「理系チー牛」への婚活のススメ
この記事は研究や趣味にばかり情熱を注ぎ、女っ気のない生活をしてきた「理系チー牛」への提言である。
このセリフはかの有名なドクター・ヒルルクの言葉である。
さてこの言葉を君たちに当てはめた場合、いつ死ぬのだろうか?
おそらく君たちの心臓が止まった時、+10年以内といったところだろう。
こんな悲しいことがあるだろうか?
君たちは受験戦争を勝ち抜いてそれなりの大学に進学し、就活でも東証プライム上場企業の内定を勝ち取ることができた。就職してからも上司からのパワハラに耐え、会社にとって必要不可欠な存在になることができる、そんな優秀な君たちが、孤独死を迎えることなど私には耐えられない。
悪いことは言わない。婚活しなさい。異論は認めない。信じられないかもしれないが君たちが30代前半なら婚活市場では優良物件だ。勝手に孤独を決め込むんじゃない。
偉そうに言ったが私もチー牛だ。他人とおしゃべりをするよりも、部屋にこもって本を熟読するような生活に価値を感じている。ひょんなことから結婚するのも悪くないかと思い、3年ほど前に婚活をはじめ、現在はその時に出会った可愛い奥さんと2年程生活している。ちなみに婚活していた時のスペックはこんな感じだ。
性別 :男
年齢 :32歳
学歴 :地方公立大大学院
工学部 化学工学分野 修士卒
年収 :600万程度
就職先:東証プライム上場
趣味 :読書
交際歴 :なし
中高とほぼ女子がいない環境で生活し、地方公立大学の工学部に入学し、ほぼ女子に触れることのない青春を送ってきた。就職後は製造業の現場への配属となり、50代のおばちゃんが可愛く見える現象に遭遇している。末期である。
このnoteを読んでくれている君達の中には、私同様、教師や親にのせられて、男子校という「インペルダウン」に収容され、女子などテレビやネットの画面越しにしか拝んだことのなかった方もいるだろう。
対人においては絵に書いたような有意義な青春を送ることは難しい環境だ。
だからあなたは「学問」に向き合うしかなかったのだ。
高校の理系科目は素晴らしい。
数学・物理はある程度まともな計算・推論能力があれば、この上なく美しい世界を見せてくれる。化学は新しいものを創造する「ワクワク感」を掻き立ててくれる。
高校時代は、ドクター・ベガパンクのような科学者を志していた方も多いのではないのではないだろうか。
そのスタンスをそのまま大学生活においても踏襲し、一つの物事を探求する、読書、映画鑑賞、研究等にふけるようになってしまったのだろう。すっかり1人で遊ぶ喜びを覚えたあなたは、今更新しい対人関係を構築するなどもってのほかと考える。ましてや女性との関係を構築するなど煩わしいだけだ。
そんなあなたが「何で今更他人に時間を使わなければならないのか」と考えてしまうのも無理はない。気持ちはよくわかる。
しかしあなたが触れた本・映画の素晴らしさを誰かに聞いてもらいたいと思わないか?
ひとりで考えることが好きな君も、誰かと答え合わせができなければ、その楽しさは半減していく。自身の考察が教授に受け入れられた時の嬉しさを君は覚えているはずだ。
結婚できればその楽しみを毎日のように享受できる。
しかも教授ほど精緻な議論を求められるわけではない。自身と相手の感想を味わいながら作品に対する理解を深めることができる。悪くない生活だと思わないか?
「俺はビジネスの世界を攻略したいんだ!そんな時間はない!」という人もいるだろう。
攻略の対象を研究からビジネスに変えるだけだ。極めて自然な判断と言えると思う。
だがあなたが仕事を共にしている、上司や同僚たちは、既婚者であることが多いのではないか?あなたは独身のままで同僚達のことを深く理解できるだろうか?
