見出し画像

自分のまちと かかわり始める

昨年あたりから、自宅の徒歩圏で地域に根ざして何かを始めている人やお店に興味を持ち、足を運ぶようになった。きっかけは「旅先でお茶しようとするとGoogleMAPでお店を検索しまくるのに、自分のまちだと問答無用でスタバに行きたがる自分」を自覚したからだった。
スタバに限らず全国チェーンのコーヒーショップは大好きだが、旅先だとあまり選ばない。せっかくだからここにしかないステキな場所に行きたいと、スマホで調べお店を決める。ある時、はっとした。それは自分のまちであっても同じなのでは?旅先でステキな場所を探すと見つかるように、自分のまちだって探せばステキな場所があるのではないか。
ちょうどコロナが5類となり、人と人とが交流し合う世界が日常に戻ってきた頃だった。

ステップ1:自分が外食するときやカフェで一休みしたいとき、GoogleMAPで検索する
普段無意識に選ぶ飲食店は、恐ろしく固定化されている。お腹が空くと頭に浮かぶいくつかのお店候補のうち、チェーン店の割合も大きい。
まずは一手間、スマホでGoogleMAPを立ち上げ検索するよう行動を変えた。そう、旅先でやっていることを日常でもやるようにしたのだ。
するとどうだろう。少し歩いた路地裏などに、オシャレカフェやこだわりのパン屋、純喫茶など、次々と「ステキな場所」が見つかっていくではないか。
それらのお店めがけていつも通らない道を歩くとまた、気になるお店が目に入ってくる。
これはまさしく「たんけんぼくのまち」状態!
このまちに住み始め15年以上経ち、知ったつもりになっていたが、全く解像度が低かったと認めざるを得なかった。
そうした個人店をインスタでフォローしたり時々顔を出したりしているうちに少しずつ覚えてもらえ、ちょっとした会話ができる関係性に発展してきた。そういうのは面倒な気がしていたが、二言三言レジで言葉を交わした後は自然と笑顔の自分がいる。アフターコロナの今だから、余計心が弾むのかもしれない。

ステップ2:まちのイベントに参加してみる
個人店やまちの観光推進団体のインスタで、時々イベント開催のお知らせがあがってくる。気になる催しに、勇気を出して申込みするようにした。
日本酒造り体験、ヨガ、個人店の周年祭、トークイベントなどジャンル絞らず参加してみると、老若男女幅広い参加メンバーがおり、そうしたイベントでいつも顔を合わせる常連メンバーもおり、イベントを通じその場その場の出会いと交流を満喫できるとわかってきた。
思えば子どもが小さい頃は、子どもと楽しめる地域のイベントに行っていた。その時は子どもが主役で子どもが楽しんでいるかが最優先で、保護者として周りに迷惑をかけないよう気をつかい、「家に着くまでが遠足です」の言葉通りイベント終了後も無事子らを自宅に連れ帰るまで気を抜けなかった。イベント中も帰途の運転に備え自身の体力集中力を残すよう配分するなど、責務を負いながらの参加だったと振り返って思う。今、子連れでなく一人、または友人や夫とこうしたイベントに参加すると、のびのびとその場その場で楽しむことに没頭できる身軽さがまた、幸福感をいや増すのだった。

ステップ3:少しだけ、主催側になってみる(今ココ)
ステップ1とステップ2では、あくまでお客さんの立場だった。
客の立場で個人店のオーナーたちと時々話すと、まちのためにと奮闘し尽力している様にいつも心を打たれる。応援したいし、少しでもお役に立てることがあれば申し出たいとも思うようになった。
市開催イベントのボランティアスタッフに応募してみようか。昨秋、ふとひらめいた。
わたしのまちでは毎年秋、芸術祭やブックマーケットといった大きめのイベントがいくつかあり、ボランティアスタッフを募集していると、これまたインスタで知って詳細を調べてみた。
ところがこれがなかなか、今のわたしにはハードルが高い。
平日夜に定例打合せ、土日の午後まるっと会場設営など、単発参加も可とは言え、平日ワンオペで同居人に受験生を抱え食べ盛りの息子2人の食事担当をしている会社員にはなかなかのスケジュールである。おまけに今のわたしは運転をしないので、会場まで寒風吹きすさぶ中チャリをかっ飛ばすことになる。雨の日はどうしよう。なかなかである。
こうした葛藤と脳内会議の結果、
・徒歩圏でできることをやる
・夜はよっぽど、出掛けない
・健康第一、無理しない
の三原則を方針に掲げた(大げさ)。
そんな中、まちにシェア型書店ができるというニュースが耳に入った。
シェア型書店とは本棚の一つ一つにオーナーがいて、その各オーナーが自分の棚に選書した本を置いて売る、というのが基本スタイルの本屋さんである。店の一角にそのようなシェア型本棚を設ける一般書店もあるらしい。本の委託ボックスのようなものだが、自分の所有する本を中古として売る他、自作本の販売、本は売らず読む専用とし感想書き込み用ノートと一緒に置いておくなどの活用事例がある。本の売り上げで収益を得るというより、自分の棚を窓口や看板のように捉え、地域住人や他の棚オーナーとゆったり交流を愉しむ主旨のしくみだと理解している。
神奈川や大阪といった大都会にシェア型書店というものがあると、知ってはいた。
知ってはいたが我がまちくんだりに登場するのは10年後くらいだろうというのが個人的な試算で、まさかこんなに早くできるとは嬉しすぎる誤算である。
喜び勇んで昨年末に店舗を訪れ、申し込んだ。今月から棚主として活動を始めている。
わたしのまちのシェア型書店はもう、その書店立ち上げストーリーといい管理人さんの魅力といい、すんばらしい!自慢したい!!の気持ちで満杯だが、それは別の機会にするとしてここで書くのは我慢する。
とにかく本棚の中にわたしの棚が設けられ、一つの棚という店舗規模の、小さな本屋さんをわたしは営み始めた。いきなり何かのお店を始めるのは難しくても、棚の一枠を自分の店舗とする規模ならばやっていけそうだ。
わたしが申し込んだシェア型書店では、月に一度、棚主がシェア型書店の店番をする。
店番である!なんだかワクワクするではないか。店番デビューは来週の予定だ。店番も毎日となるとハードだが、徒歩圏の場所で月一4時間なら無理はない。
シェア型書店の枠組みに乗っかり自分の棚というスペースを間借りし、ミニマムな空間の店舗運営と月に一度店番をする。単なる客の立場から、本当にちょびっっっっっとだけ、サービス提供側になる。こんな一歩が、今のわたしにちょうどよい。

最初に「自分のまちでもGoogleMAPで検索しよう」と思い立ってここまで数年。会社の仕事であれば遅すぎる、考えられないスピード感だ。けれど、地域と関係を築いていくのと会社の仕事は違う。
焦らない焦らない、落ち着いて、ゆっくりやろう。
そう自分に言い聞かせている。

いいなと思ったら応援しよう!