【Column】AVATAR MUSEUM9公開 仮想空間のウィンドウショッピング
2023年12月17日に、VRSNSであるVRChat上で公開されたアバター展示ワールド「AVATAR MUSEUM9」。
今回は出展者数282名、展示アバターが351体、容量680MBと大ボリュームでの公開となる。
本記事ではそんなAVATAR MUSEUMの魅力をさっくりと短めにお伝えする。
アバター需要と展示会の必要性
VRChatが日本ユーザーに認知されだした2018年より2年経過した2020年において、アバターの需要やその導入の機運は年を経る毎に高まっていった。
バーチャルマーケットの様な展示会として大規模にアバターを集合させ取り扱うスタイルが確立された事で、クリエイターはブースやアバター、あるいはワールドを制作する事で一定の認知度を獲得すると共に、場合によっては仕事や収益を得るという手段を持つに至る事が可能となっていった。
そんなアバター導入の機運が高まり続けている当時、クリエイターサイドでもある程度の悩みがあった。
それがシンプルな様式で恒久的に人が訪れるアバターの展示会である。
凝った会場のデザインやギミックを重視した展示会はスペックに左右される他、VRChat本体側のアップデートでワールドの構造そのものに重大なエラーが出るケースも散見される。
そういう状況では定期的に会場のメンテナンスやアップデートを行わなくてはならず、そのためのメンテナンスのコストや時間が取られることになる。また、アバターを制作する側としてもシンプルにアバターと広告画像を納入するだけで展示できる様な展示会があれば出展が行いやすい。
こういったニーズを汲み取った結果として、クリエイターであるおおかみちゃん氏(TwitterID:@Wolf_Electronic)がスタートさせた個人イベントが、2020年10月に第一弾が公開された「アバターミュージアム」である。
回りやすい会場と使いやすい拡張メニュー
今回の第9回会場はA~Dまでの4つの通路で区分けされており、1~64まで番号が割り振られた部屋で構成されている。
1部屋に6体のアバターが展示されており、1番から2番、2番から3番という様に直線上に部屋が連結する構造となっている。
8番ごとにA~Dまでそれぞれの通路が横断する様に接続されており、例えばAの通路は8番と9番、56番と57番の部屋にアクセスする事が出来る。
また今回の会場では拡張メニューが実装されており、入り口に操作方法が記載されている。
日本語、英語、韓国語の3カ国語で説明書きがされており、エントランスや各通路にワープ出来る他現在時刻も把握できる機能が付いている。
エントランスにある案内板からも通路にアクセスする事は出来るが、会場の途中で別の通路に向かいたいという場合にはこの機能は大いに役立つだろう。
また会場の上部や壁面などの一部箇所には、有志の提供した広告も展示されている。
部屋の構造はシンプルで、進行方向左手側にアバターの展示ブースがあり、右手側には正面から撮影されたアバターのイメージが浮き出る形で配置されている。
アバターのイメージが浮き出るのは今回からの新機能であり、これまではアバターの方に体を向ける事でしか見られなかった正面からの構図を確認しやすくなった。
その為よりウィンドウショッピングに近い形でアバターを見て回る事が出来るようになったと言っていいだろう。
恒常的に続けられる展示会スタイル
そしてこの余分な要素がほとんど無い構造は、イベントの恒常的な開催と非常に相性が良い。
VRChat本体のバージョンが変わったとしても、オブジェクトとペデスタル(アバター切り替えの為のギミック)は基本的な機能・構造として実装されている為更新の影響はほぼ皆無である。
ワールド本体の構造も姿を確認する為の鏡、テレポート可能な案内板、そして最近の展示会エリアで用いられている切り替わり式の広告と負荷が少ないものばかりである。
その上一度に表示される部屋の距離にも気を遣っており、描画負荷が掛からない様に「ひとつ先の部屋まで」が表示される様に設定する徹底ぶりだ。
更に同じ作者の複数のアバターを展示する事も可能であり、かつワールドの仕様やブースの作成や容量への配慮を気にしなくて良い点など、入稿する側としても依頼をしやすく、かつ訪れるユーザーに見てもらいやすくユーザーも見やすい三方良しのシステムとなっているのは嬉しい所である。
VRChat内で利用できるアバターワールドの中でアバター本体のビジュアルも含め確認できるワールドはそう多くなく、ペデスタルのみ設置されているワールドが大半である。
そういったワールドとは違い、個人制作のクリーンなアバターかつ落ち着いた光源で余す所なくビジュアルもチェックできるAVATAR MUSEUM。
今回もまた多くのユーザーが足を運ぶ事になりそうだ。
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