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修理する権利とiFixit

修理する権利

 壊れたら終わりではありません。
 誰にでも、買った製品を自分で修理する権利があります。 世界各国で「修理する権利」に関する法案が制定されています。iFixitという情報サイトがあり、「修理する権利」を推進しています。実はこれが、ここ数年で世界的に大きな流れになっています。そんなことをわざわざ言わなくても何か製品を買ってそれが壊れた、故障した、エラーが出たとしたら、まずはそれを修理しようって当たり前に思います。ところがそういう当たり前のことが、実はここ10年、15年ぐらい前から知らないうちに非常にやりずらい状況になっていると、私は実感しています。それに待ったをかけるのが「修理する権利」で実は今、世界的に広がりを見せています。

電気製品のマニュアルには分解・修理禁止となっている

 きょうびの電化製品は掃除機とか何でもそうですが分解も修理もエラー解除も自分でやってはいけない、やりたくてもできないです。だからともかく壊れたらメーカーに連絡して指示通りにしなさいということになっているわけです。大体家電のマニュアル見たら最初にそういうことが書いてあります。いろんな、メーカーの掃除機や、電気毛布や、全部安全上の注意と言って同じ記号を使って

分解禁止

この道路標識の進入禁止みたいなのが、ドライバーの上に重ねてある統一した記号使って絶対に自分で分解、修理、改造をするなと警告されています。こんなことをしたら、違反ですよ。という警告です。どういう警告かというと、死亡、重傷、火災になりますよっということです。自分で分解したり修理したり、そういうことは、まるで法律違反であるかのように本当にとんでもない悪いことですよっていう印象をこれでもか!っていうくらいに与えるような書き方です。
 だから、自分で分解したり修理したりするのはこのところ当たり前じゃなくなってきたし、そんな事をする人はむしろ非常識な危険な人だと、とにかくメーカーの指示に従いなさい、素人は手を出すな、そういう風潮になってきているということです。特にDIYあまりやらない人なんかだと、それが常識みたいになっています。自分でバラバラにしても何もできない、壊すだけだと。第一危ない。火を吹いたらどうするのだと。
 もちろん、分解して危険こともある。なおらないこともある。しかしそれは情報がないからでしょ。丁寧な修理の情報や安価な補修部品があれば、それで修理できるでしょう。普通は伝統工芸のような職人技が必要なわけじゃない。同じ人間のやることなので、たいてい誰でも自分で修理できるはずなのです。本当はできるのに、あきらめさせられているという感じです。

自分の持ち物は自分主導で修理できるはず

 そういう風潮に待ったをかけたのが「修理する権利」というものです。ちょっと待ってください、自分の持ち物は自分で修理しますよ。あるいはそれがどうしても難しくて無理なら、自分が選んだ人に修理してもらいますよ。要するに自分主導で修理する。それが「修理する権利」です。製品を「修理する権利」はメーカーではなく、その製品を自分のお金でまっとうに買った所有者にあるということです。そういう考え方が本来当然だと思いますが、このところメーカー側は安全上の理由を盾に所有者自身が修理することに対して、警告、禁止、違反、火災、爆発、重傷、死亡そういう強い言葉で本当に耳にタコができるほど否定ばかりしてきました。
 給湯器なんかふたを開けたような痕跡があればそれだけで一切保証しないとか。部品交換したら改造になるとか、そんなことを言われたことが私はあります。修理する権利が所有者にはないかのように言われてきたわけです。
 そうじゃないんだと。だいたい、買ったものはメーカーの所有物じゃないのに、それを分解して中を見ることができなければ、そんなことでは本当に自分のものだと言えないじゃないですか。パンドラの箱じゃあるまいし、自分のものであれば「開ける自由、いじる自由」があるはずだろうと普通にそういう感覚を持つことがなぜいけないことなんですかと、思います。
 そういうユーザー側の主張を「修理する権利」としてここ数年、急速に全世界的にも言われ始めてきているということです。DIYをやる人には朗報です。

自分でできる修理はこれまで普通にやってきた

 ところで私は昔から何か製品が壊れたら、たいていは買い替える前に修理を考えてきました。自分で簡単に治るようなら掃除機の電源プラグの辺を修理したり、洗濯機のスイッチを磨いて洗濯機が途中で止まるので修理したり、コンデジの中の配線の断線を直したり、自分でできそうなことは自分でやります。無理な場合はそれはメーカーに電話して相談してきました。

レンジフード

 レンジフードのシロッコファンのモーターに異音があったので。Panasonicですが、10年以上使っていたものでサービスに電話して普通に送ってもらって交換しました。全然スムーズにできました。部品の発注から修理まで。何の問題もないです。それが伝票を見ると2010年のことです。14年前。まあ、かなり前になりますが、かつては電化製品も部品取り寄せて修理できたということです。しかし、、まあまあ高いです。モーターだけで¥12800送料¥500でも、そこまでははまあ良かったのです。

 INAXサティスのエラーリセット

 しかし、2016年。そのころやってた喫茶店のイナックス シャワートイレ
サティスの電源ボタンが点滅して、ノズルの動きもおかしなことになるんで

電話したら点検受けてくださいと言われました。しかも有料です。出張料もかかるし全部で1万円以上する。えっ?と思って、じゃあもう温水機能使わないから壊れたままでいいです。このまま使います。と、そう言って電話切ろうとしたら
「いやいやちょっと待ってください」
と電話口の人がリセットの仕方教えてくれました。それで直りました。だからまあ私はよかったんですけど、なんだかなあと思いながらも有料点検受けた人は多いのではないかと思います。それってどうなんですか。正直者が損するみたいなことになっているのではないでしょうか。しかもそれ以来毎年同じことになるので毎年教えてもらった方法でリセットしています。その辺からメーカーの対応はなんだかなあと思うようになりました。

ダイニチの焙煎機カフェプロの修理で落ち込んだこと

 あくる年ですが、2017年に店で使っていたコーヒーの焙煎機のモーターが故障しました。ダイニチという石油ファンヒーターで有名な大手メーカーのものです。

 これは10年以上使っていたので修理は無理かなと思っていましたが、10万ほどもする高い機械なので一応電話しました。そうしたら案の定修理は無理でした。じゃあ、どうすればいいんですかと聞いたら、
「それは捨てて買い替えてください、そうするしか方法はないです。」
と言われました。
 実はその焙煎機は、私は何度も分解整備してたので、いやいや、モーター替えればまだ使えるということがわかっていたので、それでこの換気扇のモーターみたいにモーターだけ売ってもらえないか聞きました。すると、それは改造に当たるので到底お渡しできませんと言われました。あなたは、非常識なとんでもないこと要求してますよという感じです。
 それで、私はメーカーに聞いたことを後悔しました。全くお門違いでした。そんな言われ方するのだったら、最初から電話するのではじゃなかったと思いました。結果的にはモーターだけヤフオクで仕入れてそれで直ってまあ良かったのですが、メーカーには何か、クレーマーみたいに扱われたような気がしてこのときはすごいへこんで落ち込みました。
上の動画では何で落ち込んだかという事を延々と1時間近くグダグダ言っています。お時間のある時にお付き合いいただければ本当にうれしいです。

