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毎年言ってることですが今年もちゃんと言っときましょう
はじめまして。
イロナと申します。
以後お見知りおきを。
※この記事は、謎解きクラスタによる謎以外 Advent Calendar 2021
12/4分の記事です。
https://adventar.org/calendars/6547
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「もう12月なの?!」
はい。
「毎年言っていることを今年もちゃんと言う」ノルマを達成したので、あとは好きにやらせてもらいます。
ところで私はこの「もう●月なの?!」発言について、●に入る数字は大半が「9以上12以下の自然数」であるという偏見を持っています。
8月に「もう8月なの?!」って言ってる人、マジで見たことない。
いる?
〜〜〜〜〜〜以下、僕が好きにやるターン〜〜〜〜〜〜
みなさん。
「自分が定食屋さんの入り口に立っている」ところを想像してください。
そこは初めてくる町、初めてくる場所の、たまたま見つけた定食屋やさん。
そして、時間はお昼時。あなた自身は、とても空腹です。
定食屋さんの入口すぐ横にガラスケースがあり、中には食品サンプルが並んでいます。
どの食品サンプルも少しだけ色褪せており、店の歴史を物語ます。
しょうが焼き定食、ハンバーグ定食、お魚定食、エビフライ定食・・・
どのメニューも空腹のあなたを刺激し、店内へと誘ってくるでしょう。
しかし。
まだそのお店に入るのは早い。
どうぞ後ろを振り返ってください。
ミニバン1台通れるかどうかの幅しかない道を挟んだ向かい側。
そこには、これまた年季の入った赤い暖簾を掲げる町中華があります。
自転車の気配に気をつけて、道を渡ってみましょう。
暖簾を少しあげて中を覗くと、少しばかり油の感じが漂う、The・町中華。
入り口横の、ラミネートが剥がれかけたメニュー表を見てみましょう。
炒飯、餃子、中華そば・・・「ラーメン」と書かず「中華そば」と書くあたり、ご主人のこだわりを感じ取れます。
あなたに与えられた選択肢は、2つ。
どちらも味は間違いなく美味しいでしょう。
定食屋でも町中華でも、あなたの空腹は幸せに満たされ、文字通り満足感に包まれるはずです。
選ぶ理由は何でもいいのです。
心の赴くまま、選んでください。
・・・選びましたか?
素晴らしい。あなたはこの難題から逃げることなく、己の答えを導き出した。
これはとても尊いことです。あなたがどちらを選んだとしても、扉をくぐる後ろ姿を笑うものはいないでしょう。
あとはあなたの気の赴くまま、好きなものを頼み、好きなだけ食い、食後の余韻に身を委ねるだけ。
それは、何と幸福な時間でしょうか。
この後の予定は、楽しみなものでしょうか。それとも辛いものでしょうか。
いずれにせよ、あなたを阻むものは何もありません。この幸福こそが、あなたに今日1日の活力をもたらします。
余韻も落ち着いたら、会計を済ませ、「ごちそうさま」と一言。
その言葉は、独り立ちをしたあの日の「いってきます」と近しい何かを含んでいることでしょう。
そして。
店を出た時には必ず「入らなかった方のお店」が目に入ります。
その店に後ろ髪をひかれ、あなたは近い将来、またこの車1台分の狭い小道へとやってくることでしょう。
これはとても幸福なことです。
あなたはたった1日にして、ステキな2つのお店を知ることができたのです。
しかし。
この例え話は、ある条件を前提にしています。
それは「あなたがどちらの店を選んでも、満足感を得られる」ということ。
満足感を得たからこそ、その後に待ち受けるあらゆる事象に対し、温かい感情を向けることができるです。
だとすれば。
あなたは、いや、我々は。
能動的に、自らの手で、その満足感を勝ち取りにいくべきなのです。
味、量、店の雰囲気、そういった変えられない事象にすべてを預け、受動でいるのはいけません。
自ら能動的に、満足度を高めるための行動を取るべきなのです。
そう。
食事とは、戦。
幸福を追い求める、終わりなき戦いなのです。
これより綴りますは、ある日の戦記。
強大な相手を前に、それでも諦めず戦い抜いた、とある一般男性の記録でございます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
東京のとある街。
男はこの日、映画館や書店を回ったのち、まだ見ぬお店を求めて、街を探索しておりました。
そして見つけましたのは、とある2軒のお店。
1つはラーメン。
魚介豚骨を使い、細麺ながらもかなりガッツリ食べ応えがありそうな一杯。サイドメニューの肉飯が食欲を掻き立てます。
もう1つは大衆食堂。
揚げ物をメインとした、ご飯味噌汁付きの定食スタイル。単品で頼めるメニューもあるようで、こちらもガッツリと頂けそうです。
