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【連詩】水たまり
この節I kill.a.k.a 夢幻花さんhttps://note.com/i_kill_4989/portal と連詩という形でコラボする事になりました!タイトルは「水たまり」です よろしくお願いします
美術の授業の為にエンピツをカッターで削っている。少し難しくて、削るにはそれなりの力が必要だ。必死に何回も削るとエンピツの先は尖っていって、木の匂いと鉄っぽい匂いとが充満する。僕はもう何も考えずに、芯が折れるまで、エンピツを削り続けた。
君と会った日は大雨の夜だった。下校中に通りかかった公園で、大雨の中何故か君はブランコに座っていた。君に近づくと、君は愛嬌に塗り潰された作り笑顔をして、しただけで、そのまま雨に打たれていた。その佇まいはあまりにも消えていってしまいそうで、利口に背筋を伸ばして手を膝に乗せて、長い睫毛の、誰彼構わず吸い込んでいってしまいそうな憂いを帯びた眼でまっすぐ前を見ていた。何故か僕も側のベンチに座って、同じように雨に打たれた。
夜は更け、雨が少し落ち着いてくると彼女は滑り台やらジャングルジムやらで遊び始めた。街灯が近くにひとつあるだけの黒く冷たい世界でそれはそれは楽しそうにはしゃいでいて、気づいたら僕も微笑ましい気持ちになっていた、が、あまりにも微笑ましい気持ちになり過ぎていたのが悪かったんだ。雨が小雨程度になってもまだ君は遊具で遊んでいたから、僕は立ち去ろうとベンチから立った。その次の瞬間、彼女が僕の方へ走ってきて、ポケットからカッターを手渡し、腕の裾を捲って、叫んだ。
「切っtttttttttttttttttttttttsxiju!,!?!!!!!!!??hgx/le
君がいなくなって、まだかすかに揺れているブランコの下の水たまりが赤く見えたのは、何かの見間違いなんだろう。