TOTOウォシュレット便座をPanasonic普及品に交換

 2018年は家のTOTOのをシュレット便座が壊れたので取り替えようと思って

これもTOTOに電話したら、一般の人に便座や部品の販売はできないので業者さんに工事を頼んでくださいと言われました。普通はそうするしかないみたいです。しかし、業者さんに頼んだら10万円以上かかるみたいなので、便座だけですよ。トイレ全部じゃない。それでも10万以上かかると、いうことでそんなことはやってられないので、私はパナソニックの1万5千円ほどの普及品を通販で買って取り付けました。TOTOのは、もともとがシステムトイレというものなので、指定のもの以外取り付けできないと言われていましたが、別になんの不都合もなく取り付けられたし、今もちゃんと使えてます。

アサヒ衛陶ボールタップを三栄水栓汎用品に交換

 同じ2018年ですけど友達の家のトイレタンクの水が止まらないという事だったので

アサヒ衛陶というメーカーのサポートにメールで修理の問い合わせすると
ボールタップなどの部品代だけで13500円。工事も含めるとプラス1万で24000円ぐらいという事でした。ちょっと高いなあと思ってホームセンターに行ったら三栄水栓の汎用のボールタップがあったので税込み2376円で修理できました。トイレの修理の場合はサードパーティですね、つまり、メーカー純正品以外の汎用品がある程度出回っているので選択の余地があるにはありますがメーカーはもちろん」そういうことを言ってくれないし、あまり一般的でもないと思います。多くの人はかなり高額で修理されているのではないでしょうか。

ノーリツエコジョーズの920エラー、930エラー

 そういう事ばかりあるのでメーカーに対してはずっと、なんだかなあと思っていましたが、ちょっとこれはやり過ぎじゃないのと思ったのは2022年になりますが、

給湯器のリモコンにある日突然920という表示が出ました。メーカーに問い合わせると中和器という部品を交換しないとエラーが解除できないという事でした。それをしないで放置すると930エラーとなって給湯器が使えなくなります。詳しいいきさつはこの動画で説明してますのでここでは省略しますが結局私は自己責任でそのエラーを解除してこの給湯器はそれから3年近く経った今も全く不都合なく使えています。
 エコジョーズの給湯器自体は優れた良い製品だと思います。問題は中和器エラーです。エラーをリセットすれば使えますがその方法を書いたサービスマニュアルは一般ユーザーには隠されています。実際には本体の中の袋に仕込まれていますが、安全上の理由を盾にパンドラの箱みたいに絶対に本体のふたを開けるなと言われている。開けたら最後、感電とか、火事とか爆発とか一切保証しないとかそういう不幸が訪れると。そう言われたら普通、メーカーの言う通りするしかないです。つまり、ユーザー主導による修理する権利が奪われていると言える状態です。

エラータイマーによる計画的陳腐化

 それはまるで一定期間しか使えないタイマーが仕込まれているみたいなものです。自分の所有物なのにメーカーの管理下に置かれていて、
「ハイ時間切れです。買い替えてください。」
というわけです。こんなふうに企業が製品寿命をわざと短くしてまた新品を買わせることを計画的陳腐化と言います。
 評判の悪い古典的なやり方なのにそういう話はまたかというくらい非常によく聞きます。快調そのもののプリンタが廃インクタンクエラーで突然使えなくなったり、インクカートリッジにわざわざICチップをつけて再利用できなくしたり、あるいはスマホ。アイフォンはソフトウェアアップデートで動作が重くなるようにしていったり、いちいち例を挙げてもきりがないほどいっぱいあります。そうした計画的陳腐化も結局修理させない、新品を買わせるという事なのでユーザーの修理する権利を奪うものです。計画的陳腐化についてはいずれまた改めて詳しい動画を作りたいと思います。

モノを大切にする文化は使い捨て経済で否定されている

 この動画では「修理する権利」という観点に絞って話を進めます。
 我々は昔から親に「ものを大事にしなさい」とよく言われたものです。製品をぞんざいに扱うなという、とても大事な価値観です。言うなればそれは文化です。実際、家電製品など、多くの耐久消費財はそんなに高級品でなくても丁寧に、大切に扱って、ちゃんとメンテナンスや修理をすれば非常に長く使い続けることができると思います。そう簡単に寿命をむかえることはないです。個人的にはほとんどのものはそれこそ一生使えると思います。中には経年劣化が進んで事故のリスクが高くなるというものもありますが非常に限られた品目(消安法に基づいてガイドラインで定められた製品11品目)です。
 先ほどのガス給湯器も寿命が10年ということがよく言われますが、そういう経年劣化による事故リスクの多い製品にもなっていないし、寿命と言ってもそれはメーカーの部品の保有年数であって、それが必ずしも寿命とは言えないし、私の個人的な経験では、ーそれは、個別の環境によって大きく変わると思いますがー給湯器は20年とか、もっともっと長く使える印象を持っています。部品がなくなったら修理ができないので直ちに買い替えなければならないというのも妙な話です。確かにメーカーが古い機種の部品の在庫を
いつまでも抱えるわけにいかない事情は分かりますがパッキンなどの消耗品は汎用品でまかなえる場合も多いし、中和器といった専用部品でも現行機種のものが共通に使えるようになっていればよいだけのはずです。
 しかし、部品の保有年数を過ぎた機種の場合は仮に使える部品があったとしても、その機種の補修部品はもう在庫していませんと言う事でメーカーが修理に応じない理由になります。つまり、部品の最低保有年数そのものが
実質的にその機種の寿命となることを正当化できます。その部品は廃番なので給湯器ごと買い替えてください。と言われても、反論の余地がなくなってしまうということです。
 実際10年を過ぎた給湯器で920エラーが出た人はそのように言われたという人が複数いらっしゃいます。つまりメーカーは修理をしたくない。壊れたらさっさとゴミとして捨てて買い替えてほしいというわけです。そのほうが儲かるのでそれ以外の選択肢を無くしているとそんなふうに見えます。製品の寿命というのはそういう意図が働いて決められている感じがします。だから、普通は部品の最低保有年数以上の寿命を持つ製品がない。つまり、10年ぐらい経てば、買い替えるしか方法がないということです。
 実はその機種の寿命というのは特許権との絡みでも非常に重要な意味を持ちます。私はダイニチの焙煎機を修理するためにモーターだけ売ってくれと言いました。しかしメーカーの人に言われたのは
「それは改造にあたるので到底お渡しできません。」
ときっぱり断られたわけです。私は改造など全く意識しておらず、ただ元通りになれば良いと思っただけです。しかしそれはメーカーからすれば寿命を過ぎて壊れた製品を修理して動くようにすることは、普通であればゴミとなるものの性能を大幅に向上させて使えるようにするということです。これは特許製品を再生産することになり特許権を侵害するということです。ユーザーとしては、選択肢が多いほどいいです。つまり、買い替えだけではなくて、修理という選択肢も常にあるほうがいいです。一定期間使えば必ず買い替えるしかないというのは納得できないこともあります。少なくとも私は、何とかならないのかと思うことがこのところ多々ありました。メーカーは修理では儲からないからそんなことやってられないと。

 修理をするとメーカーは本当に儲からないのか?

