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【Column】SYNDUALITY Echo of Ada CNTプレイレポート:バディものの緩いPvPvE採掘生活のススメ

 2024年9月13日から16日まで、株式会社バンダイナムコエンターテインメントがPvPvE型の三人称視点アクションゲーム「SYNDUALITY Echo of Ada」のクローズドネットワークテストを開催している。
本記事ではゲームを実際にプレイした上でスクリーンショット等を元にプレイフィールを記載すると共に、アニメーション作品「SYNDUALITY Noir」も絡めたレビューを記載していきたい。


メイガスと織りなす終末世界のささやかな生計の立て方

 今回はクローズドネットワークテストという事で、公式サイト本編にあるストーリーラインとは別軸の探索要素を主軸とした内容が展開されている。
主人公は二足歩行人型ロボット「クレイドルコフィン」を操る探索者「ドリフター」としての適性試験に応募しており、その試験の為の教育ビデオを見るシーンからスタートする。
どこかの洋ゲーで見たような、どことなくコミカルな内容で説明が展開されていくが、その画作りも含めて非常に味がある出来となっている。
視聴が終わればいよいよ実戦となり、地上に上がっての試験がスタートする。

 本作の地上における操作は一般的なFPSと共通しており、キーボード操作ではWASDキーでの移動、Shiftキーでのダッシュ、Spaceキーでのジャンプにマウス左クリックで射撃、右クリックで銃器を構えての射撃、Eキーで格闘武器、Fでオブジェクトへのインタラクトとなっている。
そしてこの世界では地上において点在する「AO結晶」を掘り出し、それを地下へと持ち帰るのが目標となるが、その助けとなってくれるのが同行者である「メイガス」だ。
この試験では教官メイガスが指導役兼案内役としてついており、メイガスは地上に点在するAO結晶のサーチを行う「AOサーチ」や、各メイガスによって異なる「メイガススキル」を駆使し、地上におけるドリフターの操作をサポートする。
その他にも天候の変化、他のクレイドルの接近情報に分析、各地に出没する敵性生物「エンダーズ」の情報やクレイドルコフィンを駆る盗賊団といった敵性NPC後のスキャニングと自身が有利な地形情報の提供といった多くのアドバイスを送る、いわばドリフターの目と耳となってクレイドルコフィンを快適に運行する為の補助をしてくれるのだ。


 試験が終われば専属のメイガスを伴って機体のガレージへと移動する。
このガレージは各種生産設備や生活スペース、クレイドルコフィンの整備も出来るというすぐれものな施設である。
施設であるのだが、ドリフターとメイガスが入った時の在りようは大自然と調和するが如き廃墟同然の姿であった。
依頼を進めて設備を綺麗にし、新規機材を導入し、メイガスと二人で一国一城の主となるべく奮闘するというのが序盤の導線となっている。
なおこの世界の20年語を描いた「SYNDUALITY Noir」では一般的な技術である3Dフードプリンターも、施設の整備が進むと導入可能になる。
ぜひそれまでは相棒のメイガスお手製の「草鍋」をつついて我慢しながら暮らそう。施設の隅に生えていたキノコを入れてくれたちょっと豪華なお鍋も出てくる。

 このガレージでは設備を改築する際にもメイガスによるアニメーションがあり、楽しく改築を進める事が出来るのだがこのゲームの売りはそれだけではない。
ガレージでは様々な行動を行うメイガスの様子が次々とアニメーションで再生されており、設備や改築箇所を増やしていくと徐々にその種類も増えてくるのだ。
メイガスが振る舞ってくれたキノコ入り草鍋以外にもガレージにはキノコが生えているようで、その真っ白いキノコも焼きキノコとしてメイガスは食していく。
テーブルの上で七輪を使うのも大丈夫かと心配になるが、どうなるかはぜひ製品版でも見てみたいところではある。
なおこだわりのシーンとして、生活空間が改善されていく際の洗濯の様子やトイレ掃除の様子など、やけに生活感が強いアニメーションも用意されている。
こういった所の作り込みの多さは、手塩に掛けてクリエイトし冒険を共にしたメイガスとの共同生活感をさらに高めてくれるだろう。

