ザ・ギース第15回単独ライブ『スプリングボンボン』感想(4/29、東京)
先日、ザ・ギースさんの単独ライブ『スプリングボンボン』の東京千秋楽(4/29、恵比寿エコー劇場)を観に行ってきました。個人的な備忘録と、特に気になったコントの感想になります。
ネタの詳しい内容については極力触れないようにしますが、性質上どうしてもネタバレを含みます。
5月には大阪公演もあるそうなので、これから行かれるという予定の方は、ご覧にならないことをオススメします。
ザ・ギース
第15回単独ライブ『スプリングボンボン』
1 大事なもの
2 犯人の絵
3 ピザ屋の岡くん
4 多重人格合コン
5 お祓い
6 アリバイ
7 シゲさんへのプレゼント
8 SLクラブ
9 本当のお父さん
※ネタのタイトルは私が便宜上つけただけで、公的なものではありません
☆特に気になったもの
4 多重人格合コン
…個人的に、ギースさんのコントを見ていると、導入のやり取りから設定が明かされる瞬間、その先にある様々なボケの可能性が感じられ、一気にテンションが上がることがあります。絶対面白いじゃん!!という確信が一気に高まって、ワクワクする感じ。過去のネタでは「手は口ほどに物を」「暗闇面接」などが当てはまるのですが、今回の単独ではこのコントがそうでした。設定の巧みさとバカバカしさが同居していて、とても面白かったです。
終盤、人格が目まぐるしく入れ替わり、渋滞してカオスになっていくような感じが、少しジューシーズっぽくて懐かしくなりました。好きだったなあ…
5 お祓い
…ギャグを連発し、心がくじけそうになりながらもお互いのスベリを一生懸命フォローする姿は微笑ましく、コンビの関係性の良さが伺えます。
そして、「もういい」と言われながらも汗びっしょりでギャグを披露し続ける高佐さんには、一種の狂気を感じるほど…一見すると、高佐さんは線が細くて美しく、物静かな印象がありますが、奥底には常に笑いを取ることへの情熱がギラギラと燃えていて、そのギャップがたまらなく魅力的な人だなあと思います。
7 シゲさんへのプレゼント
…高佐さんがコントの中でとある楽器を弾くのですが、これがもう必見。正直、私はこれを見られただけで、来た甲斐があった…!と思いました。ハーモニカやギターはよくコントに使われたりしますが、やはり「急に楽器を吹き出して、しかも上手い」という要素はどうしても笑ってしまいますね。
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他にも、お笑いライブに通う女性あるあるを見事に表現した「アリバイ」、単独ならではの大がかりな舞台装置が盛りだくさんの「SLクラブ」など、印象的なコントが数多くありました。
また、ギースさんの単独で特徴的なのは、ネタとネタの合間に、舞台上で衣装を替える「生着替え」の演出があること。通常、単独ライブでは、ネタの間には何らかのVTR等を流すのが一般的なように思います。VTR中に演者は大急ぎで着替えを済ませて、水分補給などをしながら束の間の休息を取ると思うのですが、ギースさんはその「着替え」さえも観客に見せることで、唯一無二の魅力を生み出しているように感じます。
コントが終わるごとに、うっすら暗くなった舞台上で道具転換が行われ、その前でお二人が着替えをされるのですが、すなわちそれは、「常に観客の目がある」ということになります。約90分間、完全に気を抜ける瞬間がほとんどないのはかなり大変なはずですが、お二人はそれを感じさせず、音楽に合わせてダンスしたり、尾関さんがボディビルのポーズを取ってみたり、高佐さんが達者なパントマイムを披露したり。着替える時間さえも観客を楽しませる、お二人のサービス精神にひたすら感服します。
個人的には、「オッ、学ランを着ているということは、次は学校のコントかな」などと勝手に想像を膨らませるお楽しみもあり…とはいえ、かなり大変ではあると思うので、そう気軽には言えませんが、他のコント師の方にもぜひやってほしい演出です。
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今回の単独で思ったのは、ザ・ギースさんは私に取って常に「信頼のおける芸人さん」ということ。
私の場合、ライブやコンサートと言ったものに足を運ぶときには、「その人たちが好きだ」という“気持ち”に加え、スケジュールが合うか、チケット代はあるか、肉体・精神共に健康であるか、というような
“都合”が重なっている気がします。
その2つが相互に作用し合って、「ライブに行くかどうか」を決めるのですが、私の中でギースさんへの“気持ち”のグラフは常に高く、必然的に足を運ぶ機会も多くなるという印象です。
それは、ライブやネタ番組、賞レースで見かけるギースさんが、常にコントに誠実に向き合っているように感じられるからだと思います。ライブの最後、関係者やスタッフさん、そして観客に手厚く感謝を伝えた後の、尾関さんの「一緒にギースを作っていきましょう」という言葉からも、お二人の誠実さが伺えます。演者側の「良質なコンテンツを届けよう」という気持ちがあるからこそ、私たちは「この人たちがすることは間違いない、また行こう」という信頼を感じ、足を運びたくなるのだなあ、としみじみ思いました。
お笑いライブに足を運んだのは久しぶりだったのですが、やはりとても楽しく、観ながら「あ~コレコレ!」といった感覚になりました。次の単独もぜひ行きたいです!