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呪いの黙示録が見せるのは心霊業界の終末か、明るき未来の到来か

呪いの黙示録 第三章』視聴。

様々な心霊ドキュメンタリーを手掛ける寺内康太郎監督が新たな領域へ挑戦する場としてアムモ98を選び始まった呪いの黙示録シリーズ。
第三章リリース発表時に、三作目にしてまさかの寺内監督が不在の回であることが分かり困惑が広がった。
実際、エンタメ~テレで放送していた心霊マスターテープ2を制作していた中で別に調査する時間などあったのか?と疑問に思っていたのも確かであった。

そこで白羽の矢が立ったのはウンノヨウジ監督。
黙示録シリーズはどうなってしまうのか?

結論から言えば第三章もとても楽しく視聴できた。

テラコーファンからすれば当初は、あくまで今回限りの事でありまた次作からは寺内監督が戻ってくるのであろうという考え・希望があるのみであった。
しかし、第三章を見終わった後でそこに違った欲求が浮かんできた。
「《寺内監督が担当しない呪いの黙示録》をまた観てみたい」というものだ。
それは単にウンノ回が面白かったという簡単な感想から来るものだけではないし、寺内監督のものより上だったか否かという様な比較の話でもない。

心霊マスターテープをご覧になった方はお分かりになると思うが、寺内監督の心霊業界に対する想いの強さやリスペクトはもちろんだが、それを生み出すクリエイター陣に対する愛の深さが尋常ではない。
そしてそれは、心霊ものを応援する我々ファンの視点にも繋がるために、テラコー作品を観た後は様々な感情が駆け巡る。

心霊マスターテープでは心霊ディレクターと、共に戦い続けるアシスタント勢がどのような想いをもって調査や作品作りに臨んでいるのかというものを存分に見せた。
そして呪いの黙示録もまた、心霊現象を追う中で調査スタッフが抱える苦悩や向き合い方を色濃く描いた作品である。
三作全てに登場しているのは福田監督とAD島田だけであり、二章の頃から「呪いの黙示録は島田の成長物語である」という見方が出てきた。
自身も心霊ものが好きだが現在の活動と思い描いている理想の違いに思い悩む若き島田に、寺内監督が言葉や行動をもって自分の心霊ビデオへの取り組み方や考えを伝えていく。
そのシーンに対しては「島田は自分たちファンであり、彼をフィルターとしてこちらへ言葉を投げかけているんだ」という声もあった。
その観点からすれば、今回は「寺内監督がいない」からこそ島田やファンに対して心霊ディレクターがそれぞれに考えていることを魅せていく作りとなっており、そこに寺内監督のメッセージがあったように思える。
ウンノ監督はホラー作品をいくつも手掛け、また最近ではニコ生で心霊調査を定期的に行うチャンネルを創設したりもしているが、いわゆる心霊ディレクターとしての活動歴でいえば有名作品に関わっている先人たちにはやはり及ばないと言える。
しかし今回の作中で時には乱暴に思われる自論を交えつつカメラの前で語られる"心霊"観やディレクターとしての姿勢は十分に頷けるものであり、本人の中でしっかりと独自の軸を持っていることが感じられた。
それに触れた島田や江益にはきっと大きな学びがあったであろうと思えた時に《寺内監督が担当しない呪いの黙示録》というものが実はもの凄い魅力を秘めていて、また自身が不在であるからこそ寺内監督が心霊ファンに見せたい心霊ディレクターという存在を色濃く描ける手段なのではないかと考え始めた。


想像して欲しい。
メイン軸を寺内監督が展開しつつ、時折助っ人心霊ディレクターが担当をする回が挟まって来るとしたら。
各々が自分のセンスを発揮しつつも『呪いの黙示録』を作ろうとしたらどんなものが撮れるだろう。
例えばアムモで作品に関わってきた監督陣なら現実味はないだろうか。
寺内監督が強く信用し、ほん呪時代から人気も高い岩澤監督が登場したら?
心霊パンデミックの初期を支え、現在は心霊系Youtuberとして新たな境地を拓く森澤監督なら?
現在もシリーズを抱えているから難しいかもしれないが、古賀監督に佐々木監督だってワクワクする。
外部で現在進行形で心霊作品に携わっている方たちは流石に無理かもしれないが、それに縛られない立場のクリエイターはいる。
心霊マスターテープでは諸先輩に混じり存在感を見せた若き才能、谷口監督が心霊ディレクターとして帰ってきたら?
監死カメラシリーズで寺内監督を支えた鳥居監督、小山監督、賀々監督だって居る。
あ、夏目監督はそのまま懸垂しててください。


心霊マスターテープ公開時には「心霊アベンジャーズ」という言葉が生まれた。
そこで今のMCU作品群を知ってる方は思い浮かべてみてください。
トム・ホランド演じるピーター・パーカーがスパイダーマンとして自立し強くなる過程で、ヒーローとしての在り方を教えたのはトニー・スターク/アイアンマンだけだったのだろうか?
キャプテンアメリカやソー、ハルクら他のヒーローが戦う姿やニック・フューリーも大きく影響を与えたはずだ。  
ともすればミステリオの存在だってそうかもしれない。

心霊マスターテープ2の最後に少しだけ登場した島田。
つまり彼もまた心霊アベンジャーズの一員であり、今後の活躍が期待される心霊ディレクターの卵である。
そんな彼がレジェンド戦士達の色々な考えや作品作りの姿勢に触れ続けた時、それでもなおXXXを撮りたいと思うのか、それとも「島田光の『呪いの黙示録』」が撮りたいと思うのか。

興味は沸きませんか?

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