地上探索はお宝も危険も雨もいっぱい

 懐事情を明るくする為に、ドリフターとして協会に登録している以上は稼ぎに出ねばならない。
プレイヤーの一張羅となるクレイドルコフィンを狩り、地上へ出て探索をし、所持品を無事に持ち帰るという流れを達成するのがこのゲームの目標だ。
そんな出撃前には「保険」を掛ける事が出来る。
これは有償で購入、あるいはクラフト出来るクレイドルコフィンのパーツや武器に掛ける事が出来るもので、探索中に耐久力がゼロとなりベイルアウトしても保険相当額の金額がしばらくしたら届くというものである。
初期機体である「ジャックボックス」は付属武器ともども無償で提供される為、本当にお金に困ったらこの機体一式で出る事もまた金策の一環である。ただし性能は最低ラインとなっている為、よほどの自信が無い限り交戦はオススメしない。

 さてエレベーターに乗り晴れて地上に出ればそこは未知の世界。
テスト開始から3日目のメンテナンスまでは「北部地域」「南部地域」の探索を行う事が出来、9月16日のメンテナンスを挟んで最終日までは「東アメイジア地方」を探索する仕様となっている。
今回の記事内では、地上探索に加えてその両者の仕様を記載していく。

 地上において脅威となる要因は3つあるが、まず警戒すべきは「雨」である。
作中世界において、ブルーシストという有害成分を含んだ雨が降りはじめ、人類の92%がその影響により死滅した後の世界であるこの時代においても、その雨の脅威は甚大である。
それは地上探索を行う為のクレイドルコフィンも例外ではなく、備えなしではたちまち雨の影響を受けて崩壊してしまう。
それを防ぐための数値として「耐候性(たいこうせい)」というものが設定されている。
これはその数値分、降雨の影響を受けずに活動する事が出来るバリアの様なものである。
雨の勢いにより減少量は増減し、出発前に持ち込んだアイテムとしてシーリングシートという物があれば数値の回復を行う事が出来る。
もちろんこれがゼロになった事は筆者は無いが、良くてスリップダメージ悪くて大破がオチだろう。
防ぐには屋内や屋根のある場所に逃げ込むか、メイガススキルの「シェイドフィールド」を使う事をオススメする。
特にメイガススキルの方は一定時間雨の影響を気にせず動けるため、屋外探索においては強力なスキルとして機能する。

左下の青いバーの数値がこれにあたる

 もう一つの脅威はエンダーズと呼ばれる生物、そして盗賊団という敵性NPCだ。
エンダーズは空中を浮遊するゲイザー、地上を疾駆するチェイサーなど複数種が存在し、いずれも探索者であるドリフターを攻撃してくる。
方法こそさまざまだが、その顔面あるいは眼点にあたる部分が弱点となっている為正確な射撃の腕が問われる。
もう一者はクレイドルコフィンを駆るNPCとして、ドクロマークの識別アイコンを伴って出現する。
こちらに対する遠距離からの正確な射撃を行ってくる為、メイガスの持つ技術「EQS」で有利な位置を取って射撃したり、あるいは彼らの居る地点を回避して行動する事が必要となる。
もちろん敵性勢力である以上、倒すことは推奨されておりクレイドルコフィンの製作に必要なパーツも幾つか落としてくれるおまけ付きである。

 地上に上がれば製作や改築の為の素材集めは欠かせないが、何よりも目的となるのはAO結晶の採掘である。
メイガスそれぞれが行えるスキル「AOサーチ」にて結晶の位置をレーダー上に表示、色がペールオレンジ→オレンジ→濃いオレンジ色→紫色の順にAO結晶そのものの純度が高くなり、採掘時に高価値のAO結晶をドロップする。
また結晶そのものの大きさが大きければ、採掘時にドロップする結晶の数が増える。そのため出来る事なら大きく高純度の結晶を狙いたいが、高純度であればあるほど採掘に時間が掛かる仕様となっている。
もちろん採掘時にエンダーズや盗賊団に狙われるのは避けたいが、一番避けねばならないのが「他のドリフター」である。

 他のドリフターと遭遇した際は、コミュニケーションとして幾つかのエモーションを取る事が出来るが、一定時間照準を相手のクレイドルコフィンに当てると分析が完了する。
この際表示が青ければ一般の協会員として認識されるが、黄色表示だと「要注意協会員」という認識となる。
これは他のドリフターを先制攻撃し、故意に攻撃・破損させるという行動をすると問題ありと認識される。その行為が続くと協会そのものから脱退させられ「賞金首」として指名手配される事になるのだ。
この指名手配状態では、電撃オンライン様の記事によれば「北部地域」「南部地域」と地域が分かれている状態の場合は北部地域への出撃が不可能となる。筆者が確認した段階では、「東アメイジア地域」と設定されているモードにて賞金首の出現にアナウンスが行われ、出現から時間が経つと全体マップ上に大まかな位置が表示されるという相当に不利な状況に置かれる事になる。
機体修理費なども相応に高額になるようで、能動的に悪役プレイをしたいという方以外には手厳しい内容となっている。