組織を将来的に率いていく立場のあなたは、多くの人員を鼓舞し、組織のポテンシャルを最大限活用して成果を出さなければならない。
当たり前だが、未婚のままだとあなたは家庭を持つという実体験を得ることはできない。
このことがあなたのマネジメントに影響を及ぼさないと考えるのは楽観的すぎるだろう。
既婚者になるだけで、上司や同僚達に守るべき家族がいることを実感を持って知ることができる。独身のままだと仕事が何よりも大事なものになりがちで、家庭を持つ人の言動への理解に苦しむこともあるだろう。
しかし彼らは家庭に戻ってからも、夫や父親としての役割を全うしなければならない。それらを全てマネジメントして毎日を何とか過ごしているのだ。
仕事を優先させることが正しいわけではない。選択の自由として家庭を優先させる人がいてもいい。そんな当たり前のことに独身のままでは気がつくことができない。
所詮1人で大した仕事はできないのだ。
あなた個人のスキルだけを伸ばしたところでインパクトはたかが知れている。
大きな成果を出すために、多くの同僚の心情を理解しようとは思わないか?
さあ、婚活する覚悟が固まったあなただが、取り組むに当たってするべきことがある。
それは結婚相談所に登録することだ。
参考までに私がお世話になった相談所を紹介しておく。
結婚相談所を使うメリットは大きく3つある。
まず1つがシステムが整っているということだ。
結婚相談所に登録するに当たっては、独身証明書等の書類を提出し、そこそこの大金を払わなければならない(男性の場合は年収確認書類の提出と年収の公開が必須)。
これだけでも虚偽の記載ができ、ヤリモク男性が気軽に登録できるアプリとは違うことがわかってもらえるだろう。
結婚相談所に登録する人は、男女問わずこれらのハードルを超えてきているため、全ての人に結婚の意思があると考えていていい。アプリで婚活した場合は相手に結婚の意思があるかどうかを確認しなければならないが、相談所の場合は不要で、不毛なコミュニケーションに時間を割く必要がない。うまくいかなかった場合は、あなたとは合わなかったというだけだ。
また連絡先を交換した相手から、一度も会うこともなく音信不通になることは基本的にないと考えていい。野良の恋愛であれば、頑張って連絡先を交換できても会うことができないということは起こりうる話だ。しかし結婚相談所では基本的にそのようなことは起こらない。
なぜなら相談所では第三者の目が入るからだ。
結婚相談所ではまずお見合いをして、お互い「もう1回は会ってもいいかな」と思って初めて連絡先が交換される。連絡先を交換したら最低1回は合わなければならないルールなので、連絡先を交換できた時点で音信不通になることはない。
会ってみてイマイチだと感じたら、担当の仲人を介して交際を終了させて、別の人とお見合いをするという流れになっているのだ。
つまり仲人という監視の目が入るので、相手に対して失礼なことはやりにくい環境になっているというわけだ。
2つ目の理由が、結婚相談所での活動は1対1のコミュニケーションが主だということだ。
1つの事象に取り組むことが得意な「理系チー牛」にとって、合コンは拷問である。
n対nのコミュニケーションなど情報が多すぎて何から対応すればいいのかわからないというのが正直なところだろう。
今自分が喋るべきなのか、はたまた他の人の話を聞くべきなのか、様子を伺っているうちに、話を振られてあたふたしてせっかくのチャンスを逃す、というのはあるあるではないだろうか。
自分のことですらどうにもなっていないのに、仲間へのアシストなど知るか!!という話だろう。
その点相談所では最初から最後まで1対1のコミュニケーションにて、ことが進む。
合コンでは、立ち振る舞いに悩んでいた君だが、お見合いでは、そのようなことを考える必要はない。周囲など関係なしに自分の責任だと認知できる範囲が合コンに比べて圧倒的に広い。
合コンの反省会ではイマイチ納得感のないダメ出しを受けていた君も、自分の選択した行動の反省だけをすればいいと思えば、だいぶやりやすいと思えるのではないだろうか。