 しかし、はたしてそれは、本当なのか。私はそうとも限らないのではないかと思います。ユーザーが製品を修理したいと思うのは、それをもっと長く使いたいと思うからこそです。それはつまり気に入っているから、修理する価値があるということです。焙煎機にしても、エコジョーズにしても製品自体は本当に優れたものだと思います。それだけ価値のある製品なら、新品の時に高い値段をつけられるんじゃないかと思います。
 高くてもそれなりに価値があって、しかも長く使えるならなおさらユーザーとしては製品を捨てるまでのコスパでメリットがあるということで売れるはずです。さらに修理対応が良ければユーザーはメーカーを信頼するし長く使うことはまさにSDGsのごみを減らすということだし、メーカーのイメージも上がります。そういうことはメーカーにとって大きな財産になるんじゃないでしょうか。私だったら買い替えを迫られるより誠実に修理対応してくれるメーカーを信用するし本当にこれは寿命だし買い替えるとなったらまたそのメーカーを選ぶと思います。

メーカーとユーザーは敵対関係になっている

 メーカーとしてはとにかく目先の売り上げや株価を上げないと立ち行かないということなのかもしれないけれども、そのためにユーザーの選択肢を奪うようなことを続けていると、結局ユーザーとの関係が敵対関係になっていきます。何時の頃からかメーカーのサービスに電話したら、まず最初に必ず言われるのが
「この電話はサービス向上のために録音しております。」
と、そんなふうにくぎを刺されます。言った言わないのもめごとになることがよくあるのかもしれません。あんなことを最初からわざわざ言わなくてよいと思います。とにかく現状ではメーカーとユーザーの関係はあまりよくないです。

修理する権利の法制化は自動車業界から始まった

 しかし、そういう事を今更嘆いても仕方ないので、とにかくそういう流れを断ち切ろうということで、修理する権利を法律で制定していくことが世界的な大きな流れになってきました。実は、自動車業界では10年以上前2012年に「自動車ユーザーのための修理する権利」がアメリカで、すでに制定されています。この法律は、使用者が自動車を修理できるようにメーカーに対して必要な情報や部品を提供することを義務付けました。日本の自動車メーカーはそうした流れにいちはやく対応していたという印象を私は持っています。
 私は、それこそ10年位前のことですが、トヨタの車のブレーキパッドをDIYで交換していて保安部品ということもあって、キャリパーボルトの締め付けトルクが知りたかったので、トヨタ自動車の会社に電話しました。ディーラーとかじゃなく、ネットで検索して本社に電話しました。そうしたら、10分後にはその車のブレーキ周辺のサービスマニュアルのコピーがメールに添付されて送られてきました。すごいなとびっくりしました。
 自動車業界は車検とかいろいろな制度でものすごい利権というかアドバンテージがあるにせよ、ユーザーの修理する権利にこたえるという方向性が基本にあってそれはユーザーの共感を得られるし、産業全体を支える力になっていることは間違いないです。だからユーザーが修理する権利は、ほかの業界でもこれからますます広がっていくことが望ましいと、私は考えています。

iFixitは修理文化の普及を目指す修理の情報サイト

 そして、修理する権利のことを語るときにどうしても外せないのがiFixit(アイ・フィックス・イット)の存在です。ここからは、iFixitについてのお話が中心になります。iFixit(アイフィックスイット)は、電気製品などの修理ガイドを提供する情報サイトを運営する会社です。20年以上前、2003年にアメリカで創設されました。

 iFixitは、様々な製品の懇切丁寧な修理方法を誰でも無料で見られるように公開していています。ユーザーコミュニティが作った修理ガイドも共有しているので、内容はどんどん増えていて、今では12万件以上になっています。 そして、修理を行うための専用工具とか交換用部品の販売もやっていて、それが主な収益になっています。そういうことはもちろん便利なんですがiFixitの活動で最も素晴らしいと私が思うのは製品を長く使い続けるために「修理文化の普及」をめざしているということです。創業が自分のibookの修理からはじまったので自分で修理し続けてものをできるだけ長く使う、そういう理念があるということです。それを実現するために一貫したポリシーがあって、いろいろやってる。だから「修理する権利(Right to Repair)」というものを推進していて製品の修理をしやすくするためにいろんな活動をしています。メーカーとも協力して修理可能な製品の普及にも取り組んでいます。技術や流通だけでなく法制化にも世界中で関わっています。その活動は、消費者の権利の保護にはじまり、ものを大事に長く使うという修理文化、ひいては持続可能な社会そういうことの推進に大きく貢献しているということです。そういうことなので、創業の動機や理念が健全でいい会社だなと思います。だから消費者から多くの共感や賛同があるし、それがまた会社の利益にもなっているということです。会社の規模は50人くらいで決して大きいとは言えないかもしれないけど、情報サイトのコミュニティは全世界広がっていて、数千万人以上が利用しているので多くの賛同者が居て企業のみならず各国政府の政策や法律の立案者に対してもかなりの影響力をもつようになってきました。

修理可能性スコアの判断基準

 例えばiFixitが提唱する「修理可能性スコア」というのがあって、それは製品の修理のしやすさを10点満点で評価しています。スマホ、パソコン、家電製品など、幅広い製品ですが特によく普及している製品が対象です。それぞれの製品を実際分解してみて客観的に根拠のある評価します。評価の信頼性を高めるために評価基準は非常に多岐にわたっています。それはiFixitのサイトに詳しく書かれていますがここではだいたいの内容をいくつかの項目に分けて説明します。

修理可能性スコア


 1.分解が簡単
普通のねじで組み立てられていて分解が短時間でできるとかバッテリーなど修理頻度の高い部品にたどり着くまでの分解工程が少ないとかそういうことは高評価になります。逆に爪や接着剤が多用されていて分解したら壊れてしまうようなものは低評価になります。
 2.専用工具不要
普通、皆が持っているような標準的な工具で修理できれば高評価ですが、特殊な専用工具でないと修理できないようなものは低評価です。
 3.交換部品の入手が簡単
メーカーが誰に対しても純正部品を安価に売っていれば高評価です。逆にメーカーが部品を提供しなかったり、部品の情報を教えなかったりすれば低評価です。部品の入手に時間がかかったり、高価であったり、してもダメです。
 4.小さい単位での交換
交換部品ができるだけ小さいモジュールで独立していれば高評価です。それだけ変えればよいので。逆に広範囲に接着されていたり、でっかい基板ごと交換しなければならないとか大規模な単位でしか交換できなければそれは低評価です。
 5.修理情報の充実
メーカーがサービスマニュアルなどの修理手順を詳細に公開していれば高評価です。エラー解除の方法やメンテナンスモードに入る方法も重要な情報です。そういうのももちろん公開すべきだと。それらが一般人に隠されていれば実際メーカーにしか修理ができないので低評価です。
 6.修理が簡単
修理に特別な技術が必要ではなく、誰でもさっさと修理できるとメーカーや認定技術者でない人がやってもちゃんと修理できるのが高評価です。
 7.組み立てが簡単
もちろんですが修理後に元通りさっさと組み立てできるのが高評価です。破損しやすかったり、ややこしくて元通りにならないものは低評価です。
 8.接着剤の量が少ない
製品内の接着剤の使用量を評価します。接着剤が少ないと高評価です。多いと分解も修理も組み立ても何もかも難しくなるので低評価です。
 9.汎用部品の使用が可能
安価で入手が容易な汎用部品や代替(だいたい)部品で対応できることが多ければ高評価です。性能を出すための必要性がないのに、特殊なネジや特殊な部品が多用されていると低評価です。
 10.パーツペアリングしない
動作するはずのちゃんとした部品なのにソフトウェアで部品を識別して未承認の部品をはじくことをパーツペアリングと言います。まともな部品を使おうとしているのにメーカーがそうやって口をはさんでくる。そういう独占を目的とした小細工はメーカーが認めたもの以外を締め出すのでだめだということです。そういう事があれば低評価です。
 11.型番の表示が不鮮明
修理が必要な製品のメーカーとモデル番号がよくわからないものが最近目立つらしいです。そういうものは話になりません。低評価です。
 12.ソフトウェアアップデート
今はスコアに反映されていないですが、ソフトウェアのアップデートが中止されれば使用できなくなる製品もあるのでいずれは低評価する可能性もあるということです。いずれにせよ修理をやりにくくしている要素があれば
長く使えないことになるわけで計画的陳腐化も含めて悪い評価にするということです。

