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GWに瀬戸内に行く計画を立てる話 1

これは、中国・四国地方とはおよそ無縁な、出不精のわたしが、GWの旅行先を瀬戸内エリアに決めるまでのお話です。数ある旅行地の中から旅先を選ぶまでの葛藤や、観光プラン(実行予定)をしたためました。それでは、どうぞお読みください。


GWというプレッシャー

4月に入ると、GWが近づいてくる感覚に焦りを感じた。
GW。それは言わずもがな、大型連休Golden Weekのこと。
長期休みを漫然と過ごすのが常のわたしには、眩しすぎるワードだ。

去年は何をしてたっけ、と思って簡単に書いていた日記を紐解くと、10連休の記録が出て来た。来る日も来る日も同じ道を自転車で疾走したり、異国情緒漂う島谷ひとみの歌を歌ったり、ひろゆき氏の本を読んでその文体を真似て遊んだりと、牧歌的な日々を過ごしていた。でも、そんな10日間は遠出しなくても十分楽しくて、あっという間に過ぎた。そして、今年も何も考えなければ、きっと似たような日々を過ごすだろう。それも悪くない。

でも、今年はちゃんとGWしたい。そんな気持ちが高まっていた。
GWといえば、やっぱり旅行だ。

旅とはこれ内省

旅をすることは、自分と向き合うこと。
特に一人旅は、自分の時間をどう割り振るか完全に自由だから、どこへ行って何をしたいか常に考える必要がある。瞬間、瞬間が、自分との相談タイムってわけよ。

わたしは自分が何をしたいかキャッチするのがどうも苦手で、したがって一人旅も苦手。二人以上でも疲れてしまうから、もう旅全般が無理。家に帰りたくて仕方なくなる。加えて、あんまりグルメに関心が無いのもつらい。ネットで出てくる理想的な旅コースでは、昼食や夕食に加え、その間に軽食をとることで時間的に成立している。でも、わたしはそんなに食べられる気がしないし、ホテルでコンビニ飯でも全然良い。むしろ「その方が落ち着くからいいのでは? 普段食べないから却って新鮮」なんて思う始末。だから、グルメしなくても楽しく過ごせる旅じゃないとだめだ。

そんなわたしは、どこへ行けばいいんだろう?
そもそも旅で何を為したいのか。

変に真面目に考え込んでしまった。

うんうん唸るうちに、美術館巡りならありだなと思った。美術館なら展示を見るうちに時間が過ぎるし、わたしはミュージアムストアが好き。そこでマグネットなどのちょっとした小物を買うのは楽しい。

美術館かあ……。
そう思って、会社の昼休みにちょくちょく調べる日々が続いた。

地元金沢は小旅行の優等生

ちなみに、わたしの地元は金沢だから、金沢はNG。ただの帰省になってしまう。ちなみに、大人になって分かったけど、我が地元はなかなか優秀な観光地だ。21世紀美術館のミュージアムストアは品ぞろえも豊富で楽しいし、砂砂利を踏みしめながら歩く兼六園は景観が綺麗。そして、ひがし茶屋街の風情にはっとさせられるものがある。何より、これらのスポットが集まる中心部の、歩いて回れるコンパクトさがいいよね(ちなみに、地元民は基本車移動なので歩かない)。

新幹線が開通してからは、こじゃれた店やホテルが沢山できて、一泊二日の観光地としての完成度を究めている。夏は暑くて冬は寒いから、GWの金沢はきっといい。5月の日差しを浴びる金沢城を背景に、前田利家公の銅像と記念撮影でもしたら、忙しい日常に戻っても思い出してフフッとできる。そんな地元と比べても、引けを取らない観光地が良い。

そうだ、瀬戸内へ行こう

そこでわたしが目を付けたのはどこか?
瀬戸内エリアだった。

ここいう瀬戸内エリアとは、ここら辺のことです

まずもって、金沢生まれ関東在住の身にまったく馴染みが無い。イメージとしては、温暖でたおやか。晴れの日が多い。金沢は雨の日が多くて、そのせいでわたしという人間も愁いを帯びた仕上がりになっているけど(ものは言いようよ)、あのあたりは天候も人もカラっとしてるんだろうなと妄想する。そんな天候のしたで海を眺めたりしたら、心洗われそうではないですか。できたら裸足で砂浜を踏みしめるなどの贅沢体験もしたい。それって、海辺に住んでない人間からすると、十分に贅沢なことなのよ。

加えて、豊島、直島といった点在する島には美術館があるらしい。それらの島々にある美術館をはしごするのは楽しそう。ミュージアムストアでは積極的によく分かんない物を買って、旅の思い出にしたい。

そう思い、さっそく航空券と宿を押さえた。旅程は2泊3日。初日に香川県の高松空港に降り立ち、最終日に岡山県の岡山空港から羽田へ戻る。わたしにとっての初四国、初岡山だ。さあ、これでもう後戻りはできない。

