鷺沢文香のソロキャンプ
していることは普段と変わらないのに、外にいるというだけで、どうしてここまで清々しいのでしょう。
陽の高いうちに動き回り、日の入りとともに寝、日の出とともに起き、空いた時間には火に当たりながら本を読み。
……アイドルとして輝くための目まぐるしい日々とは、あまりにかけ離れていて。
しかし、アイドルにならなければ一人でキャンプをしようなどと、考えもしなかったでしょう。
因果を感じずにはいられません。
今までずっと自分の殻に閉じこもり、一人でいたというのに、己が時間を進めるためにアイドルとなって、ようやく真に一人になり自分と向き合う術を知るなど……。
ふふ。ですが。
いえ、だからこそ、このソロキャンプというのは、やめられそうにありませんね。