 そのため「PvPはシステム的に出来るけれど、その後背負うリスクも相応に高い」と言えるだろう。
なお筆者はスキャンした一般協会員に背中からブチ抜かれてベイルアウトする羽目になった経験が二度ほどあり、かつ意図的に攻撃を仕掛けてきた一般協会員を返り討ちにした事がある。正直友好的だと思った相手が視界外から撃ってくるのは微妙にやり辛さが残るが、それも「相手をどこまで信用し、隙を見せずにいるか」というゲーム設定の妙味である。基本的に九割九分九厘、ドリフターと敵対した事は無いのだから。

しばらくすると全体マップに大まかな行動位置が表示される

 さてそんな海千山千の脅威をもかいくぐり、エレベーターで帰還申請をして戻ってくれば待っているのはデブリーフィングだ。
このデブリーフィング、マップ上に移動した経路や遭遇したイベントを表示しメイガスが喋ってくれる様な仕組みとなっている。
そのためいわゆる「シミュレーション的な映像をぱっと流して終わり」ではなく、どこで何がありどういう物を手に入れ、どういうプレイヤーと遭遇し、どういう敵と会敵し行動したかといった事を追体験する様なテイストなのである。
こういった形式での振り返りの作り込みは、素直に諸手をあげて喝采する出来と言っていいだろう。

 次に掘り出したAO結晶の換金と、アイテムの確認、地上で達成した依頼目標の確認となっている。
ガレージでは色々な勢力から依頼を受ける事ができ、その達成度を確認する事が出来る。
ブリーフィングで改めて依頼目標の達成度を確認してみるのも良いだろう。
なお、依頼目標は全体マップ上で確認する事が出来る他、改築や武器・パーツなどのクラフト目標を「ウィッシュリスト」に登録する事で、これまで必要な品をどこで拾ったのかという大まかな指標を全体マップで表示してくれる機能も存在する。
もし次はこのアイテムが欲しいと思ったら、ウィッシュリストに追加したり依頼目標を全体マップで確認すれば損はしないはずである。

クレイドルコフィンとメイガスのお手入れは欠かさずに

 ガレージで出来る機能の一つが、クレイドルコフィンやメイガスのカスタマイズである。
クレイドルコフィンは現在「シンフレーム」「ボウイフレーム」と呼ばれる2つのシリーズが出ており、耐久特化型・中庸型・探索特化型といったそれぞれの要素を持つパーツを「ボディ」「アーム」「レッグ」という三部位で組み合わせる事でカスタマイズを行う。
特にアームについては「エネルギー系武器のみ使用可能」「実体弾・エネルギー系武器両方使用可能」という2つの区分に分かれており、実体弾も使用できるものは耐久性に少々難があるものの、高威力の実体弾武器を取り回すには必要なパーツとなっている。
なおパーツの破損を防ぐための修理もガレージで行えるため、自分好みのクレイドルコフィンを組み上げて、定期的な修理と補給を行って地上世界をより安全に探索していこう。

 メイガスはガレージにて装着している服の交換や化粧や髪の色・髪型の調整といった要素がデフォルトで用意されている。
顔や体格の再調整や他のメイガスとの交換は行えない仕様となっている為、どちらかといえば「メイガスを迎えた後の調整」が主な機能だ。
そしてガレージの改築が進むと、なんとメイガスの「クリーニング」が解放される。
これはメイガスが文字通りお風呂に入ってさっぱりするシステムなのだが、そのシーンのこだわりが尋常ではない。
お風呂に入った瞬間の身体がブルブルする表現や、丁寧に腕などを洗う様子が慎ましやかに見れてしまうのである。
もちろんこれは男性型・女性型メイガスを問わず恐らく見られるものと思われるので、紳士淑女のドリフターの皆様は鼻元にハンカチを用意して貰いたい。制作スタッフの魂の入れようがうかがえるというものである。

 その他に役立つ情報を伝える「ヨシヲニュース」やアイテムショップへのアクセス、撃墜された際の保険金の受取手続きといった事もガレージで行える。
依頼と改築が進むと、ストーリー上でかつて存在した地下都市「アメイジア」陥落の歴史を紐解くコレクション要素といった物も確認する事が出来る。
気ままな採掘家業をしながら、実は世界の秘密の一端を解き明かす探求者といったプレイングも熱いだろう。

