった為、不用心ではありましたが、必要最低限の貴重品だけを持ち出し、宿の外へと飛び出しました。
そうして、おぼろげな記憶を頼りに来た道を辿りつつ、例の老婆を探索する羽目に…。

~・~・~

必死の形相で辺りを捜索していると、やっとのことで同種と思しき女性と呑気に談笑するあの老婆を発見できました。

私「お婆さん!全然女の子来ないよ!どうなってるの(怒」
老婆「あらお兄ちゃん!よく見つけたわね!笑」
私「こっちは必死で探したよ!」
老婆「ごめんごめん、未だ来てないのね。ちょっと待って、電話するから」
・・・(老婆がどこかに電話している)
老婆「なんかね、どの子も立て込んでるみたいで、すぐにこっちへ来てもらうには、もう1万円を用立てないと来れないみたいだわ」

賢明な方ならご存じでしょうが、こちらは典型的な『たけのこ剝ぎ』という手口で、最初は低い料金で安心させておき、事あるごとに追加料金をせびるという風俗業界に蔓延る悪質な詐欺手法の一つです。

ところが、当時の私はこの様な詐欺に会うのが初めてで、今の状況が危険であると認知することが出来ませんでした。

また、「金返せ!」ではなく「とにかく早く女の子に会いたい♫」との気持ちが勝っており、完全に老婆の術中にハマってしまっているわけです。

こうなると私も息子も後には引けません。事情を察した体で紳士的に老婆へ1万円を支払い、すごすごと元の宿に戻ることに…。

~・~・~

部屋に戻り、兎にも角にも早く女の子に会いたいとの気持ちを高めながら、布団の上で女性の来訪を待つこと更に10分程。

周囲の物音に敏感になっていた私はドア付近に人の気配を感じました。ようやく女性が来てくれたのかと小躍りしようとしたところ、ノックをすることもなくあの老婆がズカズカと部屋に入ってきたのです…。

【続く】

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