【Event】国立研究開発法人 海洋研究開発機構:求められる深海探査の価値
2024年4月10日から12日まで、東京都江東区にある展示施設東京ビッグサイトにてインフォーマ マーケッツ ジャパン株式会社主催の「Sea Japan 2024」「Offshore & Port Tech 2024」が開催された。
今回の記事では、出展団体の一つである国立研究開発法人 海洋研究開発機構の展示と逼迫する深海探査のニーズについて書いていく事にする。
深海探査の意義と価値
日本は四方を海に囲まれた島国、いわゆる海洋国家と呼ばれる部類に属する国である。
海洋国家自体は「海との関わりが深い」という基準で選定されるものであるが、日本はその中でもとりわけ依存度が高いものとなっている。
また日本は国土に対する資源の割合が低く、陸上での資源の獲得に難儀する状況が続いている。
もちろんヨウ素といった一部の資源は豊富な埋蔵量を誇っているが、それだけで立国が行える程の経済的優位性を勝ち得ていないのが実情だ。
そのため深海に眠る資源も含め、海洋の利用可能性を探ることは急務とされている。
日本の周辺に広がる日本海溝の深さは8000m級と、これまた深い海が広がっている。
小笠原海溝で深海9801mへ友人海洋探査挺が到達したというニュースも流れている通り、その深さの規模はまだまだ未知数である。
日本で有名な有人潜水調査船というと、6500mまで対応出来る「しんかい6500」が挙げられる。
これを管理・保全し運用しているのが国立研究開発法人 海洋研究開発機構である。
同組織は海洋探査や研究を主軸としている組織であり、海洋国家である日本においてなくてはならない組織となっている。
他の大国と比較して経済的優位性が少ない中で、どれだけ探査の精度や頻度を上げる事が出来るのかというのは頭痛の種であると同時に超えなければならない目標だ。
そういった中で注目されているのが、無人潜水艇(ROV)にまつわる技術である。
目指すは深海の自律探査
日本では無人潜水艇の活用とさらなる改良が急務とされている。
先述した通り、有人潜水調査船の探査技術の向上は世界的に進んでいる。
そんな中で日本は2000年以降に経済的停滞や技術面での継承に難を抱える状況が続いていた。
ましてや深海探査ともなれば、即座に投資に対するリターンが実りにくい分野である。
そのため現在の深海探査の方針として、4000mまで潜航可能な深海巡航自律型無人潜水機(AUV)を導入すると共に深海1万メートル級でデータの収集が可能な設備を投下。
一定のルートを自律航行するAUV側に情報を取捨選択させ、必要な情報を取得後探査船へ帰還するというシステムを構築している。
さらに現在は、8000m級の深度まで潜航可能なAUVの開発にも着手しているという。
ここまでROVの投入を積極的に進めるのには、更に理由が存在する。
もちろん人員的な問題というのもあるが、船舶における設備重量も馬鹿にならないのである。
深海探査を行う潜水艇には長大なケーブルが用いられており、これで船舶と接続しながら操作や電力供給を受けつつ探査を行うのが一般的である。
これは有人潜水艇も無人潜水艇も、有線接続である以上は変わりがない。そしてこれらのケーブルを含めた設備は頑丈であり重量や体積もかさむ代物だ。
深度が深くなればなるほどそれに必要なケーブル長も増加していく都合上、船艇に求められる能力も増えていく。
しかし船体構造上大型化には限界があり、そもそもそれだけの高性能な装備は維持するだけでも多大なコストを掛ける事になる。
無い袖は振れない以上に、振れるだけの袖で効率よく調査を行わねばならないのである。
これまで以上に効率的な探索を行わねばならない深海調査事業、国立研究開発法人 海洋研究開発機構の今後の展開がどの様になるのか注目が集まっている。