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天峰秀ソロ曲から聞き始めるkawaii future bassの世界

「GO NEXT」はkawaii future bassである

※この記事を書いたのは2022年8月下旬。2022年12月のSideMサブスク解禁に伴ったリンク追加などもしているが、記事内の基本的な情報は執筆当時のものとなっている。

アイドルマスターSideMに登場するアイドルの1人・天峰秀(CV伊瀬結陸)のソロ曲「GO NEXT」は2022年7月20日、に発売された「THE IDOLM@STER SideM 49 ELEMENTS 01 C.FIRST」に収録されている。

この曲は天峰秀らしいポジティブさに爽やかさ、そしてDTMerである彼のパーソナリティを反映するかの如きダンスミュージックとなっている。
そしてこの曲は、ジャンルとしては恐らく「kawaii future bass」と呼ばれる音楽ジャンルに該当する。

2022/12/06追記:SideM楽曲のサブスク解禁に伴い「GO NEXT」のYouTube Musicリンクを追加。Off Vocal単体でもゴリッッッッッッッゴリのkawaii furture bassなので聞いてみて欲しい。

future bassと呼ばれる音楽ジャンルとそこから派生した音楽ジャンル・kawaii future bassとの概要と音楽的特徴については以下の記事が詳しい。

kawaii future bassはサブカル要素が強く、主にSoundCloudやYouTube、ニコニコ動画といったネット上で活動する若いトラックメイカーにより製作・発信されている。
キラキラした電子音の伴奏に可愛らしい声の女性ボーカルが起用されることが多いためか、二次元の女の子のイメージがジャケットや動画のサムネイルに使用されることも数多く(You Tubeで「kawaii future bass」で検索するとずらっと二次元美少女のサムネが並ぶ)、若手DTMerでゲーマーでアニメ好きである天峰秀のイメージとこれ以上ないほど相性の良い音楽ジャンルと言える。

私は日頃姫野かのんと眉見鋭心のPをやっているのだが、kawaii future bassが好きで色々聞いたりもしている。
そのため「GO NEXT」を聞いて「この曲はkawaii  future bassである」と気付いた時に物凄い衝撃を受けた。SideMがここまでがっつりとしたkawaii future bassをやるようになったのか、それも天峰秀のソロ曲という分かる人さえ分かればいいような音楽的文脈で、と。

「GO NEXT」の音楽的な仕掛けは同時に発売された秋山隼人のソロ曲「HEAT BEAT “Identity”」の曲調が10年代後半〜20年代邦ロックのそれであったのとかなり近しいことをやっているのだが、いかんせんkawaii  future bassを含むダンスミュージックの各ジャンルは音楽ジャンルとしては邦ロックより一般知名度が低いと言わざるを得ない。(ぶっちゃけ私もダンスミュージックの各ジャンルをあまり聞き分けできてない)

少しでも分かってもらいたい、「GO NEXT」の音楽的文脈を、何故この曲調になったのかを、せめて天峰Pには伝えたい……!

というわけで、ここからは「GO NEXT」のイメージから連想される天峰秀の好きそうな楽曲を紹介していきたい。
ジャンルとしてはkawaii future bassを含めたダンスミュージックを中心としていく。
そして天峰秀が好きそうと言いつつ、ここから先は基本的に私個人の見解と趣味の世界である。「アイドルになる前の天峰秀がディスプレイ越しに見ていた世界を連想することが出来る」くらいのふわふわした基準で選んでいる。
You Tubeや音楽系サブスクリプションサービスで聞ける曲を選んでいるので、SideMのサブスクが始まった時にでも是非聞いてみて欲しい。
そしてkawaii  future bassの世界に触れて、何故「天峰秀」というアイドルのソロがkawaii  future bassになったのかを少しでも感じてみてほしい。

※以下、掲載しているリンクはYouTubeもしくはYouTube Musicから。
YouTube Musicは一応音楽サブスクだがYouTubeプレミアム会員になると自動的に会員になれる。

Snail's House - Pixel Galaxy

kawaii future bassの提唱者としてよく名前を挙げられるのはSnail's House(Ujico*)氏だ。
Snail's House氏はSoundCloudやYou Tubeでの音楽活動から人気となったトラックメイカーである。