修理可能性スコアの信頼性はiFixitの生命線

 修理のしやすさを数字で表すのは相当難しいもので、完璧にはできていないということですが、もちろん口コミや評判のようなものではなく、実際に分解したうえで多岐にわたる緻密な評価基準に照らして、客観性のある根拠で点数化されます。その点数の信頼性を担保するためにそれ相応の努力がはらわれています。逆に言えばそれだけこのスコアには影響力があるから責任を感じているということです。根拠もないのに良い点をつければサクラになるし、悪い点をつければ誹謗中傷になりかねません。このスコアの信頼性がiFixitの生命線と言っても過言ではないと思います。だから、パートナーシップを結んでいる、提携メーカーであってもそういう関係性には左右されずにスコアを決定するということです。極端な話、例えばサムスンは提携メーカーだったのに、悪いスコアをつけざるを得ないことで提携を解消したということもあります。
 最高評価の例としては、オランダのFairphoneです。このスマホは修理できることを重視して設計されたスマホなので10点満点のスコアです。
その特徴をメーカー自身が宣伝するだけでなくifixitのスコアが満点であれば、それを求めるユーザーには間違いなく大きなアピールになります。逆に0点は破壊しないと分解できないような製品で、修理以前の問題があるものです。そんなものがあるのかと思いますが、2016年のMacBook Pro タッチバー付きモデルは分解やパーツの交換が事実上できないように設計されているということで0点の評価になりました。

iFixitの成り立ちとappleとの関係

 実はアップルに対してはifixit創業時からの因縁があります。iFixitは、2003年にカリフォルニア州立工科大学の学生のカイル・ウィーンズとルーク・ソウルズが創設したいわゆるベンチャー企業です。

カイル・ウィーンズとルーク・ソウルズ

 カイルは自分のアップルのノートパソコンiBookG3の画面が時々真っ暗になるので修理しようとしました。しかしその時修理ガイドがまったくないことがわかって愕然となったということです。それでも、ものすごく苦労して自分達で何とか分解して別のジャンクパソコンの部品を外したりして、さすが工科大学の学生です、何とか修理に成功したということです。これをきっかけに、カイルとルークは、大学の寮の部屋で修理のノウハウを詳しく記録した修理ガイドを作る活動を始めました。そしてそれを情報サイトで公開して多くの人と共有することにしました。さらに、修理ガイドを提供するだけでなく、中古のiBookの部品を分解して部品販売も組み合わせてちょっとしたお金を稼げるようになったということです。これがiFixitの始まりです。そして、これはビジネスになると考えて、大学を卒業すると同時に、iFixitを会社にして本格的に経営を始めました。修理ガイドの数がどんどん増えるにつれて、数千万人が利用するという現在のような規模に成長しました。当初は、Appleが修理ガイドの公開停止を要求したこともありました。詳しく知らないですが、何らかの争いがあったのかもしれないです。要するにお互いを快く思わない関係だったことはまちがいないです。iFixitは、(私はそれを直すという意味ですが)その「i」はもともとAppleが発売するiPhoneとかiBookを意識したものとも言われます。iFixitからすれば分解修理に苦労させられた積年の恨みがるしappleからすれば勝手に分解して中身をさらされて
さらに評価までつけられたらたまったもんじゃないです。

iFixitは世界的大企業と修理のパートナーシップを結ぶ

 Ifixitは、Appleを完全に敵に回していたのですが、そんなことはお構いなしに、世界を代表する大企業と修理のパートナーシップを結んでいきました。修理のパートナーシップというのは純正部品や工具や修理キットをiFixitを通して安価に販売して、修理方法の細かな情報もiFixitの修理ガイドに公開することで、独立系の修理業者やDIYの個人など誰でも修理できるようにするというものです。2014年オランダのフェアフォンを皮切りに有名な会社で言えばモトローラ、マイクロソフト、グーグル、デル、ヒューレットパッカード、レノボといったアメリカを代表する大企業と次々に修理のパートナーシップを結んでいきました。ノキアというスマホで有名なフィンランドのHMDともすでに修理のパートナーシップを結んでいます。iFixitの修理ガイドはスマホやパソコンに限らず、国境も超えて多くのメーカーと連携することで世界中で修理が開かれたものになり、多くの人が自分で修理できるようになっています。

iFixitはサムスンとのパートナーシップを解消した

 しかし、スマホに関してはなかなか難しい問題もあると思います。世界的に見てスマホシェアの首位を争うのはサムスンのギャラクシーとアップルのアイフォンであるというのは事実です。iFixitは2022年にサムスンと修理のパートナーシップを結びました。それによってギャラクシーの部品の入手や修理が多くの人に身近なものになるはずでした。しかしサムスンは、サードパーティーの部品を認めず、高価な純正の部品だけを使うように求めたり、修理業者から顧客情報を集めるといったiFixitの目指す方向と逆行するような方針が目立ってきたために今年2024年5月にiFixitは2年間にわたるサムスンとの修理パートナーシップを終了したということです。一旦パートナーシップを結んだとしてもポリシーに違いが出てくれば、関係は解消されるべきであると。腐れ縁を引きずるくらいなら、さっさと別れたほうがマシ そういう考えです。もちろんそれは一貫したポリシーを堅持するために必要なことですが大きなシェアを持つ会社から協力が得られないことは残念なことでもあるはずです。それでもパートナーシップの解消に迷いがなかったのはポリシーこそIfixitの生命線と考えているからだと思います。

appleの最近の動向は修理可能性スコアを意識している

 そして、iFixitはアップルの製品に対して特別な思いがあるかもしれません。創業以来長年にわたって、どれほど嫌われてもしつこく、決してあきらめずに分解修理ガイドを公開し、Apple製品の修理可能性を評価してきました。特に、iPhoneやMacBookの分解ガイドは毎年公表して、その修理の難易度をスコアで示すことで、消費者だけでなく、メディアや、各国政府の政策立案者にさえも大きな影響を与えてきました。iFixitは、とにかく修理に関してApple製品を批判し続けたんです。Apple製品は内部で接着剤をいっぱい使って固めたり、独自の特殊なネジで修理が全然できないような製品を作っていると、しつこく言い続けました。しかし、なんとそれらの指摘が功を奏したのか、2022年発売のiPhone 14はそれまでと違って非常に分解しやすい設計になっていたのでiFixitは興奮気味に称賛して、修理可能性スコアは7点という高い評価にしました。しかし、喜びもつかの間、翌2023年には早速その高評価を取り消さなければならないことが判明しました。画面やバッテリーなどにペアリングの制限を設けており、たとえ同等品でも正規品でない部品を排除していることがわかったということです。そのため、修理可能性スコアを4点に下方修正するという異例の事態になりました。同じ2023年に発売されたiPhone 15もパーツペアリングによって修理可能性スコアは4点の低評価となりました。それでも今年2024年に発表されたPhone 16はかつてないほど分解しやすくパーツペアリングを改めてアップルはサードパーティ製の部品でも意図的に無効にしたりしないと言っていてiFixitはそれを信じて暫定的に修理可能性スコアを7点としています。iFixitは高評価していますが完全に信用してはおらずパーツペアリングしないという約束が果たされているかどうか、きっちり検証していくと述べています。

