「学びを最適化せよ。」自己否定から始まるアンラーニング
今回とある団体の会合で広島のほうに研修に行ってきました。2つの大きな学びがありました。
まずは取引先である佐賀県唐津市の平田さんのお話。
「今ここから始める人生の転換点」
平田さんはカーネーション農家。コロナ禍でお祝い需要が激減します。売上も80%ダウン。もうどうしようもない状況の中でもこれでもかこれでもかと挑戦を繰り広げて来られました。
いやがおうにも自分と向き合う時間。
「何のためにやっているのか」
「なんのためにこれから続けていくのか」突きつけられる疑問。
やり場のない 焦燥感。スタッフの不安な表情。
そんな疑問の中「わが社はいったい何屋なのか?」を問い詰める。
その問いを経て心機一転。唐辛子の製造農家、そして加工業を開始。そこからはまた挑戦挑戦の連続。
しかしたった数年で海外まで輸出することになったそうです。
現在日本に流通する98%は輸入の唐辛子。平田氏はここにチャンスを見出しました。唐津産にこだわった平田さんがつくる唐辛子はピリリと辛い。しかしさっぱりした後味。単なる刺激物としての唐辛子のイメージがまったく変わると思います。
現在「九州みやげいろはや出島本店」「JR長崎街道かもめ市場 いろはや長崎駅店」でも平田さんがつくる唐辛子3種取り扱っています。
このコロナ禍の3年間。平田さんと比較して自分の仕事への取り組み方。
情熱はどうだったろうか。
そう思うと嵐が過ぎるのを何とか静かに待つといったような姿勢で仕事に向き合ってた恥ずかしい自分がいました。
平田さんとの僕の違いは土壇場での対応力。
もっと言えば「悪戦苦闘する力」。
主体的に。能動的に。動く。その中で掴み取るもの感じる。
挑戦。挫折。そしてそこから這い上がる力。
これこそが経営者としての胆力を練り上げていくのだろうと思います。
平田さんはこうも言ってました。
「コロナのおかげで、10年先の会社になれた。10年分の未来を先取りできた。」
嵐が過ぎ去るのを待つ姿勢で仕事をしていた自分。
かたやもがき苦しみつつも挑戦を続ける平田氏。
未来を手繰り寄せるどころか何も変わってない自分。
そして挑戦の中から新規事業。新規人材採用。そして新しい組織風土を手に入れて躍進を続ける平田氏。
同じコロナ禍でも経営者の危機に対する対応の相違で結果がことなるものだと思い知らされました。
仕事の順調。家庭も円満。そして毎日が充実しているときはそう深く考えないものです。
苦難の時こそ自分と向き合わざるを得ない。もう逃げられない。そして常に自己否定を続ける。過去の成功体験から脱却して進化を遂げる。そのためには挑戦と挫折を続けていくしかないのです。至らない自分と向き合うしかないのです。
次にクリームパンで有名な八天堂の森光社長のお話でした。
「事をなすのは逆境にあり。事を破るのは順境にあり」のサブタイトル。
老舗の後継者として、パン屋さんを承継。私も小売業であり後継者。類似してるところが多かったので、これまでの自分。今の自分。そしてこれからの自分に投影しながら話を聞いていました。
後継者として帰郷。10店舗ほどに店舗を拡大するも、自分のふがいなさによる社員の謀反。離職。「うちの娘をどうしてくれるんだ」スタッフの両親からの詰問。自分を責める自己否定。「これでなんとかして」弟さんの全財産の寄付。そこから今日の成功を掴み取るまでの生々しいまでの経緯、今の理念に至る価値観を包み隠さず赤裸々に語って頂きました。
私も似たような経験があります。弊社の長崎のアパレルの店舗「ボタニカルガーデン」に入社してくれたMさん。
入社当初はとても素直で「販売が天職です!」を万面の笑みを浮かべていたMさん。しかしながら数年後、私の至らなさから「こんな会社二度と嫌だ」と吐き捨ているようにして退職していきました。
自分の努力。自分の経験。自分の能力。すべてを全否定されたような思い。離れていく社員たち。そして1人の若い女性の人生のキャリア育成の置いて自分は経営者として何という事をしてしまったんだという後悔。ふがいなさ。自分への責め心。42歳の夏の出来事です。
その時は自責の念で押しつぶされそうでした。
八天堂の森光社長は地方にいながら約36億の社長。そして人口10万の広島県三原市から世界へとパン一つで躍進しておられます。にもかかわらず、「自分は何者でもない」「パンを作ることしか能がない」という内容の事をしきりに口にされていました。
(株)いろはやの社長である私はたったこんな小さな会社の社長なのに少しちやほやされるだけでちょっとできる気になっていました。そんな自分が心から恥ずかしい。50歳でどことなくゴールが見えてきている中で、ちょっと保守的に挑戦を避けていた部分もありました
森光社長はコロナ禍の厳しい中6億の事業投資をしたそうです。そのおかげで今年最高役を迎えられたそうです。
森光社長の講演を聞いて
何を怖がっているんだ
何を不安に思っているんだ
挑戦でからしか未来は始まらないんだぞ
そう強く背中をおされたような気持になりました。
「あらゆる生き物は逆境のときに成長し、順境のときに衰退する」
コロナを成長する機会にした平田社長。森光社長。
もう一度すべての成功体験や今までの価値観も含め捨てるものは一旦捨てて裸1つになったつもりで、また新たに自分のビジネスを再構築していきたいと思います。
自分が前に行くためには、その学びの連続。「このままじゃだめなんだ」自己否定の連続。過去の成功体験の否定(アンラーニング)の先にしか未来はないんだと言うことを改めて気づかされました。
「人生、今日がはじまり」
八天堂の森光社長の演題です。
年齢を重ねると変化することへのアレルギー症状がでてきます。今に安住する方が気持ちいい。楽。そして楽しい。
しかしそれでは未来は切り拓けない。
やっぱり学びのシャワーを浴び続けることでしか自分は変わらない。
自分は気づけない。そして何者でもない自分にビンタをされたような2日間でした。せっかく学んでも実装しないと何もなりません。まずは実践。決断と挑戦を。そう思う広島での学びでした。