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【 レポート 杉島市政 Part.6】市民不在のSDGs?入間市のSDGs未来都市とは?

入間市が進めるSDGsとは?

Well-being = 健康や幸福


はじめに

入間市は「SDGs未来都市」として、持続可能な社会の実現に向けてさまざまな取り組みを進めています。SDGs(持続可能な開発目標)は、貧困、気候変動、ジェンダー平等など、地球規模の課題を解決するための国際的な目標です。
入間市は、2019年に「SDGs未来都市」に選定され、持続可能なまちづくりを掲げてきました。しかし、市民の間では「実際に何をしているの?」という疑問や、施策に対する批判の声が少なくありません。
今回は、入間市のSDGs未来都市に関する取り組みの概要と、それに対する批判的な視点を紹介します。


SDGs未来都市としての入間市の取り組み

入間市では、SDGsを推進するためにさまざまなプロジェクトが行われています。たとえば、環境保護、子どもや高齢者の福祉向上、地域経済の活性化などが主な柱です。具体的な施策としては、以下のようなものが挙げられます。
・自然エネルギーの活用
環境負荷を減らすために、市内の公共施設で太陽光発電の導入が進んでいます。
・Well-beingの推進
 市民の幸福度を向上させるために、健康や福祉に関連したイベントやサービスを展開しています。
・SDGs教育
子どもたちにSDGsの重要性を伝えるため、学校でのプログラムや体験学習が行われています。
一見すると、これらの取り組みは入間市の未来を考えたポジティブなものに思えます。しかし、こうした施策に対しても、さまざまな問題点が浮かび上がってきています。

https://www.city.iruma.saitama.jp/material/files/group/4/sdgssyoukai.pdf


スローガンに対する市民の疑問

入間市が掲げる「Well-being Cityいるま ~健康と幸せを実感できる未来共創都市~」というスローガン。これが一見ポジティブなメッセージを伝えているように見えますが、その意味が市民に明確に伝わっているのかは、疑問の余地が多いです。
「Well-being」という言葉は、一般的には心身の健康や幸福を意味します。しかし、具体的にどの施策が市民の「健康と幸せ」を実感させるのかが明確にされていないため、スローガンが抽象的なままに留まっている感が否めません。また、「未来共創都市」という言葉も、市と市民がどのように協力して未来を創り上げるのかが見えにくく、実際のアクションとスローガンとの関連性が不明確です。


1. 特定の層に偏った施策

入間市のSDGs施策は、一定の経済的背景を持つ市民や企業を対象にしています。
例えば、狭山茶振興や周遊観光を掲げていますが、これに関する施策である「茶畑テラス」は、一部の事業者や茶業者だけが恩恵を受けているに過ぎません。市民全体や他の産業にはあまり効果が及ばず、持続可能な発展という理念が達成されているとは言い難いです。
また、公共サービスの利便性向上を掲げて導入された「EVカーシェア」も、実態は入間ガスに委託をして運用しています。場所も市役所、健康福祉センター、藤沢地区センターで実施されていますが、敢えてその場所まで移動して、車をレンタルする人はおらず、利用者が低迷している現状です。SDGsの目標に向けた取り組みと言えるかは疑問です。
さらに、「サスティナブルウォークいるまいる」という事業では、スマートフォン用アプリ「SPOBY(スポビー)」を活用しています。しかし、これもまたアプリ事業者に委託をしており、本質的なSDGsの取り組みというよりは、表面的な施策にとどまっている印象を受けます。


2. 施策の効果に対する疑問

入間市は、SDGsの理念に基づいてさまざまなイベントやプロジェクトを実施していますが、具体的な成果が市民に感じられていないのが現状です。下記の記事では「高齢者とデマンド交通をかけ合わせる」として、いるティーバスやティーワゴンに変わる交通手段として、実証実験を行っていましたが、実験のみで終わっており、その後の話が全く出てきていません。
「Well-being」を掲げて健康や福祉の向上を目指す施策が、実際にどれだけの市民がその恩恵を受けているのかは不明です。市民が施策の成果を実感できるよう、効果測定やフィードバックが求められていますが、そうったものは公開されていません。