iFixitが消費者の共感を後ろ盾に大きな流れを作り出している

 Appleの方針の目まぐるしい方針転換を見るとなかなか一筋縄ではいかない一進一退の攻防が続いているように見えます。しかし、それでもiFixitの活動はAppleに大きなプレッシャーを与えていてappleとしても製品を出すたびに修理に対する考え方の見直しをせざるを得ない感じです。Appleの市場における存在感を考えると、二人の学生が学生寮で始めたベンチャービジネスは修理文化の普及を変わらぬ理念として長年にわたって追求したことで大手企業の方針に影響を与えるまでになっているとそれは、すごいことだなと思います。私はすでにiFixitがすでに大きな流れを作り出していると感じます。
 気に入った製品があれば誰しもが、長く使えるものであってほしいと思います。それは当たり前の素直で単純な感情なので多くの賛同を得られます。
だからiFixitによる修理可能性スコアの発表は多くの人に期待されるし、参考にされるしそれは口コミや評判の域を完全に超えて、すでに客観的な評価基準として自然と大多数の消費者に影響を与えています。そのことがひいては世界各国の法律制定にも影響を与えることになっています。フランス政府は2021年1月にメーカーに対して修理可能性指標を製品に表示する義務を課すという法律を制定しました。これは製品の修理しやすさを消費者にはっきりと示すための法律です。そしてこの法律は、iFixitのスコアを参考にしていて、実際にiFixitが法律の立案にも参加しました。

フランスの修理可能性指標

 この法律は、メーカーに対して圧力をかけることになりました。製品の修理可能性が低いとスコアが低くなるために消費者から敬遠されます。だからメーカーは修理しやすいように設計を変更する必要があるので結果として消費者の修理する権利を拡大することになりました。

修理する権利に対しての日本のメーカーや政府の動向

 修理可能性スコアの評価項目にもあるようにメーカーの純正部品はDIYで修理する人たちとか、独立系の修理業者に対してできるだけ安く供給されることが望まれます。ところがアメリカでの話ですが、ニコンとキャノンは修理する権利の推進を嫌っているために、アメリカでそれまでやっていた、純正部品の供給をやめたということです。これによってアメリカではユーザー自身がニコンやキャノンのカメラを修理できなくなったということです。しかし、もはやそうしたことがメーカーのイメージを悪化させることは間違いないし、業績を落とすことになりかねない状況なのではないかと思います。このほかにも残念ながら日本の携帯電話各メーカーも修理には消極的です。日本国内向けとしてはおサイフケータイ、ワンセグフルセグテレビ、キャリアメール、緊急速報など高い機能を開発しているのかもしれませんが、かつてガラケーと揶揄されたように、独自の進化はしていても世界的な需要に応えるような競争力があるかどうかは疑問です。もちろん修理可能性を高めることに関しては、消極的でiFixitと修理のパートナーシップを結ぶ企業はありません。

技適制度は電波機器の修理の足かせになっている

 日本はスマホの修理代が高く、割れた画面のスマホを持ち歩く人が非常に多いらしいです。これはメーカーの消極的な姿勢とともに、従来からの規制が修理する権利の足かせになっている現実もあります。日本でスマホやWIFI機器など無線機器を修理する場合、技術基準適合証明制度(技適制度)によって規制を受けます。技適マークの無線機器をDIYで分解して修理すると技適マークが無効になるので、たとえ直っても使用すると違法になるということです。この場合再認証によって技適マーク取得しなければ、使用できませんがその手続きが煩雑で、DIYとか独立系修理業者の修理を妨げます。しかし、そういうことでよいのでしょうか。技適制度による修理や部品交換に関する規制は部品交換など軽微な修理であれば、再認証が不要となるような法改正をするなど柔軟な運用とか規制緩和を検討すべきなのではないかと思います。政府は修理する権利を推進する法律を作るどころか、修理が困難になる法律をただ放置しているだけのように見えます。修理する権利についての対応はどう考えても遅れているようです。修理する権利を尊重する潮流を無視できない昨今では各国で新たな法案が出されています。欧米への輸出が多い日本のメーカーに対して修理可能性スコアの表示義務といった規制がかかってくることも予想されます。かつての自動車産業が排ガスや燃費の規制という荒波を乗り越えてきたように、日本の産業界が世界で競争力を持つためには規制によって締め出される側ではなく、逆に規制によって市場を広げる側に回れるように規制を利用して優位に立てるようにできるだけ早く対応しないといけないと思います。

どのようにモノを大切にする産業構造に転換していくか

 アメリカでは修理する権利に関して、消費者の権利保護の意味合いが強いですが、ヨーロッパでは循環型経済行動計画のテーマの一つにもなっていてSDGs達成の意味合いも濃くなっています。いずれにせよ物作り産業が成熟した今、消耗品の取替や本体の修理をし続けることで、できる限り製品を長く使い続けることが望まれています。それは昔から普通に日本にある
「物を大切にする」という文化です。そしてそれが経済の衰退を招かないように産業構造を転換していく時期に来ているのではないかと思います。どのように産業構造を転換していくのかということですが修理する権利を推進していけば自然とその答えが出てくるものと思います。
 従来は製品が故障すると新品を購入することが主流でしたが、修理を選択する消費者が増えるということは部品やツールや修理キットの販売などをする修理産業に拡大の余地があります。まず直接的な影響として修理産業業者やパーツ供給業者への需要が増加します。メーカーは、製品の修理のしやすさが競争力の一つになるので、細かくモジュール化された設計が求められるようになっていくと考えられます。例えば、バッテリー、スイッチ、コネクタ、その他の細かな部品が簡単に交換できるような設計です。それによって製品のライフサイクルが延びると考えられます。こうした変化は循環型経済の促進にもなるし目指すべき方向ですが、新品の販売価格は上げていかないとメーカーの経営を悪化させるのでそれは許容されていく必要があります。
製品が寿命を迎えるまでの期間で修理代やメンテナンス代も含めてのコスパを考えればメーカーにも消費者にも納得のできるある程度高い金額が出てくるはずです。これまでメーカーが躍起になって買い替えを迫っていましたが
そのような使い捨て促進経済が不毛な安売り競争を招いていたと思います。このようにメーカーや業界の姿勢にも変化をもたらすものと思います。修理用の部品の製造・販売が増加します。純正の部品メーカーに加えて、メーカーからは独立したサードパーティーによる互換性のある部品が、盛んに作られると考えられます。そうやって部品市場が活発化することで、ユーザーの選択肢は多くなりますし、より手頃な価格で部品が手に入るようになります。こうした部品市場は新たな産業になります。

