瀬戸内ほっこり時間:19回「足を延ばして御手洗の歴史地区へ」
呉市は、いくつか合併したことで、広い範囲になり、海岸線の長さでは、日本一とのこと。
音戸から1時間以上かかるのだが、同じ呉市に、重要伝統的建造物群保存地区が御手洗という場所にある。御手洗に行くには、とびしま海道という離島が並ぶエリアを橋づたいに渡り、その一番奥にある。瀬戸内海の中を走る道路を運転するのは楽しい。そして、その先に、江戸時代から大正時代に建てられた建築物が並んでいる。
音戸を含め、御手洗など、離島には昔ながらの建物が多く残っている。
これには、理由がある。
そもそも江戸時代まで、海上交通が陸路よりも主役で、九州からの参勤交代も船を利用して、大阪から東海道を歩いて向かったのだ。明治に鉄道が敷かれると本土側が主役に逆転して、離島の町は忘れられていった。結果、壊さないまま建物が残ったのだ。
ところで、御手洗では、多くの古民家の玄関に、一輪挿しが、掲げられて、何とも言えない風情がある。どこからともなく、三味線の音が聞こえてきた。
ここで宿をされている井上さんに話をうかがうと、御手洗はかつて瀬戸内海交通の要衝で、街として栄え、当時の風流な文化も残っているという。
瀬戸内海の魅力は多様である。