代表曲「Pixel galaxy」は80〜90年代前半のゲームのいわゆるピコピコ音をメインに作成されている。聞けば分かる通り、主旋律は「星のカービィ」のテーマのアレンジである。MVにもはっきりとカービィちゃんの姿がある。
Snail's House氏の他の楽曲にもゲーム音声のような効果音はよく使われている他、生楽器に近い音などの「GO NEXT」に用いられている要素も多く用いていることから、「GO NEXT」の音楽的元ネタはSnail's House氏の楽曲ではないかと私は考えている。
Snail's House氏がkawaii  future bassを提唱し始めた2010年代半ば頃、氏はまだ未成年であった。若くして新たな音楽ジャンルを根付かせ、今なお続くその影響の根強さを考えれば、音楽で世界を変えようとしている天峰秀のソロ曲の元ネタがSnail's House氏となるのも納得と言えよう。

Snail's House氏は精力的に楽曲制作を行っており、その多くをYouTubeの公式チャンネルやSoundCloudで無料で聞くことができるので是非聞いてみて欲しい。知っていると心が少し豊かになるアーティストの一人だと思う。

good night baby(feat. Moe shop) - 犬吠埼紫杏(CV長谷川玲奈)/電音部

アイマスシリーズと同じくバンナム産のコンテンツということでご存知の方も多いかもしれない、電音部。アソビストアで買い物をするとチラシが入っているあのコンテンツだ。
電音部は「楽曲を原作としたメディアプロジェクト」であり、多くのトラックメイカーによる作家性の高い楽曲の提供が行われている。
電音部の楽曲は基本的にキャラクターが歌唱するいわゆるキャラソンなのであるが、そのほとんど全てがダンスミュージックという大きな特徴がある。
若干乱暴な言い方をすると、「ヒプノシスマイク」の女子高生・ダンスミュージック版みたいなことをやっているのが電音部だ。チームがエリア単位で分かれているのも似ている。
ちなみに電音部のエリアはアキバ・ハラジュク・アザブ・シブヤとなっており、今後新たにカブキエリアが追加されることが発表されている。

自分でも作るくらいにはダンスミュージックが好きでなおかつ隠さないオタクである天峰秀が電音部をチェックしていない理由があるだろうか、いやない。

というわけでその電音部からチョイスしたこちらの曲は、思春期でSNS世代の少女が抱える孤独感が、キラキラしながらも尖ったサウンドと共に歌い上げられている。この曲のオフボーカルバージョンが一時期公式HPのBGMに使用されていたことも相まって、特に人気の高い一曲だ。あと歌っている紫杏ちゃんは私の推しなので。

IAM(feat. Shogo &Tsubasa) - 黒鉄たま(CV:秋奈)、白金煌(CV:小宮有紗)、灰島銀華(CV:澁谷梓希)/電音部

電音部からもう一曲。
こちらはサイステ版のC.FIRST曲「Don't U Worry」を作曲した早川博隆氏が製作に参加している。
Don't U Worryが好きな人はこの曲も好きだと思うので紹介する。
そして関係ないが私は舞台でDon't U Worryを最初に聞いてからずっと「クラファと電音部にコラボしてほしい」と思い続けている。

この曲を一言で言うと「強い女の曲」である。ジャケットからして強そう。女子キャラ中心で男性人気の高いコンテンツでこの系統の絵柄が採用されるのはかなり珍しいと思う。
そしてジャケットの印象を裏切らないバキバキの攻撃的サウンドと歌詞が最高。

ちなみに電音部、アイドルマスターSideMが18日に出演するイナズマロックフェスに、同日18日の風神ステージにアキバエリア・アザブエリアの2チームが出演する。
雷神ステージのSideMの出番は13:55~、風神ステージの電音部は16:50~からなので出番が近すぎず遠すぎずでちょうどいい感じだ。やったぜ。

IAMはアザブエリアの持ち歌の中でも特にフェス向き(5月のバンナムフェスに出るにあたってフェスで映える曲として作った、と公式生放送で暴露されていた)の曲なので、イナズマロックフェス参戦予定のプロデューサーにおかれては是非聞いてみてほしい曲である。

せっかくなので紹介すると、イナズマロックフェスに出演するもう1チームであるアキバエリアが歌う確率高そうなのはこちらの「pop enemy」である。
この曲は電音部の単独イベントでも確実に盛り上がる必殺ナンバーの地位を確立しており、先のバンナムフェスでも披露された。


インドア系ならトラックメイカー(feat.nicamoq) - Yunomi & nicamoq

Yunomi氏はkawaii  future bassの代表格としてよく名前を挙げられるDJ・トラックメイカーである。
この曲が収録されているアルバム「ゆのもきゅ」は、Yunomi氏の作り出す楽曲の可愛らしくもどこか毒のある世界観とボーカルのnicamoq氏の可愛らしい歌声のマリアージュを存分に堪能できるアルバムである。
今回はその中でも特に人気の曲を挙げてみたが、曲名からも分かる通りトラックメイカーの曲である。韻を踏んだ歌詞とリズム感が癖になる。天峰秀も好きそう。好きなはずだ。この曲を口ずさみながら宿題とかやってて欲しい。
また、Yunomi氏は自身の楽曲の公式MIX動画を自身の公式YoutTubeチャンネルに掲載しているのでこちらも是非聞いてみて欲しい。