経済を土台から支えるのは中小零細企業

 日本の製造業を支えているのは、高度な技術のある中小企業です。精密加工、センサー、3Dプリンター、コンデンサなど電子部品、そうしたメーカーが大企業の発注を満たすだけではなく修理する人の個別の需要に応えて部品を供給するような、部品市場が活発化すると考えられます。ネット経由での物販システムが非常に使いやすくなっているので少ない単位でも中小企業が適正な価格で販売できる環境はすでに整っていると思います。
 修理可能な製品が増えることで、中古屋さんが増えます。中古品の修理・整備・再販売を行う企業が増えて、消費者は新品を購入するという選択肢に加えて、整備された中古品を購入するという選択肢を持つことになると思います。再生や再利用の産業が盛んになれば、ゴミの削減と資源の有効利用が進むので、新品の価格上昇を抑える働きもあるはずです。
 中古市場の活性化と相まって、多くの製品が長く使われるようになれば、それに応じてメンテナンスや修理の需要も増えます。DIY以外にも職業としての修理屋さんが増えます。必要な部品や修理の方法が普及することで修理産業が活発になってメーカーの束縛を受けない独立系の修理ショップが増加するということです。「修理する権利」の推進で、DIY修理を支援するコミュニティやオンライン修理ガイド、動画などを通じて、ユーザーが自分で製品を修理する技術を習得できる機会が増えます。これにより、修理技術を高めた人が個人事業として修理を行う場合も多くなるのではないでしょうか。  
 このように、「修理する権利」の推進は、部品市場の成長、中古産業の発展、独立系の修理事業者の増加などの分野で新たな産業構造を生み出す可能性があります。それらは、当初小さな個人事業や中小零細企業で構成されると思います。しかし、本来、そういうことでしょう。
 大企業や業界団体が強引に経済を引っ張るというのではなく、消費者の賛同を得ながら需要に応えていくような企業が経済を支えるべきです。底の方から大きな産業の土台を支えているのは常に小回りの利く小さな企業です。もともとは二人の学生が始めたベンチャー企業が消費者の選択肢を奪うことではなく逆に増やす方向を示してこうした大きな流れを作りつつあるということであって消費者の賛同を得られることが産業を支えるもっとも大きな力になるはずです。これにより、従来の消費一辺倒のスタイルから、循環型の経済へと移行する動きも自然に出てくるのではないかと考えています。

修理する権利の拡大で懸念されることー修理は自己責任ー

 このようにiFixitの活動によって「修理する権利」が拡大しています。それはDIYをする人にとって大変歓迎すべきことですが、懸念されることもあることはわかっておかないといけません。
 DIYの基本は自己責任ということです。いい加減な間違った修理をして製品をこわしてしまったらそれは100%自分のせいです。それでメーカーに文句を言ったら完全なクレーマーです。そのあと、何とかしてくれということでプロの修理屋さんに頼む場合は余計にお金がかかることも覚悟しておかないといけません。まあそれは今でもDIYでエアコンを設置する場合と同じです。ちゃんと適切に分解や修理をしたのであれば、問題は起こらないはずだし多くの機器は長く使えるようになるはずです。うまくいかなかったら自分のせい。うまくいったら自分のおかげ。ということです。
 ところでメーカーが言っている設計上の標準使用期間というのがあって、メーカーが安全に使用できますよと言ってる期間です。耐用年数とか、寿命とか言われるような、給湯器だったら10年とかそういう期間。それを過ぎたものを修理して寿命を延ばした場合はどうなんでしょうか。メーカーに言わせれば、それから先は何かあっても自己責任ですよっていう事のようです。まあそれはそうなのかなと思います。そういうふうに自己責任になることはこれから増えてくると思います。

製品の寿命ー設計上の標準使用期間ーについて物申す

 だからといって、10年経ったら危険だから買い替えてくださいというのは違うと思います。修理やメンテナンスをちゃんとすれば危険ではないはずです。修理というのは危険なところをなくして寿命を延ばすためのものだからです。本来的には修理を制限することが逆に危険を増やすことになるということです。10年そこそこで危険というのは、それは一切修理しないことが前提になっています。それは買い替えさせるという意図が働いているからであって、私には機器の寿命を無理やり縮めているようにしか見えないです。 
 メーカーはエコとかサステナブルとか言っていますが、修理という選択肢を奪って買い替えしかないと強制するのはエコでもサステナブルでもないです。全然逆のことをやっています。本当の製品の寿命というのは標準使用期間とかではなくて、使い方やメンテナンスや修理の仕方によって全然違ってきます。家電製品など家にあるものは、たいていそんな10年なんて新しいほうです。冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、ほとんど10年以上使ってるものばかりです。そういうものが壊れても、また直してということを繰り返せば多分死ぬまで使えると思いますね。マジです。10年以上長く使えばそれは、何かあっても自己責任になりますが、だからといって私はちゃんと修理していけばそんなにリスクが大きくなるとは思えないです。

危険だから修理しないのではなく安全のために修理が必要

 「素人が修理したら危険なので絶対に分解しないでください。」
そういう事が説明書でも何でもいろいろ刷り込まれています。しかし、修理というのは本来危険を取り除いて、安全性を高めるために行なうものであって危険だからやめろと言われるようなことではないです。何もしないほうが危険なのです。特に自分でバラして中を見て修理すれば外科手術をしているような気分になります。だから構造も理解できるしちょっとした不調が起きてもどこが悪いのか想像ができるようになる。つまり、機械の調子に敏感になるということです。手術がうまくいけば、自分の手で寿命を延ばしたという大きな喜びと充実感があるしそれとともに、愛着も出てくるというものです。それは、危険じゃなくてまさに危険を減らすことに他ならないです。日本には餅は餅屋という価値観があります。専門家に任せなさい。ということです。もちろん専門家に対する敬意は必要ですが、その価値観に乗っかって、素人は手を出すな。ということを刷り込むのはいただけません。何もかもダメダメでは何も得るものがありません。そして、いつも何でもダメ出しばかり食らっていると修理と名のつくことは何もかも全部ダメで、思考停止みたいなことになってしまって、しまいには何が本当にダメなのかもわからなくなります。

扇風機はノーメンテで使うと危険

 本当に危険なもの、修理せずに長く使うと非常に危険な製品もあることは事実です。どんな製品も長く使うと危険ですということばかり言われるので本当に危険な製品があることがうすめられていると思うので最後に私が本当に危険だと思う製品を言っておきたいと思います。それは扇風機です。扇風機は経産省もナイトももちろん気をつけなさいと言っています。「長期使用製品安全表示制度」で上げられている5品目の中の一つになっています。
 5品目は扇風機 エアコン 換気扇 洗濯機 ブラウン管テレビです。ブラウン管テレビなんてもうないですよね。実質的には4品目、モーターを使うものです。それは全部危ないのかもしれないですが、その中でも私が特に注意したいと思っているのは扇風機です。昭和のレトロな扇風機とか、今でも時々見かけます。大事に長く使われていて、そういうのはほんとにいいなと思います。ちゃんと修理や整備がされていればいつまでも使えます。しかし、実はそういう昔の扇風機が発火して家が全焼して二人暮らしの老夫婦が亡くなったという話を聞いたことがあります。扇風機というのは中にモーター起動用のコンデンサが入っているんですがそれが劣化して発火することが結構あるということです。あるいはモーター自体が回転が遅くなったりすると風で冷やされないから、コイルが熱もって発火するとか、そういうことはめちゃめちゃ古くない扇風機でもありがちなのでモーターの動きには敏感にならないといけないです。ちょっとでも回り方が遅いとか、モーターの辺が熱いとか変な匂いがすると思ったらコンデンサの交換とか油さすとかそういう修理やメンテナンスが必要なので扇風機だけは特に注意していきたいと思います。   
 すみません、長いお話になってしまいました。「修理する権利」、いかがでしたでしょうか。これから間違いなく注目されていく話題だと思います。私も知らなかったことがたくさんありましたが、原稿を作るにあたっていろいろと調べて勉強になりました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

参考資料

報告書(経産省に対しMIZUHOが提出?)
https://www.meti.go.jp/policy/kyoso_seisaku/2023fy_report_01.pdf
P.33~
P.80重要

