何かが足りない。何かが欲しい。
最近、あんまり生きるのが楽しくない。予備校と家との往復。
恋人ともマッチみたいにボッと関係が燃えたと思ったら線香花火のようにポタリと寂しく落ちた。少し焦っていたのかもしれないなにか愛が欲しかったのだ。
誰だって人に好きと言われるとうれしい。好きな人ならますますだ。
別に長くは続くまいと思ったのだが予想が的中して嫌な気持ちだ。
焦って彼女を作り失敗する。何度繰り返したろう。
これには僕の学校へ行けなかった青春コンプレックスの発露や孤独の恐怖があるのかもしれない。
僕はずっと何かが足りないと思って生きている。
金が欲しいわけでも名声が欲しいわけでもない。何かが足りなくて何かが欲しい。愛かと思って彼女を作ったが僕には早すぎたみたいだった。
幸せな出来事を思い出せと言われると、すぐに思い出すのは道場の思い出だった。
学校にいけない僕の唯一の社交の場である。週に何度もボコボコにされて道着をつかんでボロボロに赤く染まった僕の指を見て先生は消毒液で血をふき取ってテープを巻いてくれた。
そして言ってくれたんだ。
「頑張ってる証だよ。」と褒めてもらって少し満たされたその時、僕はただ他人からの承認が欲しいのだと気づいた。
ここに俺はいる。生きている。惨めだが生きている。這いつくばり泥水を啜って生きている。
ただそれを人に知ってもらいたいんだなぁ。みつを。