00年代プログレッシブハウスの転換点/James Holden - A Break In The Clouds [Border Community]
Artist: James Holden
Title: A Break In The Clouds
Label: Border Community
Genre: Progressive House, Techno, Ambient
Format: 12", 4×File
Release: 2003
Track List
1. A Break In The Clouds (Main Mix)
2. A Break In The Clouds (Flaffapella)
3. A Break In The Clouds (Beat Tool)
4. A Break In The Clouds (Ambient Version)
シンセサイザーを主体とした有機的かつジャンルの枠に捕らわれないボーダレスな音楽をリリースする、イギリスのロンドンを拠点に置く「Border Community」から。特徴的なジャケットワークが非常に魅力的なことでも有名。
当時のプログレッシヴハウスシーンの臨界点に突如として現れた、シーン全体を揺るがす特異点となった、レーベルオーナーであるJames Holdenのシングルにして、レーベルの第一弾。
90年代にJohn DigweedやSashaなどの功績により、プログレッシブハウスが流行した。この頃のプログレッシヴハウスはハウスを基に「トランシー」・「ブレイクス」・「トライバル」の三系統を主体にした音楽であった。どのジャンルにも言えることであるが、流行りのジャンルは様々な形で研究され、最終的には量産型ともいえる形骸的な曲が増えだす。90年代後半には既にその陰りが見え、00年代初頭には既に行き詰まりが見え始めていた。
当時、James Holdenはイギリスのロンドンを拠点に置く、テクノ寄りの硬質なトランスをリリースしていた「Silver Planet Recordings」に在籍していた。Holden自身が実現したい音楽を追求するために、Silver Planetを離れ、設立されたのがBorder Communityである。
本作は、Border Communityが設立され、最初の記念すべき第一弾のリリースにしてクラブミュージックにおける金字塔としても名高い作品である。このリリースにより、プログレッシヴハウスのシーンは大きく切り替わり、それまでとは一変して、テクノの要素やメロディックな要素がこれ以降に多々見受けられるようになったほどであった。
テクノ、トランス、ハウス、ロック、現代音楽などの要素が絡み合い、レーベル名のごとく、ジャンルの境界線がないこの楽曲は当時としては非常にセンセーショナルで話題になった。この時期のJames Holden特有の複雑かつ緻密に計算されたリズム帯と展開の切り替わり、どことなく仄暗さと痺れを感じさせるドラッギーなシンセ音は今でも記憶に鮮明に残っている。
Artist Information
James Holden
Border Community