予約制美術館と不慣れな乗り物フェリー

気になる美術館は、地中海美術館豊島美術館

HPを見てください。とっても綺麗じゃないですか? しかも、地中海美術館のストアにある「モネのレシピのはちみつクッキー」と「モネのレシピのラズベリージャム」が絶妙に気になる。そうそう、こういうちょっと訳が分からない物を買えるのが、ミュージアムストアの醍醐味なんですよ。説明書きによると、モネは絵画だけでなく料理にも造詣が深かったとのこと。ふーん、モネ、やるじゃん。しかし、さすがのモネも、自分のレシピが極東の島国で再現され商品化されるなんて、思わなかったんじゃないかな。

他にも魅力的なところはあるけど、この2つは事前予約が必要だから、ぶらーっと行くわけには行かない。ある程度の計画が必要になる、という点が気になったポイントだ。しかも、地中海美術館のほうは滞在期間に休館日があるから、高松に到着した日に行かなければならないという制約がある。

そして、地中海美術館のある直島には、泳いで渡るわけにも行かないから、海路を行く公共機関でアクセスする必要がある。直島のサイトを見ると高速船とフェリーがあるらしい。見よ、以下の図がその経路である。

直島観光旅サイト 主要航路時刻表より引用

ここらへんからわたしの実務的な脳がキリキリと動き始める。これはあくまで仕事のためだけの脳だから、それ以外のシーンではあまり使いたくないのだけど、時間的制約がある手前そうも言っていられない。状況を地図ベースに考えなければならない。

赤枠:高松空港、緑枠:高松港、青枠:直島の地中海美術館

まず、高松空港(赤枠)には昼ごろ到着するから、そこから高松港(緑枠)へ電車で移動する。その間の所要時間は約1時間。そして、フェリーに乗って直島の左上あたりに位置する宮浦港へ向かう。その所要時間は約50分。そこから徒歩ないし自転車で直島下部の目的地、地中海美術館(青枠)へ移動する。その区間の徒歩での移動時間が約30分。そうなると、午後3時くらいには美術館に行けるかなあ。

But, フェリーの時間を確認すると、高松港から宮浦港へ行くフェリーは、12時40分から15時35分の間に無い。つまり、高松港に早く到着しても、直島に着くのは16時半ごろになる。地中海美術館の最終入館時間は17時だから、それを目指すプランになることが分かった。なるほど、フェリーってそうばんばん出航してるものでもないのね。瀬戸内を制するには、フェリーについてよく知っておかなければならないという教訓を得た。ここでのゲームルールは、すなわちフェリーの発着時間だ。

直島の宮浦港から高松港の最終便は19時45分。地中海美術館を鑑賞した後にそれに乗ることになるけど、この直島、「夜は真っ暗」みたいな状態なのかしら。それとも、観光地らしく夜までよそ者をもてなしてくれるのかしら。ちょっと想像できてない。というのも、Googleマップや旅行サイトを眺めても、ここらへんの島々がいったいどういう空気感なのか、いまいちピンと来てなくて。それはきっと、わたしがあまりに島というものに馴染みが無いからだろう(日本も大きな島だけど、それはさておき)。

そうやって、1日目は地中海美術館に行くだけで終わってしまいそう。次の日に、直島の他の美術館を巡ったり、直島の隣の豊島に行くことになるかな。豊島には先に紹介した豊島美術館の他に、心臓音のアーカイブっていう施設もあって、それも気になっている。どうやらこの施設、他人の心臓の音を聴くことが出来るのみならず、自分の心臓の音を録音して持ち帰れるらしい。勢い余ってそのテイクアウトをしちゃいそうだけど、聴き返すことは無い気がして悩ましい。でも、自分の心臓の音の入ったCDを、帰ってカバンから取り出し苦笑する瞬間が、忘れられない想い出になるのかも?

あと、豊島の観光サイトを漁っていると、クラシカルでお洒落なワンピースを着た女性が、自転車に乗ってヒャッハーしてる写真が出てきた。アートな瀬戸内に似つかわしい、いかにもアーティスティックな振る舞いだ。せっかくだから、わたしもそれくらいのことはしなければいけないかもな、と気を引き締めるなどした。

膨らむ瀬戸内への期待

最初はGWプレッシャーに衝き動かされてプランを考えていたけど、瀬戸内エリアの情報に触れるうちに、だんだん旅が楽しみになって来た。予約のいる美術館とか、フェリーの時刻とか、ある程度制約があるとあらかじめ調べる必要があるから、ぼんやりしがちなわたしには良いのかも。三日目には倉敷の方にも行ってみたい。行けたら尾道にも行きたいけど、時間的にちょっとキツイかなあ……?

それらの場所には、どんな景色が広がってるんだろう。いまからGWが楽しみになって来た。それまで頑張って働こう。他の美術館についても調べなくちゃ。


続編もどうぞ!
瀬戸内に行く計画を立てる話2 ~アート鑑賞は人生そのもの?~

実際に行った旅行記もどうぞ!
1日目:雨天の直島でアート鑑賞
2日目:曇天の豊島でアート鑑賞

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