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ただいま、わたし。

気づけばRollbahnのストックを10冊以上持っている。

Rollbahnは、日本の文房具メーカーが作っているリングノートなんだけど(今の今までドイツだと思ってた!)定番品のほかに、直営店ではちょくちょく限定のネオンカラーや地域限定、季節限定イラストがついているもの、アーティストが作ったものなどの新作が販売されていて、店に寄るたびに、ついついまだまだストックがあるのに買ってしまう。それがいつのまにか10冊を超えていた。

そのRollbahnのノートに、ドイツの文房具メーカーLAMYの万年筆(色は黒じゃなくブルーブラック。これも決まっている。)でココロに浮かんだあれこれを描くこと。これが至福の日課だ。

それ、ジャーナリングでしょ?
まあ、そうといえばそう。でもちょっと違う。
RollbahnとLAMYであることが大事みたいなのだ。

ノートなら、100円ショップにいくらでも売っている。
文章ならパソコンでも打てるし、文章を書くにしても、ボールペンだっていいじゃん。万年筆は本体だって安くはないし、替え芯だって比較的高い。何よりも、あっという間にインクがなくなってしまう。だから、贅沢と言えば贅沢な行為なのだ。


朝起きて、顔を洗ったら、
いい香りのするオイルを全身に薄く延ばしてから、お湯を沸かす。
白湯をゆっくりと飲んだら熱いコーヒーを淹れて
もう一度自分の部屋にもどって、いそいそとノートを開く。
このノートを開くのは昨日の朝以来だ。
今日の日付と時間を書いたら


「ただいま、わたし。」


と、筆を滑らせる。


少しだけ黄色のRollbahnの紙と、万年筆で描くブルーブラックのコントラストが美しい。なめらかだけど、一画一画ホールドしてくれる感覚が、ていねいに文字を書いている気持ちにさせてくれる。高校生まで書道を習っていたからか、止め、はね、払いをはっきりと書けるのが心地いい。

考えながら文章を書くというより、頭に浮かんだ言葉をそのまま写経していくような感覚。写経だからほぼ瞑想に近い。書く瞑想だ。

 時間にすれば賞味20分にも満たないけれど、今心の中に流れている言葉を全部そのまま書き連ねていくと、どんどん頭が静かになっていくのがわかる。うんうん。わかるよ。って言われているような。昨日から心を占めていた心配事も、浮足立っていたことも、不安や不満も、全部がRollbahnの黄色の紙の上にブルーブラックで書き出されていくと、それまではぐるぐるループの中に閉じ込められていた思考がいつのまにか一歩外にでて、答えが出ていくのだ。不思議と。

満たされる時間は?何をしている時が喜びですか?と問われたとき、
「歌を歌う」「絵を描く」「楽器を奏でる」「旅行をする」「本を読む」「スポーツをする」「ランニング」のように、ちょっと人に語れそうな、それらしいことを試してみたけれど、どれもそこそこ楽しくはあっても「満ちている」という感覚になることはなかった。


でも、どうやら私にとって、この時間はいつも満ちている。

万年筆でノートに文字を書き出すその速さで、
一人静かに自分と対話すること。


思考は早すぎてぐるぐるするけれど、万年筆の速さまでスローダウンさせることで、その心の奥底が、本当はどうしたいのかが見えてくるのかもしれない。
(今、「インサイドヘッド2」の『シンパイ』が思い浮かんだ人! 笑)

「どうしようどうしよう」「悪い想像しかできない」
という悪循環のツイートを止めれば、

本当は心配なのではなくて、あなたのことが大好きだよ、という気持ちを見失いそうになってただけだったり。


「絵を描く」だと、へ~~!素敵ですね、ってなるのに、「ノートに万年筆で文字を書く」だと、あまりに当たり前すぎてちょっと反応に困ってしまうよね(笑

けど、私にとって確かに
満ち足りて気持ちいい時間であることは間違いない。

ただのモーニングノートでもない。ジャーナリングでもない。
(この二つも、なんてことない行為をネーミングセンスだけでブームにしたからね)

さて、この行為にどんな名前を付けようかな?



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