【ジャニーズ会見「NGリスト」騒動】あらためてNHKのカメラはすごいって話
ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所が今月2日に記者会見を開いた。しかし、この会見では、記者の質問を制限する「NGリスト」が存在していたことが発覚し、大きな批判を浴びている。
「NGリスト」とは、会見で質問を当てないようにする記者やフリージャーナリストの名前や写真が載っているリストのことである。このリストには、性加害問題を積極的に追及する記者や、ジャニーズ事務所に批判的な姿勢をとっている記者の名前が含まれていた。ジャニーズ事務所は、リストの存在を認めたものの、作成には関与せず、会見運営にリストの影響はなかったと釈明している。
今回の「NGリスト」騒動は、ジャニーズ事務所の体質を象徴する出来事とみられている。ジャニーズ事務所は、これまでメディアに対して強圧的な姿勢をとってきており、今回の騒動は、その体質が社名変更後も変わっていないのではないかと疑われる騒ぎとなっている。
で、
この「NGリスト」の存在をスクープしたのはNHK。
会見から2日後の2023年10月4日の「ニュース7」のトップニュースとして報じた。ニュース7といえばNHKで最も視聴率が高い看板報道番組。だからこそ、時に政権への忖度が疑われたり批判もされやすいのだが、今回は大手芸能事務所に忖度もせずに掴んだネタをトップニュースで報じる肝の座りっぷりで、NHKはジャニーズ性加害問題では視聴者に信頼感を見せた。
ではNHKはどうやって「NGリスト」をスクープしたのか?
NHKの記事では「関係者への取材でわかりました」「NHKが会見場で撮影した映像にも、スタッフが少なくともあわせて6人の名前と顔写真が掲載されたリストを持っているのが写っていました」と、ソースが提示されていて、その映像も視聴者が確認できる。
しかし、こんな細かい映像を何の手がかりもなく見つけ出すことなんて出来るだろうか?
実はこのNGリストは、NHKが報じる前日から既に、会見に関わる記者やフリージャーナリストの間で、内部告発文と一緒になって怪文書として拡散されていたものだった。
ジャニーズ事務所に批判的なジャーナリストの松谷創一郎のNHK報道直後のツイート。リンク先では内部告発文の画像も読める。
ジャニーズ事務所を厳しく追及する東京新聞記者の望月衣塑子のNHK報道直後のツイート。
NHKは、事前にこの「怪文書」を入手した上で、事実を確認するために自局で撮影した会見映像を最初から隅々まで確認し、通りかかった会見場のスタッフが持つ資料にNGリストが含まれていたことを発見して、今回の一大スクープとなったのだ。NHKの映像では、文書に記された「氏名NG記者」の文字がはっきり分かる(「氏名」は「指名」の誤表記)。怪文書が怪文書でなくなった瞬間である。
これ。
よく考えればすごくない?
撮影したNHKカメラマンは別にNGリストを狙ってカメラを回していたわけではない。会見を撮影していて、たまたまNGリストを手に持ったスタッフがカメラが撮影している場所を横切り、映った映像を拡大してみたらNGリストだと分かった、という経緯だ。リストは顔写真まではっきり確認でき、モザイクをかける必要があるほど鮮明に文書の中身が映っている。
NHKはこんな謝罪会見を撮影するのにどんだけ高性能なカメラを使っていたのか。
NHKの報道後に、他の民放テレビ局も後追いで、自社カメラマンが撮影した会見映像からNGリストを持つ同じスタッフの映像を切り取って報道に使用しているが、「氏名NG記者」の文字が読み取れるものは一つもなかった。無理やり映像を拡大してボケボケになっているから顔写真にモザイクを入れる必要もないほど。
日本テレビ
テレビ朝日
TBS
フジテレビ
あらためてNHK
カメラマンの位置は、NHKも他の民放も変わらないはずなのに、鮮明さは全く違う。NHKのカメラはどんだけすごいのか。さすが放送局の数を削ってでも4Kゴリ押しな公共放送だけある。どんな場所にも最新の高性能カメラヲ持っていければ、こんな思わぬスクープが撮影できるという話。