もちろん創意工夫は必要だが、心理的な負荷がかなり低いと言えると思う。
3つ目の理由が結婚相談所には仲人がつくということだ。
これが「理系チー牛」が結婚相談所で活動すべき最大の理由だ。
我々のような「理系チー牛」にとって女性は未知のものだ。シルバーズ・レイリーのようなメンターがいないと死ぬ。仲人を大いに頼ればいい。
念の為に言っておくと、君に結婚できるポテンシャルは十二分にあるが、婚活市場という「新世界」を航海できるほどの技量を持ち合わせていない。たった1人で婚活市場に出ることなど、見聞色の覇気を習得しないまま、シャボンディー諸島から出航するようなものだ。
たちまち遭遇した黄猿やパシフィスタのレーザーに貫かれて瞬殺されるだろう。
仲人たちは「見聞色の覇気」とも言える優れた観察眼、洞察眼を持っている。あなたからの報告を受けて、女性との適切な距離の詰め方を教えてくれるだろう。
私の場合は自己開示をもっと積極的にするようにアドバイスされた。
仕事や趣味の話など取り止めもないことはある程度できているが、自身の内面を曝け出すような話ができていないから、イマイチ距離が詰めきれないということだと解釈した。
なので当時いい感じになっていた人に対して、自分が「Dの一族」であることを正直に伝えた。もちろん人によるのだろうが案外すんなり受け入れてもらえて、拍子抜けした記憶がある(伝えた人が今の妻なのだが・・・)。
また頼れる人がいるということが、君達にとって大きな支えになることがある。
それは相手からフラれた時だ。しかもある程度の関係性ができていた後に。
自分ではいい感じと思っていた相手からフラれるわけだから、まさに「失意のどん底」という表現がふさわしいだろう。
同じ「失意のどん底」つながりでマリンフォード頂上戦争が終わった後のモンキー・D・ルフィとジンベエとのやりとりを例にどのような状況かを再現してみよう。
兄を救えなかった自身の無力さに打ちひしがれているルフィに対して、後に仲間となるジンベエが「失ったものばかり数えるな!!! 無いものは無い!!!確認せい!!お前にまだ残っておるものはなんじゃ!!!」とルフィを奮い立たせる。
突きつけられる現実に打ちひしがれる君、
それを横で見守る仲人は
というような激励をするかはわからない、が、婚活中に「失意のどん底」に陥るのは起こりうることだ。ましてや女性に対する耐性がない「理系チー牛」は想定しておくべきことだろう。
わかりやすく傷口を舐めてくれたり、励ましの言葉をかけてくれるとは限らないが、突きつけられた現実に君が立ち向かおうとしていれば、仲人は力になってくれる。頼れる人がいるということが、君に行動する力をくれる。
御多分に洩れず、私も好かれていると思っていた相手にフラれて凹んだが、共に並走してくれる姿勢を見せてくれた仲人さんには大いに勇気をもらった。(参考までに彼女の紹介動画をはっておく。)
とまぁいろんなことはあるとは思うけれど、君達が結婚相談所で活動をしていたら、遅かれ早かれ結婚はできるだろう。ハイスペとは言わないまでも君達は中スペには分類される。
かの偉大な海軍中将ハグワール・D・サウロも
と言っている。配偶者という「仲間」を獲得できる立ち位置にいながら独身を決め込むことは非常に勿体無い。
婚活とは「仲間探し」だ。色々な人と出会うだろうが、まずは相手から選ばれなければいけない。ルフィの面倒を見てほしいというエースからの依頼を、ジンベエが一度は渋ったように、仲人がいくら君を推しても、君自身の力で自分に価値があることを示さなければ多くの人からは相手にされない。
君のために時間をとってくれた相手に何を返すことができるのか。
それはスマートなエスコートなのか、面白い会話なのか、楽しいデートプランなのか。不慣れながらも試行錯誤していくと、君を選んでくれる人はきっと現れる。
その人たちの中から君が理想とする相手を選べばいい。
その時こそあなたは他人に記憶され、寿命の何倍も生きることのできる土壌に立てるのだ。