修理する権利:知的財産法の視点から(特許庁の報告書)
https://www.jpo.go.jp/resources/report/takoku/document/sangyo_zaisan_houkoku/2022_01.pdf
ちょっと表現が難しいがP.13の脚注は良い
日本の産業界が欧米で規制される側でなく、規制をアドバンテージとして逆に市場を広げられるように迅速な対応が求められる ニコン、キャノンは逆行

日本の修理行動と政策の概要
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mcwmr/35/3/35_153/_pdf/-char/ja

修理する権利と修理する価値
https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/knowledge/publication/region/2024/03/1_vol248.pdf?la=ja-JP&hash=7A4D58850FA7BB0D7C22B50461F5B0E4DFDF106D
もっと長く使いたいと思うから修理する。それだけその製品に価値を見出しているからだ。それはブランド力にもなる。
EU における「修理する権利(Right to Repair)」に 関する近時の動向
かなり詳しいが面白くない
欧州(EU)・米国における「修理する権利」と
日本における「修理する権利」
消費者に不利な保証契約等うまくまとめてある

修理する権利を取り戻すiFixitの活動
【要旨】 iFixitは,カリフォルニアの大学で設立されて以来,20年以上にわたってより修理可能な電子機器の普及を推進してきた。同社は,Apple製品の修理方法を手順ごとに説明するWebサイトとしてスタートしたが,現在では世界的な修理推進団体へと発展し,世界中で修理をしやすくする法制化を支援し,Google LLCやLenovo Corporationを含むメーカーと協力して,より修理可能な製品作りに取り組んでいる。この記事では,iFixitの歴史を振り返った後,世界的な「修理する権利」運動の成長 (米国,EU, アジアでの法制化等を含む) を説明し,修理推進上の残されたフロンティアについて述べる。

「修理する権利:right to repair 」について欧州での業界団体セミナーでの議論
外川 健一
https://www.seibikai.co.jp/archives/recycle/11442#google_vignette
技適について注目すべき記述がある
CEマークやFCCマークの場合は「無線機器の大幅な改造」を伴わない修理(例:バッテリー交換、ケース修理、コネクタ交換など)であれば、再取得する必要は基本的にありません。

「修理する権利を取り戻すiFixitの活動」
外川 健一
https://www.seibikai.co.jp/archives/recycle/11479
iFixitの誕生
自動車についての記述

iFixit(アイフィックスイット)創業者:カイル・ウィーンズとルーク・ソウルズ
https://jp.ifixit.com/
https://jp.ifixit.com/about-us-jp
世界最大のオンライン修理コミュニティ。電子機器の修理をするために必要な、高品質の交換部品や精密工具、そして最も重要な修理ガイドを手順ごとに分かりやすくまとめて無料公開。世界に支社や販売代理店を展開。日本に会社はないが、正規販売代理店である秋葉館、共立電子産業、モノタロウ、ヨドバシカメラオンラインで分解ツール等が購入可能。話題の電子機器が発売されるといち早く分解し、内部の構造や使用部品を分析して10段階の評価で修理しやすさ(数字が高いと修理しやすい)や推定の原価を公開する事が恒例となっている。

主流になりつつある「自分でデバイスを修理」--iFixitが大いに貢献
「開くことができなければ、本当に所有しているとは言えない」というWiens氏の言葉
https://japan.cnet.com/article/35216341/

製品のリペアビリティをifixitが評価
https://jp.ifixit.com/リペアビリティ
スマホ、タブレット、ノートパソコンなどを評価

iFixitの「修理する権利」への戦いの内側
https://makezine.jp/blog/2022/03/inside-ifixits-fight-for-the-right-to-repair.html
バイデン大統領の大統領令
フランスは、修理のしやすさを評価する制度を開始
独立系修理業者やDIYの人にスペア部品を供給する
2012年、ニコンは小売業者への部品の供給を中止
キヤノンも同様で実質的にアメリカ地方での日本製カメラの修理は不可
7万5000件以上のハウツーガイドをオンライン公開
特殊な修理器具が山ほどあるのはやめてくれ汎用工具で修理できるようにすべし
修理を試みる人に敵対的なデザイン

フランスが導入した新リペアビリティスコアの評価システムについて考察
https://jp.ifixit.com/News/64669/フランスが導入した新リペアビリティスコアの評
フランスのリペアビリティスコアの開発にifixitが参画

修理可能性スコアの表示義務付け対象の電化製品が拡大(フランス)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/ecc4de17e49b32b5.html
修理可能性のスコアは、(1)技術文書の入手可能な期間、(2)機器の分解の容易さ、(3)スペアパーツの入手可能期間、(4)新製品の価格に対するスペアパーツの価格、(5)製品分類ごとの特有の基準、の評価を基に製造者または輸入業者が自己評価、採点する

フランスが求める修理の可能性表示
https://www.tkk-lab.jp/post/rohs20221111
i.ドキュメンテーション:修理業者および消費者に技術ドキュメンテーションを無償で、何年にもわたって提供するという製造業者のコミットメントによって決定されるスコア
ii.分解およびアクセス、工具、締結具:製品の分解の容易さ、必要とされる工具の種類、および締結具の特性によって決定されるスコア
iii.予備部品の入手可能性:予備部品の入手可能性およびその納期に対する製造業者の約束によって決定されるスコア
iv.予備部品の価格:予備部品の販売価格と製品の価格との間の比率によって決定されるスコア
v.特定:当該製品カテゴリーに特有の下位基準によって決定されるスコア

ベルギー、製品に修理可能性の表示義務化の法案を閣議決定、自転車も対象
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/06/e649f79dfff23243.html
対象製品は洗濯機や食器洗い機、掃除機、テレビ、ノートパソコン、自転車などで、小売・卸売事業者に製品の修理可能性スコアを表示する義務が課される。修理可能性スコアは、技術情報やメンテナンスマニュアルの有無、製品の解体のしやすさ、スペア部品の有無・納期・価格などで評価される。長期的には製品寿命の推定値も表示される見込み。

Right to repair
https://en.wikipedia.org/wiki/Right_to_repair
欧州連合は小型デバイスの充電ポートを標準化し、すべてのデバイスでUSB-Cの使用を義務付け(2023年よりiPhoneも対応)
フランス政府がiFixitのスコアカードをモデルにした修復可能性指数を作成
2021年フランスはiFixitのスコアカードからヒントを得た修理可能性スコアリングシステムを作成
2000年以降の「修理する権利」運動に関する主な出来事
サードパーティの修理サービスを利用したりすると保証が無効になると消費者に通知することは欺瞞的行為であると具体的に指摘
スウェーデンは自分で商品を修理する人に対して税制優遇措置を設けている
COVID-19パンデミックの真っ只中、iFixitは、病院、医療機関などのサイトからクラウドソーシングされた情報を活用して、医療機器のマニュアルとサービスガイドの最大のコレクションを公開

修理する権利: 米国における最近の動向
https://www.wipo.int/wipo_magazine/ja/2023/03/article_0005.html
知的財産権についてのメーカーの言い分を解説

【1 分解説】修理する権利(Right to Repair)とは?
https://www.dlri.co.jp/files/ld/250600.pdf
端的にまとめられている

今こそ日本でも「修理する権利」の熟議を
中村健太郎
https://www.moderntimes.tv/articles/20230430-01repair/
メーカーとユーザーとの対立構造

