境界カメラ ナリモト花子
先日の動画検証でナリモトに対しての疑惑を挙げましたが、筆跡や田中花子たる〈動機〉という点の考察ではかなり早めにシロ判定したナリモトに改めて矛先を向けたのは他にも疑問に思う点があったからです。
そしてナリモトに憑りついた霊(以下、ナリモト(霊)と呼称)による行動であればある程度説明がついてしまう部分が多かったからでもあります。
『田中花子』=ナリモト(霊)説(以下、ナリモト花子説と呼称)を進めるうえで重要な点なのですが、そもそも霊が憑く・霊障が起きるという事がどういった事なのか明確には分かっていません。
なのでその辺りは「こういった物ではないか?」という推測や妄想によるものですから根拠にはならないかもしれません。
まずナリモトにのみ霊障が起きている点から霊が憑く、霊障があるという状態について少し考えてみましょう。
謂われ因縁の廃墟(以下、あの廃墟)から県を跨ぐ程離れ、もうかなりの年月も経っています。
にも関わらずナリモトはそれらから解放されていません。
では距離も時間も関係なく力を振るえる程に強い霊なのでしょうか?
そんな伝説的な怨霊の様な強大な力を持っているとしたら廃墟に訪れた人間一人を呪うだけということはありえないでしょう。
関東圏の誰だって呪えそうです。
しかしそれは現実的ではありません(霊の力を語る上で現実的って・・・)、ナリモトに影響を及ぼしている霊の力や範囲には限りがあるはずです。
考えられるケースとしては
①ナリモトに憑いて霊が移動したため、ナリモトに対してであれば常に力を振るえる
②依り代となる物(呪いの人形の様な)を媒介して、それを手にしたナリモトに対して影響を及ぼせる
③ナリモトにだけチャンネル(無線の周波数の様な)が合い、ある程度の距離や時間なら影響を及ぼせるが減衰はある
ざっと思いつくのはこれらでしょうか。
①はとっても分かり易いしありそうなパターンですが、であればもっと自由に動き回っていそうだなという印象です。
②はスケッチブックや携帯を持ち帰ったテラコーに比べてナリモトはそんなどえらい物持ち帰ったの?という気がしますし、鍵となる霊を撮ったカメラに憑くといったケースでも結局はイカワ氏の元に渡ってしまう訳でこれも微妙。
③は大分ご都合感あるかもしれませんが一番しっくり来るかなと。
ナリモト以外は明確な影響を受けていない、見ていない、廃墟以外では目撃されていない等からですね。
そこから、この霊は所謂地縛霊の様な存在であり本来は想いの強い場所から離れる事ができないが、何か・誰かを媒介として一時的にその場を離れ活動が可能だとか、常に明瞭な憑依状態に有るわけではなく、また時間の経過により影響力が薄れていく等の性質をもつ可能性があったとします。
こういったのを当てはめた時に、今までほとんどの人物で説明が付かなかった「何故『田中花子』は一年もの間沈黙し続けていたのか」さらに「Chel Ix」は何故このタイミングで映像を公開したのか」という点にある程度の答えがでるのではないかと考えました。
VHSの送付以降に『田中花子』が動かなかったのは、「動けなかった」からである。
これは、ナリモトに憑きそこに開いたチャンネルによって行動をしていたが、廃墟探索から日にちが立ちすぎて本人の意思を抑えたまま操るだけの力が及ぼせなくなっていたというのは考えられそうな気がします。
自由に動ける期間は限られており、それ以降は霊にとって都合の悪い行動を起こした場合にのみ何とか遠方から影響を及ぼせる程度まで力が落ちていた。
そして1年以上も経って何故動き出したかと言えば、「チャンネルが再び強く繋がったから」ではないか。
10/31にテラコー、イカワ氏と共に廃墟を訪れたナリモトはあの夜と同じ霊を見たと言っています。
改めて接触を持った事で霊が強く影響を及ぼせるようになったと考えれば、そこから準備を始め一月後に公開というのはあり得るのではと。
決め手となる映像を持ちながら『田中花子』が動かなかった理由を〈動機〉から見つけようとしていた時には当てはまる説が出てきませんでしたが、〈手段〉の方でできなかったのだとすれば一応の説明が付くのです。
ちなみに、筆跡鑑定の考察では放送通り『田中花子』とナリモトのものは違うと話しました。
じゃぁナリモト花子説ちゃうやんと。
しかし筆跡鑑定でVHSのジャケット裏にあるキリタニのサインと、キリタニの物と思しきスケッチではサインが違うし別人なのでは?という考察に対してテラコーからもたらされた↓
