草木染めで下地処理をする理由とは?(その2)
四季を感じながら身近な植物を使った
草木染めやモノづくりを楽しんでみませんか?
今回は、綿、麻などの植物繊維の下地処理
についての続きを。
なぜ下地処理が必要なのかについては、
前回の記事↓
今回は、
三つの下地処理のそれぞれの特徴について。
①豆汁(豆乳)、牛乳
これは、絹やウールのような動物繊維は
タンパク質でできているので、
疑似的に綿や麻にタンパク質を付ける方法。
染めるものを、豆汁(豆乳)や牛乳を
薄めた液に浸けて脱水、乾燥させる。
自分がこの方法を使う時は、
極力薬品を使いたくない場合。
例えば、赤ちゃんが使うものや、
エコラップなどの食べ物につけるものなど。
デメリットとしては、
匂いが残ったり、ムラになりやすい。
下地効果としては、やや弱い印象。
②濃染剤
染料店では、
濃染剤というものを販売している。
メーカーによって何種類かある。
基本的には、その液に植物繊維を浸すと、
陽イオンの物質を、繊維に付着させる
ことができる。
柔軟剤を使っても同じ効果らしい。
これによって、
電気的な結合で、陽イオンの反対の
陰イオンの色素がくっつきやすくなる。
とはいえ、色素は陰イオンだけではなく、
陽イオンの場合もあれば、
どちらの電荷も帯びていない場合も。
ちなみに、陽イオンの色素といえば、
赤〜紫色のアントシアニンがある。
濃染剤は、手軽な反面、汗などに反応して
変色しやすいと言われている。
ただ、自分が染色する際には、
濃染剤を使うことが多い。
薄くなったり、変色した場合には、
また上から染め重ねれば良いから。
③タンニン下地
タンニン自体が植物繊維にくっつきやすい。
そして、タンニンは金属との結びつきが
強いので、繊維に金属イオンが
くっつきやすくする。
これによって、媒染剤の手を増やして、
色素と結合しやすくする。
方法としては、
染料店で販売しているタンニン酸を使うか、
タンニンを多く含む植物を煮出して、
染色する工程を行う。
どちらを使用しても、他の下地処理よりも
手間と時間がかかる。
また、タンニンが鉄と反応しやすいので、
媒染剤で鉄を使うと、色が暗くなったり、
紫外線と反応して褐色になることがある。
どれが良いとか悪いとかではなく、
それぞれの方法で使い分けを
できるようになれば、
もっと草木染めの面白さを
感じることができるかもしれない。
草木染め製品を作っている会社では、
綿や麻と色素を結びつけるために、
布に加工を施したり、
植物染料自体に糊のようなものを
少量添加して、
繊維と色素がしっかりくっつくための
工夫をしている。
個人的には、
草木染めは環境に優しいという考え方とは
少し違っていて、科学の進歩によって、
染まりやすいように加工する技術ができて、
染液の色素を少しでも無駄にしないで
布に定着できるようになるのは、
むしろありがたい。
使わなくて良いものはなるべく使わない
という考え方は、それぞれの正義で違う。
草木染めに限らずそんなことを思う
今日この頃。