DIYするなら覚えておきたい!世界で急速に広まる”修理する権利"について解説します!
倹約DIY
修理する権利が一般人にはないかのように言われる
消費者(購入者、所有者)が持っている権利(メーカー以外の修理業者に頼むことも含む)
買い替えよりも修理して長く使うことを善とするマインドが重要
日本には昔からあったはず
修理する権利法
 メーカー修理の義務化
 消費者による権利化
 フランス、ベルギー(修理可能性という10段階評価をつけ、製品価値になる)
  パーツリスト、サービスマニュアルの公開、分解のしやすさ
  廃版しないなどパーツの入手容易性、修理価格の合理性
 分解修理に不備がなければ保証は継続しなければならない
  ただしそれを証明することは困難
  自己責任は許容する必要があるが重要なことはDIYという選択肢があること
  消費者側のリスクも受け入れて選択肢を増やすことが重要

【暴露】メーカーが修理を断るのは部品が無いのではない。
あすか修繕堂
メーカーはサポート修理期間を超えると修理できるのに修理しない
自分のコメント:ユーザーはメーカーを信用して製品を買っているのに、長く使おうとするとメーカーとユーザーの関係が敵対関係みたいになっていきます。昔は取説に「末永くお使いください」と書いてあったのにいつしか、なくなりました。

壊れてなくても使えなくなる!?恐怖のプリンタエラーを解除してみました!【時限爆弾】
倹約DIY
時限装置

島津タイマー(Wikipedia)
2022年9月、島津製作所の子会社・島津メディカルシステムズが、医療機関に納入したX線撮影装置の点検の際に、サービス技術社員が一定の時間が経つと電力供給回路が遮断されるようタイマーを装着。故障を偽装し部品交換により、修理代を稼ぐ不正が43件発覚した。当初は熊本営業所管内で発覚、後に鹿児島県(12件)や宮崎県(13件)など九州一円に広がった。不正には九州支店に所属するサービス技術者少なくとも7人(うち5人は営業所長の経歴を持つベテラン)が関与していた。タイマーは市販の汎用品で、設置から約10-40日後に作動し、経年劣化による故障であるかのように見せかけていた。故障を装って部品を交換する際に取り外して処分していたため、証拠がのこされておらず、嫌疑濃厚者のうち自白したのは2人のみで、2人は退職したとして調査委のヒアリングを拒絶。残る1人は病死した。メディアは「ソニータイマー」になぞらえ、「島津タイマー」などと報道した[7][8]。不正は2022年4月に内部通報で発覚。親会社の島津製作所が2023年2月に公表した調査報告書によると、不正は2009年ごろ創設された。この偽装により、8300万円以上の修理費用を売り上げていた

iPhoneを自分で修理?来年始まるApple公式「セルフサービスリペア」ってどんなもの?内容と背景まとめ・そして疑問点など
内容と背景まとめ・そして疑問点など

米国 州の修理する権利 動向報告
アメリカの法律について、細かい解説
パーツペアリングの禁止:反対多いが汎用性あったほうがいいに決まっている
電池とか、インクとか

ジョブ理論㉟既存メーカーは無視できない「修理する権利!」(#ジョブ理論の徹底活用​)
アメリカの話ではアップルの考えに変化があったことを解説
欧州はSDGs関連
オランダ フェアフォン モジュールごとに交換(中和器見習えよ)面白い話
トレンドになっていく

プリンタインクカートリッジ問題
【エコリカ・キヤノンのインク裁判】エコリカが悪い!では済まない理由を法律を踏まえて解説
https://www.copyki-gmen.com/ink/30
【①キヤノン×リサイクルアシスト】純正メーカーのキヤノン勝訴(2007年最高裁)
【②エプソン×エコリカ】互換メーカーのエコリカ勝訴(2007年最高裁)
争点は特許侵害から独禁法へ

インク互換品、使用不可の設計「違法」 ブラザーに賠償命令
https://www.asahi.com/articles/ASP9Z74PGP9ZUTIL03K.html
互換品のカートリッジを販売するエレコム(大阪市)などがブラザー工業(名古屋市)に対して裁判して勝訴

知的財産権と独占禁止法-リコー情報記憶装置事件-
https://hikari-law.com/j/column/8195
特許権者による特権侵害に基づく主張という外形上は明確な権利行使である事例であっても、それが取引妨害にあたり独占禁止法に抵触するような場合は、権利濫用となり得る

スマホ修理店選びのポイント!「総務省登録修理業者」とは?
https://www.inc-mobaripe.com/スマホ修理店選びのポイント!「総務省登録修理/
正規店以外が技適基準に外れた修理を行うと、そのスマホは「改造」とみなされ、技適マークは失効となる

競争ルールの検証に関するWG(第25回)ー総務省ー
https://www.soumu.go.jp/main_content/000800161.pdf
P.8
日本では、そもそも個人が端末を修理したら、技適に抵触する可能性があるので、現行法では無理だと思うんですね。修理できる権利とも関係するのですが、海外では、スマホは自分で修理できて、日本だけができないという事態になりかねないと思います。

登録修理業者制度
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/repairer/
申請方法など

バッテリーのユーザー交換義務化? 「修理する権利」と現実の課題
https://www.watch.impress.co.jp/docs/series/nishida/1513163.html
日本では技適の関係で難しい

電子機器を修理する権利 ~スマホ・ゲーム機・電動車いす~
https://www.valueup-jp.com/2024/03/05/column-vol-l71/
「修理する権利」は日本の独占禁止法との親和性がある

IT機器修理の専門家だから言える「修理する権利」のユーザーへの影響
https://mbp-japan.com/saga/pc-pro/column/5139865/
メリットデメリットなど
修理する権利を行使することで、保証の制約を受けるリスクが存在
自動車業界は様々な税金や保険、業界団体などが絡み合って巨大な利権構造になって修理という産業が成り立つが他業界(家電等)では修理だけでは産業として成り立たない

EU修理促進指令案の概要 ~「修理する権利」に関するEUの新たなルール提案
https://www.icr.co.jp/newsletter/wtr409-20230427-ksuzuki.html
米国における「いじる自由」のようなかたちで、個人が自ら修理する権利を日本で導入する場合には、技適の制度を見直すことも検討する必要がある

修理する権利: 米国における最近の動向
https://www.wipo.int/wipo_magazine/ja/2023/03/article_0005.html
修理する権利とは、消費者が合法的に購入した製品を、メーカーやメーカー公認の修理業者に修理を依頼するのではなく、直接自分で修理するか、あるいは自分が選んだ修理業者に依頼して修理する権利を持つべきだという考え方です。
知的財産権の侵害×業界の独占
修理行為は知的財産権を侵害しない

日本のメーカーが知るべき米国「修理する権利」とアフターマーケット修理制限のリスク
https://www.businesslawyers.jp/articles/1066
製品内の部品・部分を糊づけあるいは溶接するなど、物理的な制限
部品やマニュアル、修理にあたっての障害診断ソフトウェアやツールの入手制限
第三者による修理の安全性を担保させないようなデザイン(たとえば物理的に同じ寸法だが内部の化学構成が異なるリチウムイオン電池では作動しないようにするなど)
テレマティック(移動体通信システムを利用した修理推進システム)を利用し、消費者を製造元修理ネットワークに誘導すること
テレマティックで収集した情報の共有制限
特許権や商標の不当な利用
非OEM部品や独立系修理サービスの評判を毀損するような言動
不当なソフトウェア・ロック、デジタル権主張と管理、自動VIN(自動車登録番号)付与などの技術的な保護策
制限的なエンドユーザー使用許諾契約

メーカー側が許可していない者による修理不備の賠償責任を負わないことや、消費者が修理不備から守られることを保証するなど、適切な保護措置が講じられる必要がある

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