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〜 りすのしっぽ vol.2 〜




物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 りすのしっぽ 〜

放課後の部活の時間が毎日の楽しみだ
北館と南館を繋ぐ渡り廊下からは、広い運動場を見渡せる
学校が小高い丘の上に建っているので、街並みを一望出来るどころか、遠くにある都会のビルや観覧車まで見渡せる
絶景の穴場スポットと言ってもいいくらいの景色も堪能出来るのだ
そんな穴場スポットで今日もひっそり運動場にいる君を探している
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美術部の私は、休憩中に友達とここへ来るのが日課になっている
渡り廊下の壁はちょうど、胸の高さにあり、バーカウンターのようにもたれながら話しに熱を入れる
『ねぇ!?見た!?もう仕草がかっこいいわ♪』
『みた♡でも私は、あの人がいいなぁ♪ねぇ?サッカーって上から見ると分かりやすいけど、本人達はどんな風に見えてるんだろうね?』
『きっとかっこいいから全部把握してるよ♪』
『なんだそら、ははっ』
『・・・うーん、告白しちゃおうかな』
『そうなの?!頑張って♪応援してる!私は見てるだけでいいけど♪』
『うーー!頑張る!よしっ、そろそろ部室帰ろう』
実は、少し前に意を決して言ってしまおうと思っていたのだ
いつも見てるだけじゃ自分も進まないし、気持ちだけでも知ってもらおうと思っていた
·
数日経ってもまだ行動していない私の前に、チャンスは突然訪れた
その日は、塾が終わってから少し質問をしていたので帰りの時間がいつもより遅い
塾からの帰り道、信号待ちをしていると、隣に止まる影が見えた
何気なく右隣を見ると、何の偶然か私の好きな人が目の前にいるではないか
『あっ!こんな時間まで塾なの?遅いね?』
『うおっ!誰かと思ったら!うん、今日は少し遅くなった。お前も塾?』
『私も質問してて今日は遅くなった。・・・そうだ!ねぇ!!ちょっと聞いて欲しい事があるんだけど!』
『ん?何?』
思わず出てしまった言葉に頭をフル回転させながら、青になった横断歩道を好きな人と一緒に自転車で渡っていた
改まって言いに行くのも恥ずかしいし、チャンスと勢いも大切だと思い、私は意を決して言葉にした
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『あんね!・・・好きなの!』
『へっ?!・・・え?俺を?』
回転数をあげ颯爽と走っていた2台の自転車は、夜の静寂さと共に音をなくしていった
『えっと、好きなの・・・それで付き合ってくれたら嬉しいなって、あっ!でも気持ち伝わればいいやって思っただけもあって、あのっ、その・・・』
『うん・・・ありがとう・・・でも、ごめん』
サッと冬の風が二人の間を駆け抜け、今が冬だったことを思い出させてくれた
·
『俺、そんな風に見たことがなかったから・・・その・・・今はそういう事を考えられなくて・・・せっかく気持ち伝えてくれたのに、申し訳ない!ごめん』
『・・・。うん、いやいや!全然いいの♪逆にビックリさせちゃってごめん!ははは。』
『友達だとずっと思ってたからさ・・・』
『うん。友達でいてくれるならそのままがいいな・・・は無理か・・・』
『何で!全然!俺、お前の事友達としては好きだし、いいやつだと思ってるし友達でも良ければ・・・。遅いから、近くまで送ってく、行こ?』
『いいよいいよ!ありがとう!あー!見たいTVもうすぐ始まるかも?!ははは。ごめん!じゃっ!ここでいいから、ありがとう!・・・私の話しも聞いてくれてありがとう。また明日ね?』
『・・・また明日』
分かれ道、そっと漕ぎ出す自転車の回転数だけが静かな夜に響いていた
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今日も日課の渡り廊下での談笑・・・とはいかず、うっすら涙を浮かべながら運動場越しに見える絶景を楽しんでいた
何も言わず付き合ってくれる友達に、ありがとうと言いながら流れる雲を見つめる
『サッカーは上から見るだけでいっか』
『私は上から見るだけでいいって言ってたじゃん』
『そうだね。うん。あー振られちゃった・・・』
肩をポンポンと叩きながら抱き寄せられる
『りすのしっぽ』が元気を出してと肩を震わせる私を慰めていた
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