さよならアンドロメダ - 渋谷凛(CV:福原綾香) 、森久保乃々(CV:高橋花林)、大和亜紀(CV:村中知)

せっかくなのでシンデレラガールズからもkawaii 系ダンスミュージック文脈に合わせてこちらを紹介したい。
この曲を作成したTAKU INOUE氏は元BNSI所属のDJ・作曲家である。現在は様々なアーティストへの楽曲提供や自身もアーティストとして楽曲のリリースを行うなど精力的に活動している。この人は765AS・シンデレラガールズで多くの曲に参加しているがどの曲も人気が高い。
作編曲家としては特にダンスミュージックを得意としており、キャッチーでありながらお洒落、そしてとにかくライブで映える曲が多いのが特徴と言える。
「さよならアンドロメダ」はダンスミュージックと言うよりバラードに近い緩やかなテンポの曲であるが、宇宙を思わせる電子音の伴奏と切ないメロディ・歌詞の融合が趣深い。
こちらもシンデレラガールズ楽曲がサブスク解禁されたらサブスクで聞けるようになると思われるので是非聞いて欲しい(現在はiTunes storeやレコチョクなどの音楽配信サービスで購入可能)。
でも正直Radio Happyとどっち挙げるか悩んだ。どっちも挙げるか。

Hotel Moonsideもいいぞ。

Gravity - KOTONOHOUSE

KOTONOHOUSE氏のアルバム「Synchronicity」に収録のこちらの一曲。
切なくてかっこいい、そしてエモい。
KOTONOHOUSE氏は可愛い・格好いい・エモいも全て自在に繰り出すことの出来るトラックメイカーであり、このアルバムにはKOTONOHOUSE氏の良さがぎゅうぎゅうに詰まっている。
アルバムに収録されている各曲ではそれぞれ異なるボーカルを迎えているが、この曲ではボーカロイド・初音ミクを起用している。
天峰のようなオタクの高校生が自分で音楽をやってしかもそれをネットに公開していれば間違いなくボカロは通っている筈で、しかもその存在はインターネットデビューした頃からごく当たり前という世代なのだからそれはちょっとかなり羨ましい気がする。なのでボカロ枠として私が特に好きなところからこちらを選んだ。

他にもボカロ枠のkawaii系としては雨漏りPの「スターライト」もおすすめ。
雨漏りP本人が「future pop」と言うようにポップス色の強い曲だがダンスミュージック要素もあり聞いているだけで心浮きたつような可愛らしい曲となっている。

今回はkawaii future bassを発端としてkawaii系ダンスミュージックを中心として紹介しているが、00年代後半以降のインターネット音楽シーンを牽引する柱の一つは間違いなくボーカロイドである。
天峰秀が好きそうなボカロ曲の記事とかも求められているのかもしれないが、私はボカロにはそこまで詳しくないので誰か書いて欲しい。

new world - Kizuna AI(キズナアイ)

Kizuna AI氏と言えばVTuberという概念を世間に定着させたVTuberのパイオニアである。VTuberに明るくない私でも顔と名前が一致しているくらいには超有名人である。
kawaii future bassは電子音楽であること・可愛らしい音作りが特徴であることからか、VTuberと非常に相性がいいジャンルである。kawaii future bassの流れでトラックメイカー経由で曲を色々探していたら歌っている人がVTuberだった、ということがままある。
なのでVTuber枠も兼ねてこちらの曲を紹介したい。
この曲の作詞作曲は先に紹介したYunomi氏が担当しており、Yunomi氏の世界観とKizuna AI氏の世界観が見事に融合している。この曲が良かったのでKizuna AI氏の曲を一通り聞いてみたが、著名なトラックメイカーが楽曲提供していることもあっていずれもとても良かった。
kawaii future bassというジャンルにハマったらKizuna AI氏の曲を聞いてみるのもおすすめである。

