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ジャスミン茶はうまいのだ

ジャスミン茶が飲めるようになった。学生時代は香水のような風味に耐えられなかったのに。


そんな私の転機は、取引先のAさんが会社を訪れた日のこと。
その日は暑く、飲み物は冷たい方がいいと思って冷蔵庫を見ると、ジャスミン茶しかなかった。
自分が苦手なように、Aさんもジャスミン茶が苦手かもしれない。「どうかAさんがジャスミン茶好きでありますように」と祈りながら、ジャスミン茶を出した。

しばらくしてから、「ジャスミン茶ってこんなに美味しかったんですか」という声が。

どうやらAさんは初ジャスミン茶だった様子。

「よ……よかった~~!」

Aさんの言葉を聞いて、ちょっと誇らしかった。
これからAさんは、通勤前によくジャスミン茶を買うようになるかもなあ。

そう思うと私も飲みたくなって、4年ぶりに飲んでみた。

「おおっ。」
口の中にお花畑が広がる感覚。昔はこの感覚が苦手だったけれど、今は不思議と嫌ではない。

太陽の光を存分に浴びたジャスミンの、瑞々しく、生き生きとした香り。
ジャスミン茶を飲んでいるだけで、さっきよりも大人になった気がする。カフェにいるのかと錯覚してしまう。その後は、2リットルあるジャスミン茶をほとんど一人で飲み干してしまった。


年齢のおかげか、味覚が変わったのか。今なら苦手だったビールや焼酎も飲めるかも。
食に限らず、人との付き合い方も、感覚が変わって過ごしやすくなる。すぐに突き放すのは良くないね。

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