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「先端技術(メタバース、XR、AI)で創造する医療サービスの未来」 monoAI社・本城社長 - 医療人2030 Core

新しい医療のパラダイムが求められている現在。そんな時代にふさわしい、次世代医療を担う人材を育むプロジェクトが「“医療人2030”育成プロジェクト」です。

活動の核となるセミナー「Coreコース」の第3回は、メタバースやXRのサービスを展開するmonoAI社の社長、本城嘉太郎さんをお招きしました。日々進化を続けるXRやAIといった先端技術は、医療サービスにどんな影響を及ぼしうるのでしょうか?

2024年11月8日に行われた講演の一部をお届けします。



登壇者プロフィール
monoAI technology株式会社 代表取締役社長
本城 嘉太郎

本城さん率いるmonoAI社は、XRの解説書「図解まるわかり VR・AR・MRのしくみ」(翔泳社刊)を上梓したばかり。先端技術に興味のある方はぜひご参照ください。
https://amzn.asia/d/cxYJqrZ


ウェアラブルAIデバイスがスマホに取って代わる?

イントロダクションとして、本城さんの主戦場の1つであるAR、VR、XRの現状が確認されました。ちなみに、AR(拡張現実)は現実世界に仮想空間のモノを重ねて表示する技術、VRはヘッドマウントディスプレイ(HMD)などを介して仮想空間に入り込む技術、XRはARやVRなどを組み合わせて現実世界と仮想空間を組み合わせて新しい体験を生み出す技術のことです。

なかでもXRは「スマートフォンを置き換える時代のインターフェイスになると言われている」と本城さんが語るとおり、様々なハードウェアが登場しています。今年(2024年)の6月にApple Vision Proが日本でもリリースされて話題になりましたが、現在最も注目を集めているデバイスはMeta社が9月に発表したOrionです。

出典:Meta社「Orion AIグラス」製品ページ
https://about.meta.com/ja/realitylabs/orion/


カメラや骨伝導式スピーカー、マイクなどを搭載し、Open AIと繋がるメガネはこれまでも存在していました。Orionはその進化形にあたり、メガネのグラス部分に嵌められたディスプレイが透明で視野角が広いのが特徴。肉眼で見た現実世界の上に、仮想空間のモノを重ねて表示でき、ARをより自然に日常生活に溶け込ませることが可能です。わずか100g程度と非常に軽いことから、ウェアラブルAIデバイス普及の起爆剤になるのでは? と、本城さんも期待を寄せました。

「人間は一度楽に慣れると不便に戻れないので、朝起きてOrionをかけるだけでスマートフォンと同じことができるようになると、わざわざスマホの小さい画面を見たいと思わなくなりそうですよね。(中略)ガラケーからスマホに4年ぐらいかけて変わっていたように、数年かけてスマホが型落ちになって、AIデバイスのすべてがOrionのようなウェアラブルタイプになるだろうと言われています」


医療分野でも応用可能な仮想空間と現実世界の往還

ARやVR、XRは日常生活だけではなく、産業分野でも活用方法が模索されています。

本城さんが示した例の1つが、「危険予知トレーニング」。配電盤作業時の感電や高所作業時の落下といった、工場や建築の現場で起こりえる事故などをVR空間で擬似的に体験できるサービスです。リアルに危険を感じることで、座学による講習よりも効果的に安全意識を高められると言います。

では、このような仮想空間と現実空間を往還する技術は、医療にどう応用できるのでしょうか? 自身の開発経験も踏まえて、本城さんは来たるべき活用例を示しました。

「例えば手術の実習などは映像を見るよりもVRで体感する方が、リアリティがあって学習効果が高いと思われます。(中略)他にも、筋ジストロフィー患者の方たちの交流会をメタバース空間で開催したことがあるのですが、普段表に出られない方たちが一堂に会して対話できたことを評価いただきました。こうした使い方でも、ARやVR、XRは医療分野にも役立てるのではないかと考えています」

monoAI社が開発したメタバース空間上での筋ジストロフィー患者による交流会の様子
出典:日本新薬株式会社「筋ジストロフィー Web市民公開講座&交流会」
https://www.nippon-shinyaku.co.jp/file/download.php?file_id=6750




セミナーはまだまだ続きましたが、本レポートはここまでとなります。

本城さんの話題は多岐にわたり、テスラ社のOptimusのような民生用ロボットの普及や、AIがあらゆるものに組み込まれるAIoT化によって変容する社会のビジョンを鮮やかに明示。講演終了後も参加者からの熱心なディスカッションに応えてくれました。





“医療人2030”育成プロジェクトにぜひご参加ください!

「“医療人2030”育成プロジェクト」では、魅力的なゲストを招いたセミナーを今後も開催していきます。2024年度は全12回+αを予定しているので、興味を持たれたらぜひ以下よりWEBサイトにアクセスしてください!

未来の医療を創る‘医療人2030’育成プロジェクト
https://marianna-dhcc.jp/