VTuber枠で言うとYunomi氏製作の楽曲という繋がりで周防パトラ氏の「イミグレーション」も良い。曲もMVの雰囲気も良い。

SPOOKY GLITCH NIGHT - YUC'e

YUC'e氏もkawaii future bassの代表格としてよく名前の挙がるトラックメイカーであるが、氏の特徴は「自分で作って自分で歌っている」点にある。
YUC'e氏自身の甘く可愛らしい声によく合うアッパーでノリの良い曲が多く、聞いているとついリズムに乗って体を揺らしてしまう。
この曲はYUC’e氏らしいノリの良いダンスミュージックに少しのダークな要素をにじませており、どことなくハロウィン感がある。

また、Snail's House氏との共作である「Cosmic Air Ride」は両氏の持ち味であるノリの良さとポップさが存分に発揮されており、聞いているだけで楽しくなる。

IDOL - HoneyComeBear

こちらのHoneyComeBearは東京を拠点に活動する音楽ユニットである。ポップでありながらエモいメロディと歌詞が特徴だ。
楽曲はポップスでありつつダンスミュージック要素を強く取り入れており、kawaii future bass的な楽曲も多い。
どの曲も紹介したいのだが、「アイドルを見るファンの視点」を歌った曲なのでこの曲をまず選んでみた。
ネット上で楽曲を発表していたとは言え一般人としてこの曲を聞いていた(かもしれない)、そしてアイドルとしてデビューしてしばらくした頃にふとこの曲をプレーヤーから選んで聞いている天峰秀のことを考えた時に私は「顕」を感じた。

「Mirror」も良い。

KEY to the DREAM - ピエール(CV堀江瞬)

記事公開4日前に試聴解禁されたピエールの新ソロもkawaii future bassと言って差し支えなかったのでここに載せる。

※2022年12月6日追記:「KEY to the DREAM」のYouTube Musicリンクを追加。

メロディはポップスで音の構成がめちゃめちゃkawaii future bass。ピエールのボイスをサンプリングして使ってたりとか。
何故ピエールのソロにkawaii future bassが採用されたのか考えてみると、kawaii future bassの特徴である「キラキラした音」「音の数が多い」といった要素が、ピエールのソロに求められているであろう「多幸感」に上手くハマったのではないかと思う。
ピエールの最初のソロである「魔法のステアー」の編曲はバンド・オーケストラ編成で音数が多く、おとぎ話や夢の国を彷彿とさせる楽曲となっていた。ピエールの2つのソロ曲に音楽的共通点は薄いものの、いずれも「聞き手に多幸感を与える」という点ではやはりピエールが歌うに相応しい曲であろう。
個人的にはSideMの音楽ジャンルの手札にkawaii future bassが加わっているのがこれで確実になったのがとても嬉しい。
SideMは今年で8周年を迎えたが、まだまだ新しい音楽ジャンルや新しい作家を取り込んで音楽的な深みを出していけるのだろうし、進化していくSideMの音楽を今後も聞いていけるのがとても楽しみだ。

最後に

kawaii future bassは2010年代半ばに生まれて以降、現在でも強い影響力を持つジャンルである。
私がkawaii future bassに出会ったのは電音部がきっかけだ。電音部の曲にハマり、せっかくだからと楽曲提供しているトラックメイカーの曲を音楽系サブスクで探して色々聞いているうちにすっかりハマってしまっていた。
音楽を探すときにサブスクは非常に便利なものである。
例えばAppleMusicには好きな曲から「ステーション」という勝手にプレイリスト的なラジオを作ってくれる機能があるし、You Tube Musicだと自動再生で「その曲に関係ありそうな曲」「その曲を好きな人が好きそうな曲」をAIが勝手に見付けて永遠に流してくれる。
私もサブスクに入ってなければ今回紹介したような曲と出会うことはまずなかっただろうと思う。そしてここでは紹介しきれなかった曲とも沢山出会うことができた。サブスクだけでは飽き足らず好きなトラックメイカーのSoundCloudまでアクセスしてサブスクサービスに置いていない曲を聞きに行くこともある。

もしかしたら、SideM楽曲のサブスク解禁を機にSideM楽曲と思いがけない出会いをしてそこから世界を広げる人もいるのかもしれない。そう思うとわくわくする。
既にサブスクに入っている人は勿論、SideMのサブスク解禁を期にサブスクに入る人も、この記事をきっかけに、天峰秀が自室のPCのディスプレイ越しに見ていたかもしれない世界を感じてもらえれば幸いである。

おまけ

めちゃめちゃ曲紹介したかったけど「有名すぎる」「流れの都合」「文章量」などの様々な理由で紹介しきれなかった主なトラックメイカーやアーティスト等一覧(敬称略)

  • 八王子P

  • 中田ヤスタカ

  • CY8ER

  • ミフメイ

  • TORIENA 

  • Kirara Magic

  • 中村さんそ

  • KMNZ


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