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〜 私は知ってるよ vol.2 〜





物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 私は知ってるよ 〜

白いワンピースに、軽く羽織った薄い青のカーディガン
ここに麦わら帽子があれば完璧なのになぁと思いながら、くるっと回って笑顔で鏡に微笑みかけた
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どこへ行くわけでもないのだが、強いて言うなら・・・
いつか行くかもしれないデートの為に!
いつか現れるかもしれない運命の人の為に!
という名目で、念入りにファッションショーを開催していた
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『お前・・・受験勉強ちゃんとしろよ、大学入れんぞ』
笑顔を振りまきながら自分に浸っていると、閉めていたはずの部屋のドアが開いていた
『はっ!!お!!お兄ちゃん!!なんで、ドア勝手に開けてんの!?やーだー!!出てって』
『最初から開いてたわ、ばーか』
『あっ!妹ちゃん♡こんにちは♪今日も元気だね♪お邪魔してまーす!』
『げっ!!』
兄の隣には、いつも私をいじめてくるアイツがいた
『何が妹ちゃんだぁ!!二人共どっかいけぇ!!』
『『はいはーい♪』』
私は勢いよく自分の部屋のドアを閉めた
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よりにもよって、あの二人に見られるとは一生の不覚だ、と私は肩を落とした
大学4年の兄とは4つ違い
就活もだいぶ前に終わり暇なのか、最近は友達を連れて家に帰ってくる
しかも、意地悪なアイツ
会う度に、私の事を子供扱いしてくる嫌なヤツ
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いつだったか宿題を教えてもらった時のこと
アイツが来るまで兄に宿題を教えてもらっていると、あろうことか兄は隣でグースカ寝てしまった
そこへケーキを持って現れたアイツは、兄の代わりに勉強を教えてくれる事になった
何て優しい人♡と思ったのが運の尽き、問題解けるまでケーキはお預けとか何とか言って隣で一人でバクバク食べ始めたのだ
食い意地が張っているわけではないと思いたいが、結局一口もくれなかったし意地悪としか言えない奴なのだ
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ぶつくさ文句を言いながら私はファッションショーを閉幕して後片付けをしていた
キレイに片付いた部屋で次にすることは受験勉強だ
『はぁ・・・』
と重いため息をつき私は机に向った
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コンコン
ドアをノックする音と同時にドアがゆっくり開かれた
『・・・ねぇ、返事してから入ってよ?』
『ごめんごめん、ほれ!ケーキ!持って来てくれたから食べようぜ♪』
『いや、だから私勉強してんだけど?』
『じゃあ、俺ここ座ってるね♪』
『おぉ♪』
そう言って兄はお菓子とお皿を取りにリビングへと向った
『勝手すぎる!ふんっ!!』
いつもこの二人にペースを乱ささる妹の気にもなれ!と言わんばかりに鼻息を荒立てた
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突然、頭の上にふわっと優しく何かが被さった
『問題分かる?教えなくていい?』
『・・・こないだケーキしか食べなかったくせに』
『はは。ほんっと子どもだな』
そう言って乗せていた手で、子どもにあやすようポンポンと頭をなでた
『こないだはごめんね?ケーキ食べたいからって必死に問題する姿が可愛くて。つい!くくく』
『子ども扱いすんなボケ!!』
『口がわるーい!!今日は素敵なリボンも付けてファッションショーしてたし、ちょっと大人っぽいな?って思ったのに前言撤回っ!ほらほら、またケーキ食べらんないよ?』
言い返そうと思った瞬間、兄がお皿とジューズを持ってきたので私は出そうになった言葉を飲み込んだ
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邪魔をするだけして、嵐が去り静かになった自分の部屋を見渡した
帰り際、兄に耳打ちされた言葉が残っている
(こないだケーキ食べたお詫びだって!勉強頑張れよ!可愛い妹ちゃん!ってさ♪ちゃんとお礼言っとけよ!!)
何か調子狂う
ハーフアップで結んだ『わたしは知ってるよ』を触りながら、ちょっといいやつなのかもしれないと思う私はケーキで買収されたようだった
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