という意見。
つまり、憑依状態でなら筆跡が違うと考えられるのでナリモト(霊)は『田中花子』であることは否定できなくなります。
やはりナリモト花子説いけるのでは。
さて前置きが長くなりましたが、ナリモト(霊)を疑う出来事は何だったのかという話に移りましょう。
まずナリモト花子説を成り立たせるのであれば「映像データを捨てた」という点を疑わなければなりません。
ナリモト(霊)状態だったと仮定すると
・ナリモトが映像データを捨てた後に、霊が関与した状態のナリモトが回収し本人の自覚がない。
・そもそも捨てたという記憶を霊に植え付けられただけで、所持し続けていた事を認識していないか。
といった事情になるでしょうか。
ではどうして「映像データを捨てた」のを怪しいと考え始めたのかと言えば、データを捨てた公園に向かった映像への疑問からきています。
ナリモトの案内によりテラコーは公園の奥へ奥へと連れていく。
ゴミ箱を探しているはずだが見つからないまま道がない場所まで来てしまう。
雨も強くなってきたため一旦戻ることを提案しようとカメラを動かした先にナリモトの姿がない。
離れた場所でうずくまるナリモトを見つけ近寄るテラコー。
ナリモトは苦しむ様子から一転、正気を失ったかのようにテラコーに掴みかかりその後は叫びながら駆け出してしまう。
何とか追いつくもこのままの撮影は無理だと判断し車へと戻る。
さて、調査再開直後にみたこの映像。
ナリモトが日夜霊障に悩まされているのだろうとその様子から感じとった方も多いのではないでしょうか。
しかしその後我々が放送で目にしたナリモトの生出演の様子や映像を思い返してください。
咳き込んだりと体調面での問題は時折見えましたがこの時の様に我を忘れたかのような言動はあったでしょうか?
霊障を受けるきっかけとなったあの廃墟では恐怖から少し取り乱したものの基本的には冷静に動線の確認をしたりと、公園の夜のような豹変はありませんでした。
その後島田への取材に出た際も、あの恐ろしいVHSの撮影場所を巡りまさに大量の霊が居たであろう場所へ赴いても何ともなかったのです。
むしろやる気に満ち溢れているかのようでした。
霊によって悪い影響を受けている人間が心霊スポットへ行っているのにですよ?
では何故公園の夜にだけあのように正気を失ってしまったのでしょう。
それは、データを捨てたという場所へ案内したくないというナリモトの中にいる霊による妨害行為だったのではないでしょうか?
もちろんこの点に関しては正気のナリモトが都合悪いので演技した可能性だってありますが、やはりナリモト自身には『田中花子』たる〈動機〉はないのでやはりナリモト(霊)なのではないかなと。
そして、他の場所への取材は霊にとって問題なかった。
むしろ霊が調査を再開させようとしていたと仮定するならキリタニを探そうとする行為は歓迎すべきものだったと言えるかもしれません。
そして何故データを捨てた場所を詳しく教えたくないかと言えば、ナリモトが持ち続けている可能性にたどり着く要素を少しでも減らしたかった。
今度はそこから何故『田中花子』という存在が生まれたのか?へ移りたいと思います。
本来あの廃墟での撮影によって形はどうあれ心霊獄門帳は終了する予定でした。
「VHSの謎に迫るべく調査を進めた撮影スタッフはとうとう動画に映っていると思しき廃墟を見つける。しかしその探索中にディレクターが姿を消してしまい、残されたカメラの映像には霊が映り込んでいた。」
これが筋書きでした。
ナリモトがカメラを置き去りにするのを忘れたというミスもありましたが、あまり大きな問題点ではありません。
何度かリテイクしながらあの撮影が行われたのを我々は知っていますが、どうしてもそこに拘るなら取り直せば良かったのです。
しかしそれは行われなかった、カメラだけが別の場所で発見されるのを追撮するだけでもカバーできたからです。
例えば「仕方なく車に戻ったカメラマンはその座席にディレクターが持っていたはずのカメラを見つける。」なんてのを帰りに撮れば後は同じ展開のラストです。
後は帰京して後日ナリモトの映像に加工をしそれまでの取材をまとめて編集して完成。となるはずでした。
でもナリモトは自分の撮影した映像に霊が映っていた!もうヤダ!止める!捨てる!お家から出ない!となってしまい頓挫したわけです。
200万ものお金を持ち逃げし、完成しないことで多くの人間に迷惑をかけてでもする行動でしょうか?
