質問に答える:依頼主は満足し自分は無理しない、を両立する仕事の進め方
質問:仕事を時間内に終わらせるコツはありますか?
うるかの回答:
「仕事を」「時間内に終わらせる」というのは一般的に
「依頼主のオーダー通りの成果を」
「依頼主の提示する期限までに納める」
ことを指すと思います。
私はそこのとらえ方が違っていて、
「依頼主の満足または納得いく成果を」
「自分が残業せずに納める」
ことが「仕事を時間内に終わらせる」ことだと思っています。
依頼主の最初のオーダーと異なる成果物を納めたり、依頼主と最初に合意した期日から遅れて納品したとしても、依頼主が満足または納得していればよい、という考え方です。
会社員の事例として、上司から「この3年分の過去データ、明後日の定例会議までに項目ごとにグラフにしておいて」という指示を受けた場合を例にお話します。
まずは、そのグラフたちをどういった目的で使うのか、出来上がりのイメージ(円グラフ、折れ線グラフなど含め)を最初に確認しておきます。
上司のオーダー通りにすればいいなと思える場合はその通りにやるだけですが、手持ちの仕事がかさんで明後日には間に合いそうにない場合というのも当然あります。
そんな時、どうするか。
私にとって「自分が残業して終わらせる」のは最終手段で、よっぽど緊急の場合以外、月当たり残業はゼロにするよう調整しています。
残業しない限り上司のオーダーは間に合わない、と見積もった段階で上司、つまり今回の依頼主に相談です。
「実は今○○の対応を進めていて、そちらの方が緊急度が高いと感じる。データ整理はその対応後にやる、明後日の定例会ではなくその次の週の定例会議で使うよう議題のエントリーを遅らせることはできないか」
「類似データを以前まとめたことがある。それを今回流用できないか」
「グラフにする項目を3つに絞ってはダメか」
などなど、納期を遅らせる、アウトプットの簡略化、量を減らすといった、あらゆる角度の提案をします。
そして合意した内容で業務を進めます。
仕事をしていると次々と色々なオーダーがやってきますが、そのたびに緊急度や重要度をはかって優先順をつけ、その優先順でいいか上司と合意して、依頼主と納期や成果物の内容を調整していきます。本当に重要な緊急事態発生時には手持ちの全業務を押しのける調整をし、最優先でそのオーダーに全力投球します。
期日を遅らせて欲しいと調整する際は依頼元に、「言い訳でしかないが、こんなに大変なトラブルが起きてしまい間に合わなくなった、申し訳ない」と、可能な範囲で理由を伝えます。それも誠意と思っています。依頼元が納得する、という部分を重視しています。
依頼主が満足または納得し、自分も残業しない、無理しない。
これを貫いた結果、重要だが緊急度の低い、自分が進めたい企画などは計画通りに進まないことも多々あります。それはもう、あきらめています。残業して進めることはできるでしょうが、私の場合は残業すると決めた時点で生産性が著しく低下し、心身ともに少しずつ健やかさを欠いていく上、完全回復まで時間がかかると自覚していますので、残業してまでやらない、を選択をしています。潔く「できませんでした」と報告します。
原則残業しないと決めているのは、私なりに色々な理由や思いがありますが、今回は割愛します。
ただ、全てにおいて「努力するけど無理しない」が私のポリシーであり、会社員の仕事においては残業するイコール無理すること、だから残業せずに最良の成果を出す努力をしている、ということはお伝えしたいと思います。
こうやって、期日を遅らせる交渉をしたりアウトプットの変更を提案したりする際に、相手から「うるかさんが頑張ってもできないと言っているんだから、よっぽどの状態なんだろう」「確かにうるかさんの提案してきたアウトプットでも、目的を果たすから問題ないな」とすんなり思ってもらえるよう、普段から誠意あふれる対応を積み重ね、信頼してもらうことが、何より大事なベースだと思います。
つまり、仕事の大小にかかわらず、勤務態度やコミュニケーション含め、常に「依頼主の満足または納得」を意識するということです。
依頼主の依頼通りの、可能なら期待以上の成果を日々納める。期待に沿えない場合は誠心誠意を持って説明し、調整し、納得感のあるクロージングとする。
あらゆる人から信頼を勝ち得ている状況を意識的に作ること。それが結果的に、何より自分を助けてくれます。
いつも仕事がチンタラ遅いとか、ミスばかり、といった印象を持たれてしまうと、期限を遅らせて欲しいと頼んだところで
「いやいや、そんな甘えたこと言ってないで、頑張ってやってくれよ」
「残業すればできるっしょ」
と思われてしまいます。
そう思われた時点で、「依頼主の満足または納得」を獲得できていません。
仕事だって人間関係だとよく言われますが、本当にそうだな、と私も思っています。