人がやめない組織作り#2
人がやめていく。
かつていろはやは人が入っては人が辞めていく・・。そんな時期がありました。
僕の後輩でソニー生命ですごく出世した子にたまたま銭湯で一緒になったときに聴きました。
「どうしたら人が辞めないようになるのかな?」
そうすると彼は開口一番こう言いました。
「みつおさんそれは簡単なことですよ。やめないような人を採用することですよ。」
キツネにつつまれたような思い。
どういうことだろう?自問自答の日々が続きます。
僕は彼の言葉を何度も反芻しました。
やめない人を採用するっていうのはどういうことだろう?
その結果、一つの結論に至りました。
それは『会社に合う人』を採用すると言うことです。
うちの会社はどんな価値観なの? どこに向かうの?
そのためにも会社がまずはどういう理念を持ち、どういう組織風土なのか?
何を大切にしている会社なのか?
理念。文化。価値観。人。これを明確にする必要がある。
そういう結論に至りました。
この件については後述します。
その時のいろはやはとにかく売上を上げたい。
資金繰りから解放されたい。
メーカーさんと有利な交渉にもちこみたい。
そうした思いから採用は会社を成長させるために
とにかく優秀な人を取ろう。
とにかく仕事ができる人をとろう。
とにかく売れる人をとろう。
そんな一心で採用活動を行っていました。
そして自分よりとても優秀な人が来てくれたこともありました。
ただやっぱり合わずに辞めていったりしました。
退職されるというのは社長である自分を。そして自分の考えを
ある意味で否定されることのようなもの。
なぜなら全身全霊をかけて会社をつくっていくのが社長ですから。
それを否定される。とても辛いことです。
採用活動や教育にかかわってくれていた社内やスタッフにもダメージが大きい。
中小企業の95%は社長の力で決まると言われています。
会社に合うと言う事は、つまりわがままな言い方ですが、社長の考え方や人格に「合う」ということだろうと思います。そしてそのためにも社長が常に襟を探して正しい方向に導いていかないといけません。
「教育」は万能のお薬ではない。
かつて私はどんな人も教育で何とかなると思っていました。
そういう思いで一人ひとりのスタッフに向き合い、一人ひとりに教育をしてきたつもりです。地元の高校を卒業した子には基礎学力があまりに不足していたため計算ドリルをやったり、漢字の書き方を一緒に指導したこともあります。
しかし、どんなにこちらの熱意があっても、やっぱり止めていくスタッフが多い。
なぜか。
その理由はお互いの価値観がずれていたから。
価値観が合わないとどんなに良い教育があってもうまくいかないということをつくづく実感したものです。優秀なのか。優秀でないのか。そうした二者択一ではないのです。「合う」か「合わない」かの二択なのです。
私たちもスタッフのことを愛しています。祈るような気持ちで成長を想っています。そしてスタッフも会社を。そしてお店を愛していてほしい。
こういうことを言うといささか時代遅れ感があるかもしれませんが、やっぱり良い仕事をする意味では、そのお互いの想いや価値観が重なり合う事が大切であるような気がするのです。そしてお互いにとってその価値観のすり合わせがとても大事だと考えています。
その価値観のすり合わせがないままに、待遇やお給料の部分で仕事をしていても、きっとどこかですれ違いがあり、辞めていくような気がします。それは短い人生において、お互いとってあまりにロスが多い。
教育は万能の薬ではない。やる気を引き出す魔法でもない。そして手品でもない。これが20年間社員教育にかかわってきた自分としての結論です。
教育が不要と言ってるわけではありません。伸びる人にはもっと伸ばすべく教育を提供するべきです。しかし価値観が異なる人や目的地が違う人にどんな教育をしてもうまくいくことがないことが多い。そう実感しています。
人を。性格を。人格を変えるということは簡単にできることではありません。
「仕事だから」「お給料もらってるから」仕方なく、繕うように同調することは可能かもしれません。しかしそれではどこかで関係が破綻するような気がします。
これからすべての産業、業界ででAIやchatGPTが席巻していきます。もうすでに人間の知能を超えているのかもしれません。
このAI時代に「とりあえず会社に合わせておく」「社長がうるさいから」そんな浅い仕事の仕方をしていてお客様の胸を打つような感動のサービスができるでしょうか。進化を続けるAIに勝てるでしょうか。もっと深いところで人生の価値観をすり合わせをし、しっかり腹落ちして仕事をしていった方がいいと思います。
今巷でよく言われている「パーパス経営」。その前にもっと時間をかけて
やるべきことがたくさんあるような気がします。
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