3. シティプロモーションへの過剰な支出

入間市は、SDGsに関連するシティプロモーションに412万円の税金を投入しました。その一環として、市のマスコットキャラクター「いるティー」を使ったSDGsショートアニメを公開しました。いるティーがSDGsに見合わない行動をする主人公たちを相撲技でぶん投げるという内容で、公開からわずか2週間で配信が停止されました。

このような費用対効果が不明なプロジェクトに対して、市民の税金が投入されていることに疑問の声が上がっています。


4. 情報の透明性の欠如

SDGs施策の進捗状況や具体的な成果について、市民に対する情報提供が不足していることも問題視されています。市民は、「施策がどこまで進んでいるのか」「どのような成果が得られたのか」といった詳細な情報を求めていますが、現状では透明性が欠けていると言えます。
透明な情報提供がなければ、市民の信頼を得ることは難しく、施策への参加意識も薄れてしまいます。市は、もっと積極的に施策の進捗を報告し、市民とコミュニケーションを図るべきです。


5. 市民参加の不均衡

入間市のSDGs施策には、市民の参加意識に大きなばらつきがあります。特に、高齢者や経済的に困難な市民が参加しづらいという現状が浮き彫りになっています。このままでは、SDGsの目的である「誰も取り残さない」社会が実現しない可能性があります。全ての市民が平等に参加できるような仕組み作りが、今後の課題となるでしょう。


6. 長期的な視点の欠如

入間市「100年後の入間の為に」というパーパスを掲げていますが、入間市のSDGs施策は、どうしても短期的な成果に重きを置きがちです。しかし、SDGsが目指す持続可能な未来を実現するためには、長期的な視点が欠かせません。短期的な施策に偏らず、将来世代にどのような影響を与えるかを考慮した取り組みが必要です。

7.地域新電力の設立?

SDGs未来都市の取り組みの一環として設立した「いるまe-MIRAI株式会社」は地域のエネルギー自給や脱炭素社会の実現を目指す重要なプロジェクトです。しかし、この取り組みにはいくつかの問題点が指摘されます。
まず、入間市ゼロカーボン協議会の議事録が一般公開されていない点は、市民との透明性や信頼関係を欠いているといえます。SDGsの目標である「市民参加型のガバナンス」や「情報の公開・共有」を実現するためには、政策決定プロセスの透明性が不可欠です。
さらに、エネルギーの地産地消や地域課題の解決を掲げる一方で、具体的な実施計画や進捗状況が市民に十分に共有されていないため、その効果を測定する手段が不明瞭です。
SDGsという名の下に進む事業ですが、実態が見えていない現状では、一部企業との癒着が疑われてしまいます。
市の主導するプロジェクトが真に持続可能であり、かつ市民の利益に繋がるためには、より開かれた議論と市民参加の仕組みが必要です。


まとめ

入間市が掲げるSDGs未来都市の取り組みは、持続可能な社会を目指す重要な挑戦です。しかし、現状では特定の層に偏った施策や、効果の見えにくさ、そして情報の透明性の欠如が大きな課題となっています。
本当にこれは「持続可能な開発目標」と言えるのでしょうか?市民が納得できる形で進んでいるとは言い難い現状は、まさにSDGsという響きの良いカタカナ言葉を使い、政策の実態を曖昧にしているのではないかと疑問を抱かせます。
これからの入間市のSDGs施策には、市民全体が主体的に参加し、全員が恩恵を受ける包括的なアプローチが不可欠です。
現市政が進めてきたこれまでの施策は、市民のことを置き去りにしてきました。
未来に向けて本当に持続可能な社会を実現するためには、今こそ既存の取り組みを見直し、より長期的かつ市民参加型の展望を持つ市政が求められています。

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