2軒とも、男は初めて知るお店。
さて、どちらの店を選ぶか。
これ即ち、その日の戦場の選択。
どちらの店に向かって一歩を踏み出すか。
一歩誤れば、あるいは自らの敗北に直結しうる重要な選択です。
しかし、男は自信がありました。
どちらの店を選んだとしても、自分が勝つ。
数十年のキャリアに裏打ちされた自信があるのです。
となれば、どちらを選ぶかは気分次第。
昨日ラーメンを食べていた男。
この日は定食屋を選択します。
その店に、とんでもない「裏切者」がいるとは知らずに───────
さて本編に入る前に、定食屋という戦場でのポイントをおさらいしておきましょう。
己の味方となるのは白米、味噌汁、漬物のみ。
これらの味方の力を借りながら、如何にしてメインディッシュ(主菜)を攻略するかがポイントとなります。
さらに、主菜を攻略し切ったタイミングでの白米の過不足がないことも大きな要素です。
白米が多いと、おかずなしで食べることになる。
かと言って少なくても、武器なしで主菜に挑むことになる。
どちらの場合も身体への負荷がかかり、敗北が見えてきます。
白米のペース配分。これを如何に操れるかが、即ち勝敗に直結するのです。
これを前提とした上で、この日の戦いの記録を見ていきましょう。
この日、男が注文した定食は、
●アジフライ
●カニクリームコロッケ
●サーモンマスタードフライ
3つが一皿に乗ったボリューミーな定食。
味方はいつものメンツ。すなわち白米、味噌汁、お漬物の3種の神器。
セコンド(卓上調味料)は醤油とソースのみ。
非常にシンプルなリング。だからこその真っ向勝負。相手にとって不足なし。
ここから始まる一戦は、空腹を幸福に満たすための戦い。腹が減らなきゃ戦はできない。
空腹具合もベストコンディション。男は目の前の強大な相手に、高揚感を覚えます。
しかし迂闊なことに、今日この日の男には大きな制約がありました。
「軍資金が少ない」
男は映画を観て、マンガを買った後。つまり、軍資金がかなり削られているのです。
しかも、このお店はご飯と味噌汁のおかわりが有料。
つまりこの男に残された白米リソースは、ここにある1杯のみ。
始まっていきなり崖っぷち。
たった1杯で、主役級主菜×3を相手取らなければならないのです。
しかし男もただでやられるほどヤワではなく。
最強の助っ人を、すでに召喚済みであります。
そう。
援軍召喚:タルタルソース(+50円)
ソースや醤油のしょっぱさは、白米の消費ペースを加速させます。
「シンプルにソースで食べよう!」などと考えたが最後、敗北一直線。まさに伏兵というべき存在。
しかしタルタルソースならば?
それほどのしょっぱさはなく、それでいて揚げ物への相性は言わずもがな。
白米の消費ペースに大きな影響を出さぬまま、今回の主菜攻略を大いに手助けしてくれるのです。
何と心強い援軍でしょう。
これは+50円の価値アリです。
男は軍資金を確認し、援軍を呼べるだけの余裕はあることをきちんと調べた上で、援軍を呼んでいたのです。
やはり数十年のキャリアは伊達ではない。
かくして、
アジフライ・カニクリームコロッケ・サーモンマスタードフライ連合軍
vs
一般男性 w/3種の神器&タルタルソース
舞台の幕があがったのです。
まず男は味噌汁で胃を温めながら戦略を練ります。
考えるべきは、主菜3種の攻略順。
どれを、どんなペースで攻めていくか。
白米の量と相談しながら決めていきます。
とはいえ、まずは敵の力量(味)を見極めなければなりません。
ここが最初にして、最大の難関。
「白米を食べずに味を知る」────
鋼の意思が必要な苦行。
どれだけ白米が欲しくなっても、その衝動のまま動けばツケはすべて終盤にやってくる。
しかしここを乗り切らなければ、勝利が遠のくだけ。
やるしか、ないのです。
耐えねば、ならないのです。
まず男が選んだのはアジフライ。
比較的さっぱりしている白身魚から攻めることで、敵情視察とともにウォーミングアップを図ります。
タルタルソースを少し乗っけて、
いざ。
なるほど。
うめぇ
他のアジフライよりふわふわしてるよこれ
衣は揚げたてのサッッックサクだし
アジそのものの味がめちゃめちゃしっかりしてるすごい
ヤバい
あぁぁぁ米食いてぇよ
すでに米が15%くらい減った気がしますが、アジフライの力量を把握することに成功です。視察とか言いながらアジフライもう半分くらい消えてるけど、傷は浅い。
さてお次。
カニクリームコロッケ、お前だ。
そのまま行ったらアツアツだろうお前は。オレはわかっているぞ。だからお前は先に少し割って、熱さをすこーしだけ冷ましながら・・・
何だその中身はTheカニクリームみたいな見た目しやがってお前それは卑怯だぞこんなん絶対うまいじゃんもういいお前はソースでちょっと強制的に冷ましてかぶりついてやる。
うめぇ。
いやカニクリームコロッケに説明とかいらなくない?
