名門テクノレーベルTresorの200番/Scion - Arrange And Process Basic Channel Tracks [Tresor]
Artist: Scion
Title: Arrange And Process Basic Channel
Tracks
Label: Tresor
Genre: Dub Techno, Minimal, DJ Mix
Release: 2002/07/23
90年代初頭のテクノ黎明期より活動を始め、今現在もなお活動を続けている、ドイツ連邦共和国の首都ベルリンに拠点を置く、テクノの名門かつ老舗レーベルであるTresorの記念すべき200番目のリリース。
Scion(Substance and Vainqueur)による、ダブテクノの総本山であり伝説のBasic Channel(Moritz von Oswald and Max Ernestus)の楽曲を分解/再構築したDJ Mix。
現在のDTMでは主流のソフトウェアとして有名なAbleton Liveを駆使して分解/再構築を行なっているが、リリース当初の2002年ではAbleton Liveは比較的新しく、当時としては実験的であった。この時代は当然のことながら、今のようにデジタル配信は主流ではなく、断然レコードがクラブでの主要な媒体であったことを考えると創作するスタイルや挑戦している姿勢を考慮すれば、当時の最先端を突き進んでいることが分かるだろう。
一つの楽曲を構築するために、Basic Channelの楽曲を3〜5曲程度を分解し再構築している。Basic Channelの簡素でありダビーな楽曲を分解し、より攻撃的でより疾走感のあるテクノに再構築し直していて、音像の色彩や世界観に統一感があり、DJ MixというよりはLive Performanceに近いものを感じる。1〜2曲目は徐々に楽曲のパーツが構築され始めるもののどこか淡々として脆弱という意味に近いような控え目な部分はあるが、3曲目からは一気に花が開き、攻撃的な猛威を振るい始める。それもずっと攻撃的なわけではなく、緩急のある波状攻撃のような形で展開の切り替わりがある。形態としてはDJ Mixであるが、ある意味で在り方として一曲一曲が独立した通常のUnmixedのアルバムとしても楽しめ、DJ Mixとしてもそのまま約1時間の旅としても、どちらでも楽しめる。
リリースは2002年であるが今聴いても新しく、名門テクノレーベルであるTresorのカタログナンバー200番を飾るに非の打ち所がないほどに素晴らしいリリースとなっている。また数々の著名なアーティストを輩出しているレーベルだけあって、レーベルとしての説得力を問答無用で感じさせられる。
またトラックリストを調べることで、Basic Channelのどの楽曲のどの部分が使われているかを聞いてみるのまた乙な楽しみ方である。