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使い捨てライター

夜の帳も落ちるころ。僕は友達と飲んでいた。ふらふらと階段を上っていくと使い捨てのライターが置いてあった。ガスが少し残っていたのでふとポケットに入れて、そのことを忘れて遊んだ。
丑三つ時が見えそうなころふと口が寂しくなり煙草を買って食うことにした。
その時ポケットの使い捨てライターをふと思い出して使うことにした。
夜の情緒に絆されてライターにも情が湧く。
元の所有者はどんな奴だったんだろう?君はどのくらい旅をしてここに来たのか。
もう少ない君の命。カチカチとして見て、少し傾けてやっとこさ煙草に火がともる。
ふらりふらりと煙が流れ吸い終わりふと君をみて、もう寿命は切れていた。
そうか、君は自分の役目を終えたんだな。
そう思って都会の濁った深夜、暖かい電灯の灯る階段の下、その場所にそっと横たえてやった。
つーかよく考えたら普通にポイ捨てである。

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