それほどまでの映像が残っていたのでしょうか?
いや、自分も心が強いタイプではないですから逃げたい気持ちも分かりますが、だからこそもっとちゃんと逃げないと怖いです。
例えば自分がもう関わりたくないのなら映像もその後の作業もイカワ氏に押し付けてからこもり、お金の取り分やクレジットもイカワ氏の部分大きくしていいから任せます。
未完成で放置したらイカワ氏からも有馬Pからも一杯連絡くるし、問題の映像や霊にまた関わらないといけなくなるかもしれないじゃないですか。
霊の映像が怖いのであれば、消去の上に物理的にHDD破壊してディスク部分だったりメモリーなら燃やすなりします。
なんなら捨てる前にそれごとお祓いしてもらうとか。
でも外のゴミ箱にポイってしただけです。
皆さんならそれで「ふー、もう大丈夫」ってなります?
多くの物を投げうってでも離れたかった映像に対してですよ?
そりゃぁヤバさ度MAXな呪いの人形なら燃やしたところで家帰ったらまたあったりもしますけど、映像からの逃げ方が甘い様に感じます。
そういった辺りも「ナリモトは本当に撮ってたの?」「捨てたの?」という疑惑に繋がっています。
〈動機〉を探してる考察で「獄門帳の完成」が目的の人物では『田中花子』の行動に説明が付かないと言ってきました。
さて駄々っ子ナリモトではなくナリモト(霊)の場合はどうでしょう、これもやはり「獄門帳の完成」ではないと思います。
先ほども言いましたがただ完成させるならナリモト(霊)もエルエーではなくイカワ氏に送り付ければいいのです。
むしろあのシナリオのまま完成してもらっては困るからこそエルエーに送ったのだとすれば、ナリモト(霊)が続けて欲しい調査とは何になるのでしょうか。
偽物の廃墟で誤魔化すのではなくVHSを正しく調査することでしょうか?
それもちょっと考えにくいですよね、VHSと廃墟は本来無関係だった訳ですからそこに居た霊にとって意味のあるものだったとは言えません。
となると考えられるのはあの廃墟自体の調査でしょうか。
実際、謎の人物から送られたVHSと取材データからテラコー達は廃墟へとたどり着きました。
しかし事件はそこでは終わってません。
辿り着くだけではダメで廃墟をより詳しく調査する必要があるとなればその次に見える目的は・・・霊の目的は『キリタニ』なんじゃないでしょうか?
廃墟にキリタニを呼び寄せたい。
公園でのみナリモトが豹変した下りでも書きましたが、キリタニに近づこうとする調査だけは順調にこなせてる点からもありそうです。
「キリタニに近づきたいたいならVHSの調査でいいんじゃない」に関しては、当時ナリモトですらキリタニとの関連を知らなかったのですからナリモト(霊)も知らなかったわけですし、迂遠であっても廃墟経由での調査でないとダメだったのだと思います。
ナリモト(霊)がキリタニを呼び寄せたい理由までは現時点では推測するだけの材料はありません。
それが愛憎のどういった想いによるものなのか。
しかし、成仏することもできず、古びて誰も寄り付かなくなった廃墟からも離れられない彼女(?)にとって、自分を普通の人と同じように捉え、コミュニケーションをとってくれたキリタニという男は我々の理解が及ばないほどに大きな存在なのかもしれません。
我々にとってはそこに確かにある境界線、それをあっさりと踏み越えられる男。
もしもテラコーがキリタニとコンタクトを取ることができ、彼を廃墟へ連れて行った時には一体何が起きるのでしょう。
キリタニの説得により霊はナリモトを解放し消える?
キリタニを道連れにし満足してこの世から去る?
それとももっと恐ろしい事が起きてしまうのでしょうか。
オマケ
そもそも何故ナリモトだけに霊障が起きたんでしょう。
他の人ではダメでナリモトでなければならない。
両者にチャンネルが通じる関連性。
・・・ナリモトとミゾタカナコのスケッチって結構似てませんかね?
眉や目元であったり、鼻や口の形であったり、ほうれい線であったり。
こじ付けにも程がある類似性ですかね(ノ∀`)
そもそもナリモトに憑いたのがミゾタカナコであるかすら分からないですけどね。
※参考画像・資料は全て『境界カメラ』内の物を使わせていただいております。