SYNDUALITYの中に息づくフィギュアヘッズの魂

 さてここまでSYNDUALITY Echo of Adaのレポートを書いてきたが、このゲームの質は総じて非常に高い。
筆者はこのテスト期間中に、アニメーション作品であるSYNDUALITY Noirも駆け足で24話まで視聴してきた。そのうえで色々な点が「Noirで描かれ、Echo of Adaでは未成熟かつサバイバルゲームライクに落とし込まれたもの」と感じる事が出来た。
例えば敵対キャラクターのエンダーズが総じて単独行動を行っていたり、中型と称される体躯のエンダーズや火器の様な武装を持つエンダーズが未だ出現していない点や、キャリアーと呼ばれる輸送手段が普及していない為AO結晶を破砕して持ち帰る必要がある点、アニメーションの方で描かれた肩部追加火器や姿勢制御スラスター、ホイールモーターの逆走、壁面走行といったクレイドルコフィンの機動性を示すアニメの数々のシーンは、作中世界におけるクレイドルコフィンの技術的発展故に行えた可能性が高い点などである。
それでいて両作品を通して変わらず貫かれているのは、クレイドルコフィンを価値あるものとして操る人間の意識と、メイガスが人間の良きパートナーとして影に日向に支えてくれる通奏低音である。
この「カスタマイズされるメカとそれを支えるAI」について、筆者はとある作品に思いを馳せる。かつて株式会社スクウェア・エニックスがサービスを行っていた、メカカスタマイズシューティング「フィギュアヘッズ」である。

 フィギュアヘッズは、このSYNDUALITY Echo of Adaの開発元である株式会社ゲームスタジオが開発を手掛けたオンラインゲームである。
個性豊かなパートナーAIである「フィギュアヘッズ」を搭載した二足歩行ロボット「2foot」を操り、競技あるいは作戦行動として数々の戦場をくぐり抜けるTPSアクションゲームだ。
そしてこのフィギュアヘッズの舞台は、荒廃した地上世界を捨て人間達が避難した地下世界となっている。二足歩行機械とそれを支えるAIを用いた地上世界での競技戦闘を楽しむと共に、その裏では地上から来る謎の組織の秘密を追うというのが主なストーリーラインとなっている。

 一方SYNDUALITY NoirやSYNDUALITY Echo of Adaの舞台となるProject SYNではブルーシストという毒の雨に苛まれた人間が地下世界であるアメイジアへと避難し、その後人間の隣人たるメイガスや二足歩行ロボットのクレイドルコフィンが開発。そしてアメイジアが何らかの理由により崩壊し、Echo of Adaの時点ではエレベーターが通じる地表付近の地下に、Noirの時点では地上における拠点となるネストといった地上施設で生活を行っている。前者のNoirでは地上における謎の勢力イデアールや未知の領域イストワールを追っていくが、後者のEcho of Adaでは楽園と称されたアメイジア崩壊の謎を紐解いていく事になるだろう。

 もちろん作品そのものの根幹が違うので一概にそうであるというのは言えないが、少なくとも筆者としてはバディとして人間の様なAIが存在し、ミッションの進行を含め様々な局面でプレイヤーと密接に関わっていくと共に、カスタマイズ可能なメカを用いて世界の成り立ちに関わる謎を追っていくというロマンは変わらずに受け継がれていると思っている。
現状Echo of Adaがどこまで作品のポテンシャルを膨らませていけるかは未知数ではあるが、それでも「メカをのんびりと動かして、相棒のメイガスと地上を探索し、二人三脚で生活をしていく」というこの独特の空気感を失わないままにゲームとして大成していってもらいたいものである。
ハイスピードシューティングが若干悩ましくなってきた筆者の様なユーザーからすれば、ある種「段取りでおおよその展開が決まる」様なこのゲームもまた、ゲーマーの良き隣人としてあり得るものだと信じたい。
そしてあくまで筆者のわがままであるが、人とメカとAIが織りなすこの独特なジャンルの空気感が膨らむ事を願ってやまない。
明日に夢を託したランクスが、ドリフターとして地上を歩んでみたいと思うだけのタイトルになり得る可能性は十分にあるのだから。

手作業で衣装を洗っている様子。これでも設備はマシになったが、それでも二槽式洗濯機レベルは望みたい
このひとときが良いのである

 ところで運営さん、正式サービス時にはぜひ洗濯機とかいい感じのシャワールームとかの追加実装をお願いしますね。

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