はい、頭の中で美味しいカニクリームコロッケ想像してください。
私が食べたのは、それです。
あータルタルかけてもうめぇや。それはそう。
カニコロッケって何であんなに美味いんでしょうね・・・・・・・・・・・・(米残量、65%)
最後に立ちはだかるのは、サーモンマスタード。
男にとって聞き馴染みのないメニュー。
正体の掴めない存在。
頼れるのはタルタルソースと己の精神のみ。
この先、いったい何が待ち受けるのでしょう。
しかし。
サーモンマスタードの視察を始めるよりも前に、
男はあることに気づきます。
自分の想定以上に、米への欲求に駆られている。
おかしい。
こちらはタルタルソースを用意して万全の体制を・・・・・・・・・
タルタル・・・ソース・・・を
・・・・・・・・・
ちょっとだけ、ちょっとだけね、
タルタルソースをね、ご飯の上にね、
乗せてみてね、それをね、食べてみよう。
一口だけ。
タルタルソース、裏切り───────
そう。世の人々はなかなか気づかない。
しかし、この男は知っている事実があります。
「ご飯に合うタルタルソース」は、この世に存在している。
男の行動は、言ってしまえば迂闊だったのです。
知っていた。タルタルソースがご飯に合う可能性を。
しかしそれを考慮することなく、50円を支払うと即決。
やってしまった・・・。
このリングに、裏切りが潜んでいたなど、誰が予想したことか。定食界の小早川秀秋、タルタルソース。
でも。
タルタルソースが小早川秀秋ならば。
男は、諸葛亮孔明。
このような事態など、想定済み。
すでに、アジフライとカニコロッケの勢力は把握している。それならば・・・
「別にサーモンマスタードで我慢しなくても、構わんのだろう?」
これまで、その強き(?)意思で守り抜いた65%の米を、ここで全開放してしまえばよいのです。
ここからは文字通りの総力戦。
お盆という小さなリングの上で、頭脳と味がぶつかり合う、味覚頭脳戦。
その決着が、まさかの短期決戦の様相を呈するのです。
サーモンマスタードに、遠慮なくタルタルソースをぶっかけ、かぶりつく。
美味い。
実は白身魚だけどしっかり肉肉しいサーモンと、ピリ辛マスタードの絶妙なバランス。そこにタルタルソースが絡もうものならもうご飯など風前の灯。
なれば、
ここからは、
殴り合いだ。
【お願い】
男はこの先、ドラマ『孤独のグルメ』終盤で五郎さんがスパートかける時の状態です。
何も喋りません。
とりあえず、五郎さんスパート時のBGMを聞いてお待ちください。
聞き終わってから、この先を読んでください。
かくして、男は最後まで米と共に、主菜を攻略し切ることに成功したのです。
ごちそうさまでした。
【本日の勝敗】
男の勝利。
さて、あとはお会計です。
・・・・・・・・・おい待て
・・・この店PayPay使えるじゃん。
じゃあこの場でチャージして白米おかわりできたじゃん・・・
【訂正・本日の勝敗】
男の敗北。
夜ラーメン食べにこの道来ようかな。
〜〜〜〜〜
とまぁ、こんなことを脳内再生しながらご飯食べるのが最近楽しいんですよ。
みんなもやるでしょ?オレだけ??