居る日記:3日目(北林)
朝、晴れていた。
今日は展示会場の大掃除をするために、昼頃に城崎から江原へ移動する予定だった。電車までの時間、城崎麦わら細工伝承館を鑑賞した。
受付に居た方の手元を見ると、麦わら細工の作業を行なっていた。
最終的にはコマになると言っていた。
12時、江原駅に到着。
掃除用具などを購入し、”そこに居るために”のもう1人のメンバーである三浦雨林さんとも合流。今回の滞在で、はじめて3人が揃った。
会場まで一緒に歩く。遅れて豊崎入りした私にとっては、はじめての展示会場の下見でもある。
大通りではなく、民家の裏通りを抜けていく。
土壁の、古い蔵が並んでいた。所々が崩れかけている。
正面からは想像できない光景である。
「こちらが会場です」
目の前に現れた建物は、想像をはるかに超える姿形をしていた。
建物の中をぐるぐる動き回り、座り、話し、次から次へとそこでやってみたいこと、そこで見てみたい景色が頭の中に浮かんだ。
実際に会場に居ると、どんな作品にしていくか具体的なアイディアが浮かびやすい。
3人で家中掃き掃除や雑巾掛けをし、汗だくになりながらも室内のそうじを終わらせた。
日々の小さなそうじに対するモチベーションは無いが、大そうじは、結構好きだ。木製の床や手すりが、明らかにピカピカになっていて気持ちが良かった。
夜、昨日と同じ居酒屋でお茶漬けを食べた。
わたしは明日宿を引っ越すので、城崎での滞在は今日が最後だ。
今回の滞在中の最後の温泉(おそらく)は柳湯。
そこら中に「小さくて、熱くて、深い」という文言が書かれた紙が貼ってある。きっと、いろいろあったのね。
入浴券を買うときにも受付のおばちゃんに「うちは小さくて熱くて深いお風呂ですが大丈夫ですか?」と言われたが、事前にそう聞かれるという情報を悠加さんからもらっていたので、動揺せずに「はい」と即答することができた。
確かに熱かったけど、おかげで体はホカホカになった。
小さかったが、木でできた天井が縦に高く吹き抜けている建物だった。
帰り道に城崎の温泉街を散歩した。
橋の上から見える点在した灯篭の明かりが、水面に反射して美しかった。
柳が風でサラサラ揺れる音と、宿泊客の下駄の足音がカランコロンひびいていた。
明日こそ朝早起きするぞー!
つづく
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